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2023.09.21 18:00
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【協会長ステートメント】
6月末に日本損害保険協会会長に就任して以降の主な取組みにつきまして、ご報告と所感を申し上げます。
<はじめに>今年度も、大規模な自然災害が世界中で相次いで発生しています。7月の地球平均気温が観測史上最高を記録するなど、「沸騰化」と表現されるほどの地球温暖化が進んでいる中、ハワイやカナダでの森林火災、リビアでの洪水などが発生しました。また、モロッコでは、マグニチュード6.8の大地震が発生しています。我が国でも、台風13号による大雨等、全国各地で自然災害が発生しています。これらの災害によりお亡くなりになった皆様に謹んで哀悼の意を表すとともに、ご遺族および被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、復旧に携わっている全ての皆様に心より敬意を表します。損害保険業界としましては、お客さまからのご相談に丁寧にお答えし、迅速・適正に保険金支払いを行うことに加え、災害救助法が適用された地域において、各種損害保険商品の継続手続きや保険料支払いの猶予措置を実施する等、引き続き、業界を挙げて全力で対応してまいります。
<信頼回復に向けた当協会の取組みについて>ビッグモーター社による保険金不正請求、および保険料調整行為では、お客さまならびに関係者の皆様にご迷惑とご心配をおかけしておりますこと、心よりお詫び申し上げます。保険金不正請求につきましては、ピッグモーター社と取引を行っていた会員各社において、被害にあわれたお客さまはもちろんのこと、本件をきっかけに過去の修理内容に不安をお持ちのお客さまへの対応に全力を尽くすと共に、原因分析再発防止などの取り組みを進めているところです。また、保険料調整行為につきましても、関係する会員各社ごとに実態把握と原因分析を進めると同時に、現時点で実施できる再発防止策に既に取り組んでいるところです。当協会としましては、関係する会員各社で生じているこれらの問題の重大性に鑑み、お客さま本位の姿勢を改めて確認し、適正な業務運営に向けた以下のような業界取組みを、スピード感を持って進めてまいります。
①ビッグモーター社による保険金不正請求に対する再発防止策等について
実施済(2023年9月1日ニュースリリース済)a.損保協会特設ページの開設・会員会社が公表したお客さまへのお知らせ・会員会社の対応を集約・掲載・会員会社における専用のお問い合わせ窓口一覧を掲載
今後速やかに実施・検討を進める内容(2023年9月19日ニュースリリース済)a.自動車保険の等級訂正を円滑に進めるための方策の検討・お客さまが円滑に等級の訂正手続きを行えるよう、継続契約が他の保険会社に移行しており複数の保険会社を跨いで等級訂正を行う必要がある場合の対応方法等について、整理・検討を進める。
b.これまでの不正請求対策の点検・総括およびレベルアップ・当協会における不正請求対策を目的とした情報交換制度や保険金不正請求ホットライン等の不正請求対策を改めて検証し、会員各社において不正請求に迅速適切な対応が行えるよう、必要な変更・改善を行う。・今般のビッグモーター社による不正請求の手口の把握・研究を行い、会員各社の不正請求防止対策への活用を促す。
c.「損害保険の保険金支払に関するガイドライン」の改定・今般のビッグモーター社による不正請求と同種の事案が発生しないよう、損害調査や修理先紹介時等において保険会社が留意すべき点を追加し、ガイドラインの改定を行う。
②保険料調整行為に対する再発防止策について
実施済み(9/8)・独占禁止法セミナーやトップメッセージの活用
今後速やかに実施・検討を進める内容(2023年9月19日ニュースリリース済)a.これまでの独占禁止法対応の検証・分析およびレベルアップの検討・当協会における独占禁止法への取組みを検証・分析し、会員会社における法令遵守の再徹底に向けた対策を検討の上、必要な改善を行う。・会員会社向け啓発活動の検討を行う。
b.損害保険会社の独占禁止法遵守のための指針」の改定・会員各社の調査結果や関係当局の対応を踏まえ、共同保険における留意点追記等を行い、会員各社の社員の行動変容を促す。
<今年度の重点取組みの進捗状況ついて>就任時に掲げた各種取組みの進捗状況について、以下のとおりご報告申し上げます。
①自然災害対応に向けた啓発自然災害に対応する備えとしての保険や防災・減災の重要性、および自然災害等に便乗する悪質な業者の実態について国民の皆様に正しく理解いただくため、以下の活動を展開しました。
A)自然災害に対応する保険や防災減災に係る取組み
マスメディア・インターネット等を活用した啓発活動地震保険の普及促進に向け、8月からタレントの「黒木華さん」を起用し「関東大震災から100年。見直そう、「もしも」への答え。」をキャッチコピーとした広報活動を展開しています。2022年度における「火災保険契約に対する地震保険付帯率」は69.4%と、20年連続で上昇していますが、更なる普及に向け、テレビ・新聞・インターネット・デジタルコンテンツを通じて訴求しています。また、関東大震災100年を機に、地震保険や防災・減災の重要性に加え、大震災からの教訓を改めて認識いただくことを目的として、8月に当協会の地震保険特設サイト内で協会長と防災担当大臣との対談動画、内閣府政策統括官(防災担当)によるレクチャー動画を作成し、公開しました。加えて、8~10月にかけてBS日テレで地震リスクの啓発等を目的とした啓発番組(全6回)を放映し、また、9月1日「防災の日」に全国の協会地域支部で、街頭でチラシ配布を行う等により、地震風水災に係る保険の必要性について訴求しました。
地域での啓発活動以下の地域における防災イベントの開催または参加等を行うことにより、災害に対する備えについての啓発に取り組みました。・鹿児島損保会・南日本新聞社共催「8・6水害から30年、改めて備えについて考える」(8/2、鹿児島県)・東京都主催「関東大震災100年イベント」(8/26東京都庁)・関東支部・新潟県損害保険代理業協会・新潟県・新潟市共催「防災セミナーIN新潟」(9/2、新潟県)・岡山損保会・山陽新聞社共催「西日本豪雨から5年、これからの防災まちづくりを考える」(9/6、岡山県)・内閣府等主催「ぼうさいこくたい2023」(9/17-18、神奈川県)でのセッション「関東大震災から100年私たちの都市は巨大災害に強くなったのか」出展・関東支部・国土交通省関東地方整備局共催「関東大震災100年リレーシンボジウム」(今年1月~9月にかけて9県で開催)にパネル出展
B)災害に便乗する悪質な業者に関するトラブル防止に向けた取組み
各種啓発活動今年5月に地震が発生した石川県において、被災者の皆様と災害に便乗する悪質な業者とのトラブル防止に向けて、7月からインターネット上でデジタル広告を配信し注意喚起を行いました。また、8月に新たにトラブル防止に向けた注意点や事例を記載した注意喚起チラシ(2023年度版)を130万部作成し、会員各社のほか、全国の消費生活センターや損害保険代理業協会に配付しました。一部の協会地域支部においては、県や県警察本部の後援もいただき地域の事例を盛り込む等、アレンジ版を作成しています。今後、会員各社のほか、各地の行政機関、警察、損害保険代理業協会等と連携して、このチラシ等を用いた注意喚起を図っていきます。加えて、8月には第二地方銀行協会のホームページに「災害に便乗した悪質商法」と題して、当協会ホームページへのリンクを設定いただき、閲覧される方向けに導線を構築いただいております。上記の取り組みを行うことによって、それぞれの地域の課題に合った活動を行うことの重要性を改めて認識しました。例えば、鹿児島で参加した防災イベントでは、有識者の方から平成5年の「8・6水害」についてご講演をいただきました。講演の中では、同地で多く見られるシラス台地に積もった土が大雨で崩れ、土砂災害につながったこと等、同災害の特徴が説明され、地域特有のリスクや今後の災害に向けた対策について、地域の皆様にご認識いただくことができました。また、岡山で参加した防災イベントにおいては、平成30年の「西日本豪雨」を経験し、今後も大規模な水災の可能性があるにも関わらず、ご自宅のハザードマップを確認したことがない方の割合が増加していると伺いました。このことから、時間の経過とともに大災害の記憶が薄れつつあり、防災への意識の醸成がまだまだ必要であると感じました。当日、私からはいざという時の避難行動等や、保険による補償の重要性について強調しましたが、それのみならず、本イベントのような地域それぞれの課題に合った活動を継続し、地域の皆様の自然災害対応への意識向上に取り組んでいきます。
②リスク情報をより必要とする方々に向けた啓発
A)若年層の方に対する取組み
高校生への損害保険教育今年7~8月にかけて全国家庭科教育協会および全国公民科・社会科教育研究会のご協力を得て、全国の高校教員宛に当協会作成のチラシを送付し、当協会が作成した高校生向けの損害保険教育教材について案内しました。また、同協会よび研究会が7~8月に開催した研究大会でも当協会教材を紹介しました。また、8月、生命保険文化センターと共催で中学校・高校の家庭科・社会科・公民科の教員の方々137名を対象とした生損保合同セミナーを開催し、「生活設計とリスク管理」「社会保障制度」「民間保険」についての理解を深めていただきました。また、生命保険文化センターと共同で大分県において家庭科の先生方が集まる総会に赴き、損害保険教育に関する勉強会を開催しました。加えて、各協会地域支部においても7~9月にかけて高校生への損害保険教育を進めています。例えば、北海道・東北・関東・近畿・北陸の各協会地域支部では、それぞれ数十名規模の高校の家庭科教員の皆様が出席する研究会等で、当協教材を紹介しました。また、中部支部や四国支部においては、新たに複数の高校で当協会の職員が講師となり、損害保険に関して高校生へ直接講義を行いました。
ぼうさい探検隊の推進小学生向けに展開している防災教育プログラム「ぼうさい探検隊」については、現在マップコンクールへの作品を募集している段階ですが、現段階で過去最大の応募があったコロナ前の年を上回るペースでの参加申込をいただいております。また、車椅子体験を通じたマップ作成(8/19、兵庫県)やペット帯同での避難経路を示したマップ作成(10月予定兵庫県)が行われる等、これまで以上に幅広い層の方々において、多様なシナリオで取り組んでいただいています。加えて、今年度は国内のみならず海外(タイ)においても、現地小学生を対象とし、自然災害や交通安全のリスクを認識するきっかけとして、本プログラムが開催され、現地からマップコンクールに応募いただきました。
B)海外から来られた方が日本で安心安全に過ごせるための取組み
地域特有の自動車事故の特性を海外からの観光客や居住者の皆様にも理解いただくために、北海道支部においてエゾシカとの衝突事故防止に向けたチラシの英語版を作成し、レンタカーを借りる海外の方へ北海道地区レンタカー協会連合会を通じて、10月から注意喚起を実施する予定です。
C)中小企業に対する取組み
7・8月に北海道支部では、中小企業基盤整備機構北海道本部のメールマガジンを通じて、中小企業のリスク特性を踏まえたリスク関連情報を発信しました。
また、中国支部では、4月から広島県で自転車保険が義務化されたことを契機に、広島県中小企業診断協会等と連携して、8月に中小企業向けに自転車事故のリスク対策をテーマとしたセミナーを開催しました。
我が国の経済活動が活発化していく中、上記ア〜ウ.の取組みを通じたリスクに係る情報提供や教育・啓発活動は、今後益々、重要性が高まっていくものと考えています。
今後の取組みとしては、例えば、国民の皆様の金融リテラシー向上に向けた協力体制の強化を目指し、当協会と生命保険協会、生命保険文化センターとの保険教育に関する包括連携協定の締結を予定しております。
このような取組みを含め、今後も「リスク情報をより必要とする方々に向けた啓発」に一層、力を入れて対応を進めていきます。
③アジア各国の損害保険事業の発展に向けた貢献
A)健全でレジリエントな損害保険制度の発展への貢献
アジア各国における健全でレジリエントな保険制度構築への貢献取組みとして、10月にベトナム保険業界向けのオンラインセミナーを開催し、資本、ソルベンシーERM等をテーマとして取りあげる予定です。本セミナーは外務省所管の「日・ベトナム外交関係樹立50周年事業」および「日本ASEAN友好協力50周年記念事業」として認定されており、関係省庁・団体と連携して保険制度構築に向けた支援を進めていきます。
B)国際会議における発信強化
7月30日から8月2日迄、アジアの保険学会(APRIA)の年次総会が開催されました。当協会は8月1日の「補償ギャップと地震保険」をテーマとするセッションに登壇し、本邦地震保険制度やぼうさい探検隊の海外展開等、当協会本邦損保業界による自然災害対応に関する取組みを披露し、参加各国から高い評価を得ることができました。パート
上記アイの取組みにつきましては、アジアにおける我が国のリーダーシップを示すものであり、引き続き、国際会議での発信を行い、国際貢献に取り組んでいきます。具体的には11月開催予定のIAIS年次総会において、金融庁主催の「気候変動サステナビリティ」をテーマとするサイドイベントに登壇し、「自然災害における補償ギャップ縮小」に向けた本邦損害保険業界の貢献について、国際的に発信していきたいと考えています。
<その他取組みの状況について>
①YouTubeチャンネルの刷新今年度は、ひとりでも多くの皆様に当協会の取組内容をご理解いただくため、発信する情報の拡充や発信方法の多様化を目指しており、その一環として9月20日に「損保協会YouTubeチャンネル」を刷新しました。具体的には、掲載コンテンツの整理を行いユーザビリティの向上を図るとともに、利活用いただくための紹介動画を作成しました。今後、会員各社の社員および保険代理店等を通じて、お客さまへの各コンテンツのPRを進めていきます。
②悪質ロードサービス業者への取組み北海道支部では、地域における悪質なロードサービス業者とのトラブル発生の実を鑑み、7月5日に札幌市消費者センターのX(旧Twitter)に協会作成のチラシを掲載いただきました。
③大雨被害発生時の浸水深推定データ等に係る情報提供に関する取組み7月7日から発生した九州を中心とする大雨に際し、会員各社に被災地の被害状況を早期に確認できるよう、浸水深推定データ等を提供しました。また、お客さまへ従来以上に迅速に保険金をお届けできるように、会員各社向けに浸水深範囲図・浸水深推定データの活用方法に関する勉強会を開催予定であり、今後も運用実績を積み重ね、より実用性の高い仕組みにしていきます。
<おわりに>6月末の協会長就任以降、各地域でのイベント等に直接参加する等、活動を進める中、各重点取組みの意義を再度認識し、計画の達成に向けた思いを新たにしました。他方、ビッグモーター社による保険金不正請求および保険料調整行為が大きな社会問題となり、損害保険業界に対する信頼が揺らいでいることは誠に遺憾に思っております。当協会としましては、これらの問題の重大性に鑑み、お客さま本位の姿勢を改めて確認し、適正な業務運営を行うことに向けて、各種取組みをスピード感を持って進めてまいります。ビッグモーター社による保険金不正請求については、自動車保険の等級訂正を円滑に進めるための方策の検討や、損害調査や修理先紹介時において保険会社が留意すべき点のガイドラインへの追加等、協会における不正請求対策の点検・総括を行っていきます。また、保険料調整行為については、既に9月8日に開催された会員各社のコンプライアンス統括部門等が出席した勉強会において、改めてコンプライアンスの徹底について私が自ら直接訴えかけたとともに、再発防止に向けた各種施策を打ち出したところです。加えて、本日開催された当協会理事会において、全ての会員各社代表者に対し、これらの取組みについて改めて説明を行い、全社で共有しました。更に、私の方から、「お客さま本位の業務運営」の改めての徹底、「保険金不正請求の撲滅に向けたさらなる取組み」の強化、「法令遵守」の再確認の3点について呼びかけを行い、一致団結して取り組むことを確認しました。就任時に申し上げたとおり、各重点取組みの大前提は、お客さま・お取引先との信頼関係や損害保険会社としての規律ある活動です。当業界に対する信頼回復に向け、ビッグモーター社による保険金不正請求および保険料調整行為について、被害を受けられた方を中心としたお客さまへの対応を最重要事項と位置付け、対応を進めてまいります。また、私自身、協会長としてこれらの問題の重大性を真摯に受け止め、当業界の先頭に立ち、お客さまに向いて業務をできていなかった点を反省した上で、正すべき点を正し、信頼回復に向けた取組みをリードしていく決意であります。引き続き、皆様のご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。
行政・政策
その他
2023.09.19 11:49
2023.09.15 18:39
まず、先日発生いたしました台風13号等の被害によりましてお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表したいと思います。また、被害を受けられた方々に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。生命保険会社各社では、この度の被害により災害救助法が適用された地域のご契約につきましては、保険料払込猶予期間の延長や、必要書類を一部省略するなどの簡易迅速なお支払いなどの特別措置を実施しております。また、生命保険協会では生命保険契約照会制度を運営しておりまして、生命保険契約の有無に関するご照会に対して、災害救助法が適用された地域においては、家屋等の流出等により、生命保険契約に関する手がかりを失い、保険金の請求を行うことが困難な場合等においては、生命保険契約の有無のご照会を無料で当協会にて受け付けております。昨今、記録的な大雨等の被害が続いております。状況に応じ、こうした制度の利用についてもご検討いただきたいと考えております。次に協会としての取り組みについて3点ご報告をいたします。1点目は、先に公表した営業職員チャネルのコンプライアンス、リスク管理体制の更なる高度化に係る着眼点。いわゆる着眼点を踏まえた取り組みについてであります。9月の1日に会員各社の役員クラスを委員とする、お客様本位推進会議を開催いたしました。この中で、各社が公表している着眼点を踏まえた取り組み、直近の不適正事案、その再発防止策等について意見交換を行いました。また、全国消費生活相談員協会の方にも参加をいただき、情報提供やアドバイスを頂戴したところでございます。2点目はIAIS年次総会サイドイベントに向けた代表者の意見交換会についてです。11月のIAIS東京年次総会に際し、金融庁が主催し、生命保険協会と日本損害保険協会が関与するサイドイベントである金融庁ハイレベルダイアログのイベント開催が予定されております。同サイドイベントでの生保協会からの発信内容を検討すべく、本日、会員各社の代表者による意見交換会を実施いたしました。経営者の目線で幅広く議論するとともに、対談テーマでありますレジリエントな社会の形成に向けた保険の役割に関連する会員各社の取り組み状況を協議いたしました。3点目は、7月の協会長就任の際にご報告した所信に関する協会の取り組みについてであります。本日の理事会で2点決議をいたしましたので、ご説明いたします。1つ目は、新型コロナウイルス感染症を巡る生命保険業界の取り組みおよび次のパンデミックに向けた課題と対応に関する報告書の作成です。パンデミックに対する経験として今後に生かすべく、コロナ禍における生命保険業界の取り組みを振り返り、報告書として取りまとめてまいります。2つ目は、日本損害保険協会、生命保険文化センターとの保険教育包括連携協定の締結に向けた検討です。国民の金融リテラシー向上に向けて、政府と金融企業が一体となった取り組みを進めるにあたり、保険教育の分野における連携、協力体制の強化を図るべく日本損害保険協会と生命保険文化センターにおける機関決定を前提に、生命保険協会として、日本損害保険協会、生命保険文化センターとの保険教育に関する包括連携協定の締結を予定しております。また併せて、所信に関する業界の取り組みとして、以下の4点にも取り組んで参ります。1つ目は、子育て支援等にかかる報告書、情報提供ツールの作成です。少子化という喫緊の課題に対し、社会全体の子育て支援の機運向上に貢献すべく、少子化社会に対応した協会、会員各社の取り組みを取りまとめ、生命保険業界が果たす役割を改めてお示ししてまいります。加えて、子育て支援や子供の権利法等に関する内容をまとめた研修教材等を作成し、業界の内外に発信してまいります。2つ目は、地方貢献活動に係る広報の強化についてです。協会、会員各社は以前より地域社会に根ざした社会貢献活動に積極的に取り組んでおります。これらの取り組みの一元的な見える化を図るべく、協会ホームページやSR報告書の一部見直しを実施してまいります。3つ目は先端デジタル技術に関する報告書の作成です。会員各社のデジタル化の取り組みを一層後押しすべく、先端デジタル技術に関する調査報告書を作成するとともに、有識者による勉強会を開催いたします。4つ目です。持続可能な社会の実現に向けた地球環境等ハンドブックの作成です。会員各社の取り組みを後押しすべく、気候変動や生物多様性など、各テーマの最新の動向等を反映したハンドブックの作成や勉強会の実施等を行ってまいります。各取り組みについて着実に進めてまいりますので、引き続きご支援、ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
採用・人財
地銀・第二地銀
2023.09.15 16:38
ニッキンONLINEの記事でも紹介した、「金融機関のためのSNS担当者座談会」。プレミアム動画では、座談会当日の様子を5回シリーズで公開します。前回の講演編(約44分)に続き、今回からは計4回にわたって座談会編をお送りします!(ニッキンONLINEの記事はコチラ)
<座談会編>全国から匿名で集まった地銀5行が、日々の取り組みや悩みについてざっくばらんに相談・共有します。座談会編Part1のトークテーマは、「運用体制について」「負担感について」「ネタ集めについて」です。
大手行
2023.09.14 18:09
Q.日銀のYCC柔軟化など政策修正への受け止めは。1点目、日本銀行の政策修正についてということでございますが、個人の見解としてお答えさせていただきたいと思いますが、イールドカーブコントロール(YCC)の運用の柔軟化。これは日銀が昨年来の経験を踏まえて、将来の物価金利上昇局面において、YCCが内包する副作用が顕在化する懸念に配慮し、判断したものと私は理解をしております。長期金利の上限がこれまでの明確な0.5%から柔軟化され、足元では長期金利は約0.7%と若干上昇はしておりますが、上昇幅は限界的であり、現時点では日本経済や財政への影響は大きくないと考えています。ただし今後、仮に長期金利が大きく上昇すれば、借り入れの利払い費増加、円高に伴う輸出採算の悪化等を通じて、経済活動の下押し圧力が生じる可能性があり、引き続き注意深く見ていきたいと思っております。日銀が目指す安定的な2%物価目標が達成されるためには、賃金の持続的な上昇が不可欠であります。ただ、最近は物価高や人手不足を背景に、企業の持続的な賃上げに向けた動きも出始めております。ご質問いただきました更なる政策修正につきましては、今申し上げたような外部環境などを見極めつつ、対処されていくと私は考えております。植田総裁は最近のインタビューで、物価目標の実現にはまだ距離があるとしつつも、マイナス金利の解除後、物価目標の達成が可能と判断すればやると発言されております。長らく続いた超金利緩和政策の転換時期を見極めようと、市場参加者は物価、賃金の動向はもちろん、日銀幹部の発言の細かい言い回しにも着目し、市場も敏感に反応しております。今後の動向にはこれまで以上に注視していく必要があると考えております。 Q.令和6年度の税制改正要望の主なポイントと背景について。今年度の税制改正要望では、足元の我が国の課題を踏まえて、多岐にわたる項目を要望してまいりました。ポイントを4点述べさせていただきます。1点目は、ESG債投資への優遇税制の創設です。我が国が目指すSDGs達成やカーボンニュートラル実現には、民間からの資金が不可欠であり、個人からの投資をESG市場に振り向けていくためのインセンティブとして、個人投資家がESG債投資から得られる利益の非課税化を求めてまいります。2点目は、スタートアップの資金調達に資する税制上の措置です。具体的には、今年度の期限を迎えるオープンイノベーション促進税制の延長です。足元、政府の実行計画の柱の一つになっているスタートアップ育成。成長資金の調達を円滑にする観点で、当該税制が果たすべき役割は極めて大きく、期間の延長を要望します。3点目は、確定拠出年金税制の拡充です。具体的には積立金に対する特別法人税の撤廃や、拠出限度額の見直しなどを要望します。高齢化が進む我が国において、公的年金の補完となる確定拠出年金制度の更なる普及、貯蓄から資産形成の更なる促進。これらに資する、当該税制の更なる拡充を求めてまいります。最後、4点目は国際的な金融取引の円滑化です。主には海外支店の所得に関わる、テリトリアル課税の導入を要望しております。海外支店の所得については、我が国では、日本の法人税率が適用される一方、欧州などの諸外国ではてりとテリトリアル課税として、現地の法人税率を適用することが主流となっております。このため、我が国より法人税率が低い国に仮に支店形態で進出した場合は、本邦企業は欧州企業と比べ、相対的に重い税負担が課されることになり、かかる状況は本邦企業の国際競争力に負の影響を及ぼしているものと考えられます。特に銀行については、支店による海外進出が多く、本要望の措置により、海外での税負担の格差解消、国際競争力の確保を図ってまいりたいと考えております。その他、社会経済の持続的な発展を支える税体系の構築に向け、重点要望以外にも、NISA制度の利便性向上など、多岐にわたる項目を要望しております。 Q.次期会長に三井住友銀の福留頭取が内定したが。福留頭取が次期会長に内定したということのコメントでございます。ご案内の通り、三井住友銀行の福留頭取は、長年の市場営業部門や国際業務部門を中心に豊富な実務経験を積まれており、人格、見識、リーダーシップ、いずれも兼ね備えた方であります。私頭取になる前、2年名古屋で営業部長、営業常務ということで駐在していた時、福留頭取は当時トヨタフィナンシャルサービスというトヨタグループの社長でやっておられましてですね、担当させていただいておりました。大変優れた素晴らしい方だということは個人的にも思うところであります。その福留頭取には今年4月から全銀協の副会長を務めていただいておりますが、資産形成の推進や、融資業務体制の検討など、銀行の国内業務に関する事項を所管する業務委員会を中心に、卓越した手腕を発揮されています。これらを総合的に踏まえ、本日の理事会において、新会長として最もふさわしい方と判断した次第であります。 Q.米金融機関の格付引き下げに伴う金融危機の可能性は。足元では財務内容が悪化した複数の米地銀の格付けが引き下げられましたが、現時点でですね、金融システム全体にストレスがかかる兆候は見受けられておりません。金融危機には至らないと考えております。ご認識の通り、米国では根強いインフレ圧力を抑制するべく、2022年から23年にかけて、政策金利を5%超の水準まで急速に引き上げました。それにより、リスク管理が不十分であったいくつかの銀行で破綻が起きましたが、リーマンショックのような金融システム全体に波及する事態には陥りませんでした。これは、これまでの各国における規制・制度改革の取り組み、また各国規制当局間の迅速な連携の成果であり、金融システムが強靭であることの一つの証左だと理解をしております。また、地銀の格下げ後、株式市場、債券市場などの金融市場においても、信用不安を織り込む動きは見られません。短期金融市場でも、銀行間で円滑な資金取引が行われてると認識しております。ただ一方、米商業用不動産向けローンの焦げ付きなど、一部に信用懸念がくすぶっていることも事実であります。また、インフレの動向次第では、金利が高止まりすることも懸念され、金融市場の先行きについては予断を持たずに緊張感を持って注視していく必要があると考えております。 Q.取引先支援の一つとしての廃業支援の在り方について。コロナ後の中小企業の経営というのは、足元の物価高であるとか、人手不足によりまして、相変わらず厳しい環境が続いていると私は認識をしております。そういった意味で、引き続き、銀行界が中小企業の資金繰り支援に最優先に取り組む方針は変わっていないというふうに思っています。一方で、新陳代謝という観点においては、7月の会見におきまして、コロナという危機を出した今、中小企業が経営課題に向き合う機会となると、私は申し上げさせていただいております。銀行界として融資にとどまることなく、各社の経営課題を踏まえた支援を行ってまいりたいというふうに思っております。例えば、新規事業や業務効率化などに意欲的に取り組む企業に対しては、資金繰り支援に加えて、ビジネスマッチングやDX支援など、非財務面もしっかり支援していきたいと思っております。一方で、自力での事業継続に限界を感じ、事業売却や廃業等の退出を希望する企業には、M&A、円滑な債務整理を丁寧に提案していきたいと思っております。同時に、次世代の産業育成のためのスタートアップ企業の支援にも注力してまいりたいと思ってます。8月30日、金融庁を初め関係省庁より「挑戦する中小企業応援パッケージ」が公表されました。コロナ資金繰り支援に加え、経営改善、再生支援を包括的にまとめた政策であり、こうした政策面での後押しを積極的に活用していくよう会員には周知しております。ただ、やはり事業再生が廃業などのその経営判断は、中小企業の経営者にとってですね、大変悩ましい。重要な決断だと思っております。銀行界として取りうる選択肢が多いうちから、経営者の目線に立って丁寧に会話を継続し、その経営判断をサポートする。これを地道に続けていくことが重要であると考えております。 Q.中小企業の脱炭素化支援について。カーボンニュートラルの実現、そのためには日本企業の9割以上を占める、かつ、日本の温室効果ガス排出量のうち1割から2割弱を占める中小企業の取り組みは欠かせないというふうに思っております。一方で、経営資源や財務面に制約のある中小企業にとって、大規模な事業変革を伴う脱炭素経営は大変大きな挑戦でもあります。銀行界としては、1社1社の課題に寄り添い、中小企業の脱炭素化に向けた取り組みを支援していきたいというふうに考えております。全銀協では、今年の1月に銀行の営業担当者とお客様の初期的なエンゲージメント支援のツールとして、「脱炭素経営に向けた初めの一歩」を作成し、公表をいたしました。そして次のステップとして、より具体的な取り組みを進めています。23年8月、中小企業の開示データ標準化を目指す「一般社団法人サステナビリティデータ標準化機構」が設立されました。中小企業は、商品の納入先企業や、取引銀行から脱炭素への取り組み状況について、別々に異なる形式で説明を求められることがあります。これは大変中小企業にとって事務負担の大きなものであります。当機構ではこの負担を軽減していくために、2024年1月をめどに開示データ標準化のガイドラインの策定を進めており、銀行界として積極的に参加していきたいというふうに考えております。 Q.稼働から5年経過の「モアタイムシステム」について。来月でちょうど、全銀モアタイムシステムというのは5周年を迎えさせていただきます。稼働当初、参加金融機関は505であったものをですね、足元は1115先まで増えております。また、2022年のモアタイム中の振込件数は約2億件、金額は35兆円でありました。この取扱量は毎年20%から30%のペースで増加してきております。今後も引き続き利用が広がっていくものと見ております。モアタイムシステムについてご質問いただきましたが、ちょっと離れますけど全銀システム自体がですね、実は1973年4月の稼働開始から、今年で50周年であります。コアタイムシステムは足元約1200先の金融機関が参加をしております。2022年の振り込み件数は約18億件。金額は3000兆円を超えております。我が国の決済、ひいては経済活動を支えてきております。50周年という節目でございまして、ちょっと触れさしていただきました。 Q.円安が進む為替相場の受け止めと家計や企業への影響は。為替相場と日本経済の関係でいきますと、一般的には円安は製造業などの輸出産業の価格競争率の向上やインバウンド需要の拡大といったプラス面があるかなというふうに思っております。また足元では、製造業の想定為替レートに比べて円安が進んでおりまして、輸出産業の利益が上振れるようにはなっております。実際に多くの輸出産業の企業の皆様とお話をすると、大体130円ぐらいを想定レートにしておりますので、今申し上げたような、その分の上振れになってるんじゃないかなと思っています。また、あくまでもマクロモデルの試算なんですけれども、プラスマイナス両面あると思いますがそれを加味した後のですね、10円円安になればどうかという意味で言うと、日本の実質GDPを0.2%程度押し上げると、こんなデータもございます。一方で、円安は、ご案内の通りですけれども、輸入企業ではコスト上昇を通じて減益要因になる可能性があるほか、最近のガソリン価格の高騰に見られるようにエネルギー価格の上昇などを通じて家計の負担が増加するといったマイナス面の影響もあります。両方あるということでございますので、円安が日本経済にプラスかマイナスかということはですね、なかなか一概には言えないところでありまして、やはり大きなリスクという意味で言いますと、為替レートの急激な変動、これは非常に企業経営にとっても大きなリスクでありますので、望ましくないかなというふうには考えております。また、先行きについて個人的見解として申し上げさせていただきますと、ご認識の通り最近のドル円相場の変動の主因は、日米金融政策の差にあります。短期的には米金利の高まりを背景に円安傾向が継続する可能性がありますが、年末以降は見立てといたしましては、米国金利が減速する可能性もあると。そうすれば、米金利が低下傾向に転じ、ドル高圧力が徐々に緩和されるという方向感ではないかなというふうに予測しております。 Q.金融政策の転換による住宅ローンへの影響は。個人的な見解ということでお許しいただきたいんですけども、あとになって振り返れば、昨年の長期金利の変動幅の拡大や、今年7月のYCCの運用の柔軟化、これがね、転換点だったというようなことになるんじゃないのかなというふうに思っております。しかしながら日本銀行の情報発信やコミュニケーションを踏まえますと、当面の間は金融緩和は継続されるのではないかなと理解をしております。住宅ローン金利は市場金利動向などを総合的に勘案し、各行がそれぞれ決めているため一概には申し上げられませんが、市場金利の上昇に伴い住宅ローン金利が上昇する可能性はあります。実際の住宅ローン利用者への影響に関しては、ご存知の通り7月のYCCの柔軟化を受け、長期金利が上昇したことで、新規借り入れの固定型の住宅ローン金利は上昇しました。一方で、現在、住宅ローンの約4分の3は変動金利ですが、短期金利は低位で推移していることから、今のところ家計への直接的な影響は限定的です。引き続き、お借り入れから完済までの金利が変わらない安心感、これをメリットと感じていただける、全期間固定金利などのご提案を含めて、お客様のライフステージやニーズに寄り添った丁寧な対応を行うことが重要だと考えております。 Q.資産運用立国の実現に向けた金融界の役割認識は。資産運用立国を実現する、そのためには資産運用業の高度化やアセットオーナーの機能強化、これは大変な課題であると思っております。資産運用業の抜本的改革は重要施策とまずは受け止めております。今後、その実現に向けた作成プランにおいて、具体的な施策が検討されていくものと思いますが、銀行界としてもしっかり役割を果たしていきたいというふうに考えております。銀行界では、グループ会社に資産運用会社を持つ会員行もありますが、資産運用立国の文脈において、銀行は販売会社としての立場が中心になります。したがいまして、販売会社の立場で申し上げれば、今年度から始まる新しいNISAの普及・提案活動などを通じて、個人の資産運用の裾野を広げ、家計資産の成長と資産所得の好循環に結び付けていくことが重要な役割であると考えております。特に銀行というのは、預金や決済などのサービスを通じて、個人のお客様にとって最も身近な金融機関だと私は思っております。個人の資産運用の裾野を広げるうえで、銀行界が果たす役割は大きいと考えています。また、そのためには、販売会社としての顧客本位の業務運営の高度化や資産形成を広く浸透させるための金融経済教育の取り組みなどは当然重要ですので、銀行界としてしっかりと取り組んでまいりたいと考えています。 Q.金融庁が求めるコベナンツ開示について。まず現状の認識でございますが、本件につきましては、金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループ報告において、重要な計画の開示・拡充が提言されたことを受け、開示に関する内閣府令の改正が検討されているということであります。その中で、ローンや社債に付される財務上のコベナンツに関し、特に重要性が高いと見込まれるものについて、重要な契約として、借入金の元本や財務上のコベナンツなどの概要を有価証券報告書、臨時報告書にて開示する方向で制度設計が進んでいると理解をしております。本改正案は、投資家への情報提供の観点からは重要であると思っております。一方で、ご案内の通りローンというものは相対取引であります。その契約条件である財務上のコベナンツは開示を前提としておらず、この点において社債と性質が異なります。開示の内容次第では、開示した企業に対する過度な信用不安が誘引されることが懸念されます。例えば、当該企業が厳格なコベナンツなしでは借り入れができないとか、そんな誤解が考えられます。また、金融機関や借入企業がこのような誤解を恐れて、コベナンツ付の借り入れを回避すると円滑な資金調達が阻害される懸念も想定されます。そういった事態に陥らないよう、実務面や実態を含めて影響を考慮して開示の対象や内容については、投資家に対して真に開示が必要な情報を見極めて慎重に制度設計していただく必要があるというふうに考えます。
2023.09.08 19:00
ニッキンONLINEの記事でも紹介した、「金融機関のためのSNS担当者座談会」。プレミアム動画では、座談会当日の様子を5回シリーズで公開します。初回は、座談会の前に行われた講演会の様子をお届けします。(ニッキンONLINEの記事はコチラ)講演者:ホリプロデジタルエンターテインメント社長 鈴木 秀 氏テーマ:今銀行業に必要なSNSの知識とは日時/場所:2023年8月24日/ニッキン本社2回目以降は座談会の様子を配信します。
2023.08.29 19:04
Q. 補正予算の編成に関する検討やその規模について。
2023.08.25 04:50
8月25日のニッキンONLINE「インサイト」コーナーで紹介しているインタビューの後編。
デジタルID分野で400を超える自治体と連携し、地方創生を担うxID(クロスアイディ)。地方自治体アドバイザーも務める日下光代表取締役CEO(34)が、マイナンバーカードの利活用で生まれる金融機関の新たなビジネス機会について、事例を交えて紹介する。前編はコチラ
<後編の質問内容>①自治体との連携状況②自治体との具体的な事例③先進的な自治体の特徴④金融機関と自治体の連携事例⑤行職員向けのワークショップとは⑥マイナカードの制度設計について
<前編の質問内容>①事業紹介と特徴②エストニアで感じたことは?③日下CEOのご経歴④専用アプリ「xIDアプリ」とは⑤アプリは必ず必要ですか?⑥金融機関がマイナカードを活用するメリットは⑦金融機関との取り組み事例⑧当面の目標
2023.07.21 19:26
Q.改めて協会長の抱負を。
抱負ですけれども、3点申し上げました。顧客本位の業務運営の推進、地域社会における課題解決に資する取り組み。そして地球環境の課題解決に資する取り組みです。その中で最も中心に据えているのは、1点目の顧客本位の業務運営の推進であります。4年前の2019年度にも協会長を務めました。その時の中心に据えましたのも、顧客本位の業務運営でありました。その点は今回も不変に据えております。顧客本位の業務運営の徹底に向けては、業界全体で各社ごとに毎年取り組み、それから改善向上が進んでいるものの、この顧客本位の業務運営に完成形は永遠に来ないと思っておりますので、毎年毎年継続的に取り組むべき最重要課題だと考えております。
協会としてもこうした各社の動きを後押しすべく、そして業界全体として顧客本意の業務運営のレベルを上げるべく今年度の中心に据えて取り組みを進めてまいりたいと思ってございます。また4年前と比較した時に少子化や人口減少下での地域社会、地球環境と社会課題の課題性が一層増大しているとも感じております。これらの社会課題の解決に向けて、生命保険業界として取り組む意義、役割、責任、これまでより大きくなっていると認識をしておりますので、これらへの対応として、二つ目、三つ目の軸である。地域社会、そして地球環境の課題解決に資する取り組みを併せてしっかりと進めてまいりたいと思っております。
Q.2024年度税制改正要望について、昨年度からの変更点は。
税制改正要望ですけれども、従来から重点要望として、生命保険料控除拡充の要望を掲げております。今回、昨年度からの変更点としては、要望内容のうち、生命保険料控除に関しては一般と介護と年金の三つの枠を設けておりますけれども、うち一般の生命保険料控除の枠については、今回、扶養している子供がいる場合にはこの控除額を2万円引き上げて6万円に、扶養している子供がいない場合には増額は要望せずに現行の4万円のまま、ということで変更を行っております。
また、介護、年金の保険料控除に関しては、現在の4万円から従来の要望通りに5万円への拡充を要望しているということでございます。考え方の背景は、政府がこどもまんなか社会を掲げておりまして、1人親への支援、子供の貧困防止、高等教育機会の確保など課題解決の必要性が示されておりますので、生命保険による遺族保障が大変重要な役割を果たすと考えておりますので、一般の生命保険料控除枠に対して子供への対応ということから、従来の要望とは異なることを扶養する子供がおられるかおられないかによって、控除の枠を変える。おられる場合には引き上げる、そういうふうな今回改正要望を出したということであります。
2023.07.21 18:33
先ほど開催した理事会で、第61代生命保険協会長に就任しました清水でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
最初に最近の大雨等によりましてお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害を受けられた方々に心よりお見舞いを申し上げます。生命保険会社各社では、この度の被害により災害救助法が適用された地域のご契約につきまして、保険料払込猶予期間の延長や必要書類を一部省略するなどの簡易迅速なお支払い等の特別措置を実施しております。
また生命保険協会では、生命保険契約照会制度を運営しており、生命保険契約の有無に関するご照会に応じております。災害救助法が適用された地域において、家屋等の流失・焼失等により、生命保険契約に関する手がかりを失い、保険金の請求を行うことが困難な場合などにおいては、生命保険契約の有無のご紹介を無料で協会の方で受け付けておりますのでご利用いただきたいと存じます。
それでは今日会長就任に当たっての所信を申し、お手元の参考資料をご覧ください。生命保険業界として、今後もお客様からの信頼の維持に一層努めるとともに様々な社会課題の解決に貢献することで、社会に役立つ業界であり続けたいと思います。
今年度は次の3点を軸に取り組みを進めてまいりたいと思います。1点目は、顧客本位の業務運営の一層の推進です。今後も、生命保険業界がお客様に変わらぬ安心をお届けし、社会の役に立ち続けていくためには、お客様の最善の利益を追求するという顧客本位の業務運営を推進していくことが何よりも重要だと考えています。その観点から先に公表しました、営業職員チャネルのコンプライアンス、リスク管理体制の更なる高度化にかかる着眼点を踏まえ、引き続き会員各社の取り組みを強力に後押ししてまいります。
また、パンデミックに対する経験を今後に生かすべく、コロナ禍における生命保険業界の取り組みを振り返り、報告書として取りまとめたいと考えております。さらに若年層の金融リテラシー向上を一層効果的に図るべく、業界の垣根を越え、他業態との連携・協力体制の強化を目指してまいります。
2点目は、地域社会における課題解決に資する取り組みです。少子化の進行は、人口減少、高齢化とも相まって、社会や経済に多大な影響をもたらします。そこで、少子化という喫緊の課題に対しての、生命保険協会や会員各社の取り組みを取りまとめ、生命保険業界の果たす役割を改めて示すことで、社会全体の子育て支援の機運高揚に貢献したいと考えております。併せて、子育て支援や子供の権利法等に関する内容をまとめた研修教材等を作成し、業界内外に発信する等、地域における子育てを支える取り組みに注力してまいります。
さらに、生命保険協会と会員各社は以前より、地域社会に根ざした社会貢献活動に積極的に取り組んでおります。これらの取り組みの丁寧な情報発信を行ってまいります。また、会員各社のデジタル取り組みを一層後押しすべく、分散型デジタル社会に関する調査や勉強会を通じ、情報提供を行ってまいります。
3点目は、地球環境の課題解決に資する取り組みです。持続可能な社会の実現に向けた具体行動の重要性がますます高まっている。生命保険業界も一層貢献していく必要があると認識しております。引き続き、PSG投融資や、スチュワードシップ活動を通じた投融資先企業の企業価値の向上や、持続可能な経済成長に貢献する取り組みを進めてまいります。
また、気候変動や生物多様性等の最新の動向等を反映したハンドブックの作成や勉強会を行い、会員各社の取り組みも後押ししてまいります。あわせて、会員各社との対話を通じて、持続可能社会の実現に資する取り組みを共有するとともに国際会議の機会を捉え、業界全体の取り組みについて主体的に情報発信をしてまいります。
さらに、これら3点の取り組み軸に加え、税制改正要望や国内外の金融規制等への意見発信等、生命保険業界が健全に発生していくための基盤整備にも対応して取り組んでまいります。この1年間、生命保険事業の使命を果たすべく、全力で取り組んでまいります。皆様一層のご支援、ご協力を賜りますようどうかよろしくお願い申し上げます。
所信は以上でございます。
2023.07.21 12:23
Q.2024年度予算の概算要求基準案について。令和6年度予算の概算要求基準につきましては、今担当部局におきましては調整を進めている段階でありまして、月内にですね、取りまとめられるように努力をしているところでございます。したがいまして現時点で具体的な内容について、お話することはできないわけでございます。その上で、概算要求基準については、これを設けることによって、要求段階から各省庁において施策の優先順位の洗い直しを行っていただき、予算の中身の大胆な重点化を促す効果を期待できるものと考えております。また概算要求基準はあくまで各省庁からの要求・要望に関する方針を定めるものでありまして、歳出規模を含めまして、最終的な予算の姿は、関係省庁と議論しつつ、財務省における査定を経て決定されるものであります。従って、事項要求が増えるということによって、それが必ずしも予算の膨張に繋がるわけではない。財務省においてしっかりと査定をさせていただくということでございます。いずれにいたしましても、令和6年度概算要求基準の具体的な内容につきましては、取りまとまり次第、改めて皆様方にご説明を申し上げたいと考えております。
Q.ビッグモーター社の不正請求に関する受け止めと今後の対応は。金融庁としてはですね、ビッグモーター社が保険業法上の保険代理店として、保険募集を行っているということから、事実関係の確認を進めておりますが、保険契約者保護に欠ける悪質な問題が認められた場合、これについては法令に基づきまして適切に対応をさせていただきたいというふうに思っております。損害保険会社から出向者を受け入れていたという報道、その報道としては承知しておりますが、現時点では事実関係の確認を進めている段階でありますので、予断を持って申し上げることができないということをご理解いただきたいと思います。ここから先はちょっと私の私見ですけれども、私もテレビでですね、報道を見まして本当にこんなことがあるのかと我が目を疑うような状況で、この報道が事実であれば、これは許されないことであるとそういうふうに思います。多くの国民の皆さんはですね、車を愛する、そういう気持ちを持ってる人もたくさんいて、もしその自分の車にですね、あのような行為が行われていたという報道が事実であれば、もうこれはもう非常に不愉快なことであると思います。そういう国民感情、あるであろう国民感情にもしっかり配慮して、そして不適切なですね。保険契約者保護に欠けるような悪質な問題、そういうのが認められた場合これについては法令に基づいて、適切に対応したいとこういうふうに思います。
Q.ビッグモーター社の問題について損害保険会社側の責任と事実関係の確認に関して。
ご理解をいただきたいと思います。繰り返しになって恐縮ですが金融庁としてはビッグモーター社、これが保険業法上の保険代理店として、保険募集も行っているわけでありますので、事実関係の確認を進めているところであります。もしもその事実関係の確認の中で、保険契約者保護に欠ける悪質な問題これが認められた場合には法令に基づいて適切に対応してまいりたいと思います。そして2番目の点でどのように事実関係の確認を進めているのかとこういうことでありますが、これについては今まだ作業の途中でございます。いろいろなところからの情報というものもいただきながら、事実関係の確認を進めているということであるとそういうふうにご覧いただきたいと思います。
2023.07.14 15:23
7月17日、そして18日にインドのガンディナガルで開催されますG20財務大臣・中央銀行総裁会議に出席をするため、明日から海外出張をいたします。この機会に私と植田日銀総裁が議長を務めております、G7財務相・中央銀行総裁会議を7月16日に開催する予定です。この会議では、ウクライナ支援、MDBs(国際開発金融機関)改革、国際課税等について議論する予定です。なお、今回は成果文書を発出する予定はありませんが、昨今の世界を取り巻く課題の解決に向けて、しっかりと議論をリードしてまいりたいと考えております。
Q.G20の議題やG7の位置づけは。
まずG20についてでありますが、議長国はインドでありまして、インドからアジェンダといたしまして、世界経済、国際保険、サステナブルファイナンス、インフラ、国際金融アーキテクチャ、国際課税、金融セクター、金融包摂といった、世界経済の諸課題について議論する予定である旨が示されております。こうした分野は従来からG20が重視してきた分野でありますし、日本が議長を務めるG7でも積極的に議論を進めてきているところであります。今回のG20会合でも、これらの分野につきまして引き続き積極的に議論に参加して、国際協力の強化に努めてまいります。
G7の主要なテーマにつきましては先ほど申し上げました通り、ウクライナ支援、MDBs改革、国際課税等について議論する予定です。G7議長国として各国と率直な意見交換を行いまして、様々な国際的課題に対応するための議論を積極的に主導してまいりたいと思っております。
広島で行われましたG7のサミットにおきましても、例えばウクライナ支援などが主要なテーマであったと思います。こうしたことについても財務トラックでですね、どういう財政的な支援ができるのか等も含めまして、議論を深めていきたいと思っております。
Q.国際課税の見直しへの受け止めと今後の課題は。
OECD・G20のBEPS(税源浸食と利益移転)包括的枠組み総会で声明が出されたわけでありますが、この声明はこれまでG20議長総括、G7コミュニケ等を踏まえて、BEPS包摂的枠組みが2本の柱に関するこれまでの交渉の重要な成果、これをパッケージとして公表したものでありまして、歓迎をしているところであります。この度、条約が実質的に取りまとめられた第1の柱の多国間条約は、多国間で合意された解決策の導入を通じまして一国主義的な課税措置を防止することによりまして、国際課税システムに安定性と確実性をもたらすものであります。100年来続いてきた国際課税原則を見直すこの条約、これは歴史的な成果になりうるものであると考えております。日本といたしましても、引き続きまして国際的な議論を主導をして、今回提示されましたタイムラインに沿って、まずは多国間条約の署名に向けて必要な取り組みを行ってまいりたいと考えております。
とにかく日本としては各国の様々な利害が錯綜する中で、ここまで条約としてはですね、合意ができて声明ができたということでありますので、あとはそれぞれの国のですね、国内手続き等もあると思いますが、そうしたものを通じて早くこの条約を、第1の柱がですね、成立するようにしたいと思います。こういうものはやっぱり流れというか勢いが重要だと思います。ここまできたモメンタムを失わないようにするため、日本としても様々な貢献をしていきたいと思います。
Q.防衛財源の確保にからむ今後の税制措置について。
かねてから申し上げております通り、今後の税制措置につきましては開始時期も含めましてですね、与党の税制調査会で議論をされるということを言ってきたところでございます。昨日の党の議論は税調のインナーでの議論っていうふうに聞いておりまして、詳細は承知をしていないわけでありますけれども、政府といたしましては、防衛財源を確保するための税制措置の開始時期について、本年6月に閣議決定されました骨太2023を踏まえつつ、引き続き与党税制調査会と緊密に連携をして判断していく必要があるとそういうふうに思います。6月に閣議決定をしておりますので、骨太方針が決められておりますので、その枠内でですね、しっかりと前に進めていきたいと考えております。もちろん与党の税調とはしっかり連携してまいりたいと思っています。
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