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2023.09.21 18:00
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【協会長ステートメント】
6月末に日本損害保険協会会長に就任して以降の主な取組みにつきまして、ご報告と所感を申し上げます。
<はじめに>今年度も、大規模な自然災害が世界中で相次いで発生しています。7月の地球平均気温が観測史上最高を記録するなど、「沸騰化」と表現されるほどの地球温暖化が進んでいる中、ハワイやカナダでの森林火災、リビアでの洪水などが発生しました。また、モロッコでは、マグニチュード6.8の大地震が発生しています。我が国でも、台風13号による大雨等、全国各地で自然災害が発生しています。これらの災害によりお亡くなりになった皆様に謹んで哀悼の意を表すとともに、ご遺族および被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、復旧に携わっている全ての皆様に心より敬意を表します。損害保険業界としましては、お客さまからのご相談に丁寧にお答えし、迅速・適正に保険金支払いを行うことに加え、災害救助法が適用された地域において、各種損害保険商品の継続手続きや保険料支払いの猶予措置を実施する等、引き続き、業界を挙げて全力で対応してまいります。
<信頼回復に向けた当協会の取組みについて>ビッグモーター社による保険金不正請求、および保険料調整行為では、お客さまならびに関係者の皆様にご迷惑とご心配をおかけしておりますこと、心よりお詫び申し上げます。保険金不正請求につきましては、ピッグモーター社と取引を行っていた会員各社において、被害にあわれたお客さまはもちろんのこと、本件をきっかけに過去の修理内容に不安をお持ちのお客さまへの対応に全力を尽くすと共に、原因分析再発防止などの取り組みを進めているところです。また、保険料調整行為につきましても、関係する会員各社ごとに実態把握と原因分析を進めると同時に、現時点で実施できる再発防止策に既に取り組んでいるところです。当協会としましては、関係する会員各社で生じているこれらの問題の重大性に鑑み、お客さま本位の姿勢を改めて確認し、適正な業務運営に向けた以下のような業界取組みを、スピード感を持って進めてまいります。
①ビッグモーター社による保険金不正請求に対する再発防止策等について
実施済(2023年9月1日ニュースリリース済)a.損保協会特設ページの開設・会員会社が公表したお客さまへのお知らせ・会員会社の対応を集約・掲載・会員会社における専用のお問い合わせ窓口一覧を掲載
今後速やかに実施・検討を進める内容(2023年9月19日ニュースリリース済)a.自動車保険の等級訂正を円滑に進めるための方策の検討・お客さまが円滑に等級の訂正手続きを行えるよう、継続契約が他の保険会社に移行しており複数の保険会社を跨いで等級訂正を行う必要がある場合の対応方法等について、整理・検討を進める。
b.これまでの不正請求対策の点検・総括およびレベルアップ・当協会における不正請求対策を目的とした情報交換制度や保険金不正請求ホットライン等の不正請求対策を改めて検証し、会員各社において不正請求に迅速適切な対応が行えるよう、必要な変更・改善を行う。・今般のビッグモーター社による不正請求の手口の把握・研究を行い、会員各社の不正請求防止対策への活用を促す。
c.「損害保険の保険金支払に関するガイドライン」の改定・今般のビッグモーター社による不正請求と同種の事案が発生しないよう、損害調査や修理先紹介時等において保険会社が留意すべき点を追加し、ガイドラインの改定を行う。
②保険料調整行為に対する再発防止策について
実施済み(9/8)・独占禁止法セミナーやトップメッセージの活用
今後速やかに実施・検討を進める内容(2023年9月19日ニュースリリース済)a.これまでの独占禁止法対応の検証・分析およびレベルアップの検討・当協会における独占禁止法への取組みを検証・分析し、会員会社における法令遵守の再徹底に向けた対策を検討の上、必要な改善を行う。・会員会社向け啓発活動の検討を行う。
b.損害保険会社の独占禁止法遵守のための指針」の改定・会員各社の調査結果や関係当局の対応を踏まえ、共同保険における留意点追記等を行い、会員各社の社員の行動変容を促す。
<今年度の重点取組みの進捗状況ついて>就任時に掲げた各種取組みの進捗状況について、以下のとおりご報告申し上げます。
①自然災害対応に向けた啓発自然災害に対応する備えとしての保険や防災・減災の重要性、および自然災害等に便乗する悪質な業者の実態について国民の皆様に正しく理解いただくため、以下の活動を展開しました。
A)自然災害に対応する保険や防災減災に係る取組み
マスメディア・インターネット等を活用した啓発活動地震保険の普及促進に向け、8月からタレントの「黒木華さん」を起用し「関東大震災から100年。見直そう、「もしも」への答え。」をキャッチコピーとした広報活動を展開しています。2022年度における「火災保険契約に対する地震保険付帯率」は69.4%と、20年連続で上昇していますが、更なる普及に向け、テレビ・新聞・インターネット・デジタルコンテンツを通じて訴求しています。また、関東大震災100年を機に、地震保険や防災・減災の重要性に加え、大震災からの教訓を改めて認識いただくことを目的として、8月に当協会の地震保険特設サイト内で協会長と防災担当大臣との対談動画、内閣府政策統括官(防災担当)によるレクチャー動画を作成し、公開しました。加えて、8~10月にかけてBS日テレで地震リスクの啓発等を目的とした啓発番組(全6回)を放映し、また、9月1日「防災の日」に全国の協会地域支部で、街頭でチラシ配布を行う等により、地震風水災に係る保険の必要性について訴求しました。
地域での啓発活動以下の地域における防災イベントの開催または参加等を行うことにより、災害に対する備えについての啓発に取り組みました。・鹿児島損保会・南日本新聞社共催「8・6水害から30年、改めて備えについて考える」(8/2、鹿児島県)・東京都主催「関東大震災100年イベント」(8/26東京都庁)・関東支部・新潟県損害保険代理業協会・新潟県・新潟市共催「防災セミナーIN新潟」(9/2、新潟県)・岡山損保会・山陽新聞社共催「西日本豪雨から5年、これからの防災まちづくりを考える」(9/6、岡山県)・内閣府等主催「ぼうさいこくたい2023」(9/17-18、神奈川県)でのセッション「関東大震災から100年私たちの都市は巨大災害に強くなったのか」出展・関東支部・国土交通省関東地方整備局共催「関東大震災100年リレーシンボジウム」(今年1月~9月にかけて9県で開催)にパネル出展
B)災害に便乗する悪質な業者に関するトラブル防止に向けた取組み
各種啓発活動今年5月に地震が発生した石川県において、被災者の皆様と災害に便乗する悪質な業者とのトラブル防止に向けて、7月からインターネット上でデジタル広告を配信し注意喚起を行いました。また、8月に新たにトラブル防止に向けた注意点や事例を記載した注意喚起チラシ(2023年度版)を130万部作成し、会員各社のほか、全国の消費生活センターや損害保険代理業協会に配付しました。一部の協会地域支部においては、県や県警察本部の後援もいただき地域の事例を盛り込む等、アレンジ版を作成しています。今後、会員各社のほか、各地の行政機関、警察、損害保険代理業協会等と連携して、このチラシ等を用いた注意喚起を図っていきます。加えて、8月には第二地方銀行協会のホームページに「災害に便乗した悪質商法」と題して、当協会ホームページへのリンクを設定いただき、閲覧される方向けに導線を構築いただいております。上記の取り組みを行うことによって、それぞれの地域の課題に合った活動を行うことの重要性を改めて認識しました。例えば、鹿児島で参加した防災イベントでは、有識者の方から平成5年の「8・6水害」についてご講演をいただきました。講演の中では、同地で多く見られるシラス台地に積もった土が大雨で崩れ、土砂災害につながったこと等、同災害の特徴が説明され、地域特有のリスクや今後の災害に向けた対策について、地域の皆様にご認識いただくことができました。また、岡山で参加した防災イベントにおいては、平成30年の「西日本豪雨」を経験し、今後も大規模な水災の可能性があるにも関わらず、ご自宅のハザードマップを確認したことがない方の割合が増加していると伺いました。このことから、時間の経過とともに大災害の記憶が薄れつつあり、防災への意識の醸成がまだまだ必要であると感じました。当日、私からはいざという時の避難行動等や、保険による補償の重要性について強調しましたが、それのみならず、本イベントのような地域それぞれの課題に合った活動を継続し、地域の皆様の自然災害対応への意識向上に取り組んでいきます。
②リスク情報をより必要とする方々に向けた啓発
A)若年層の方に対する取組み
高校生への損害保険教育今年7~8月にかけて全国家庭科教育協会および全国公民科・社会科教育研究会のご協力を得て、全国の高校教員宛に当協会作成のチラシを送付し、当協会が作成した高校生向けの損害保険教育教材について案内しました。また、同協会よび研究会が7~8月に開催した研究大会でも当協会教材を紹介しました。また、8月、生命保険文化センターと共催で中学校・高校の家庭科・社会科・公民科の教員の方々137名を対象とした生損保合同セミナーを開催し、「生活設計とリスク管理」「社会保障制度」「民間保険」についての理解を深めていただきました。また、生命保険文化センターと共同で大分県において家庭科の先生方が集まる総会に赴き、損害保険教育に関する勉強会を開催しました。加えて、各協会地域支部においても7~9月にかけて高校生への損害保険教育を進めています。例えば、北海道・東北・関東・近畿・北陸の各協会地域支部では、それぞれ数十名規模の高校の家庭科教員の皆様が出席する研究会等で、当協教材を紹介しました。また、中部支部や四国支部においては、新たに複数の高校で当協会の職員が講師となり、損害保険に関して高校生へ直接講義を行いました。
ぼうさい探検隊の推進小学生向けに展開している防災教育プログラム「ぼうさい探検隊」については、現在マップコンクールへの作品を募集している段階ですが、現段階で過去最大の応募があったコロナ前の年を上回るペースでの参加申込をいただいております。また、車椅子体験を通じたマップ作成(8/19、兵庫県)やペット帯同での避難経路を示したマップ作成(10月予定兵庫県)が行われる等、これまで以上に幅広い層の方々において、多様なシナリオで取り組んでいただいています。加えて、今年度は国内のみならず海外(タイ)においても、現地小学生を対象とし、自然災害や交通安全のリスクを認識するきっかけとして、本プログラムが開催され、現地からマップコンクールに応募いただきました。
B)海外から来られた方が日本で安心安全に過ごせるための取組み
地域特有の自動車事故の特性を海外からの観光客や居住者の皆様にも理解いただくために、北海道支部においてエゾシカとの衝突事故防止に向けたチラシの英語版を作成し、レンタカーを借りる海外の方へ北海道地区レンタカー協会連合会を通じて、10月から注意喚起を実施する予定です。
C)中小企業に対する取組み
7・8月に北海道支部では、中小企業基盤整備機構北海道本部のメールマガジンを通じて、中小企業のリスク特性を踏まえたリスク関連情報を発信しました。
また、中国支部では、4月から広島県で自転車保険が義務化されたことを契機に、広島県中小企業診断協会等と連携して、8月に中小企業向けに自転車事故のリスク対策をテーマとしたセミナーを開催しました。
我が国の経済活動が活発化していく中、上記ア〜ウ.の取組みを通じたリスクに係る情報提供や教育・啓発活動は、今後益々、重要性が高まっていくものと考えています。
今後の取組みとしては、例えば、国民の皆様の金融リテラシー向上に向けた協力体制の強化を目指し、当協会と生命保険協会、生命保険文化センターとの保険教育に関する包括連携協定の締結を予定しております。
このような取組みを含め、今後も「リスク情報をより必要とする方々に向けた啓発」に一層、力を入れて対応を進めていきます。
③アジア各国の損害保険事業の発展に向けた貢献
A)健全でレジリエントな損害保険制度の発展への貢献
アジア各国における健全でレジリエントな保険制度構築への貢献取組みとして、10月にベトナム保険業界向けのオンラインセミナーを開催し、資本、ソルベンシーERM等をテーマとして取りあげる予定です。本セミナーは外務省所管の「日・ベトナム外交関係樹立50周年事業」および「日本ASEAN友好協力50周年記念事業」として認定されており、関係省庁・団体と連携して保険制度構築に向けた支援を進めていきます。
B)国際会議における発信強化
7月30日から8月2日迄、アジアの保険学会(APRIA)の年次総会が開催されました。当協会は8月1日の「補償ギャップと地震保険」をテーマとするセッションに登壇し、本邦地震保険制度やぼうさい探検隊の海外展開等、当協会本邦損保業界による自然災害対応に関する取組みを披露し、参加各国から高い評価を得ることができました。パート
上記アイの取組みにつきましては、アジアにおける我が国のリーダーシップを示すものであり、引き続き、国際会議での発信を行い、国際貢献に取り組んでいきます。具体的には11月開催予定のIAIS年次総会において、金融庁主催の「気候変動サステナビリティ」をテーマとするサイドイベントに登壇し、「自然災害における補償ギャップ縮小」に向けた本邦損害保険業界の貢献について、国際的に発信していきたいと考えています。
<その他取組みの状況について>
①YouTubeチャンネルの刷新今年度は、ひとりでも多くの皆様に当協会の取組内容をご理解いただくため、発信する情報の拡充や発信方法の多様化を目指しており、その一環として9月20日に「損保協会YouTubeチャンネル」を刷新しました。具体的には、掲載コンテンツの整理を行いユーザビリティの向上を図るとともに、利活用いただくための紹介動画を作成しました。今後、会員各社の社員および保険代理店等を通じて、お客さまへの各コンテンツのPRを進めていきます。
②悪質ロードサービス業者への取組み北海道支部では、地域における悪質なロードサービス業者とのトラブル発生の実を鑑み、7月5日に札幌市消費者センターのX(旧Twitter)に協会作成のチラシを掲載いただきました。
③大雨被害発生時の浸水深推定データ等に係る情報提供に関する取組み7月7日から発生した九州を中心とする大雨に際し、会員各社に被災地の被害状況を早期に確認できるよう、浸水深推定データ等を提供しました。また、お客さまへ従来以上に迅速に保険金をお届けできるように、会員各社向けに浸水深範囲図・浸水深推定データの活用方法に関する勉強会を開催予定であり、今後も運用実績を積み重ね、より実用性の高い仕組みにしていきます。
<おわりに>6月末の協会長就任以降、各地域でのイベント等に直接参加する等、活動を進める中、各重点取組みの意義を再度認識し、計画の達成に向けた思いを新たにしました。他方、ビッグモーター社による保険金不正請求および保険料調整行為が大きな社会問題となり、損害保険業界に対する信頼が揺らいでいることは誠に遺憾に思っております。当協会としましては、これらの問題の重大性に鑑み、お客さま本位の姿勢を改めて確認し、適正な業務運営を行うことに向けて、各種取組みをスピード感を持って進めてまいります。ビッグモーター社による保険金不正請求については、自動車保険の等級訂正を円滑に進めるための方策の検討や、損害調査や修理先紹介時において保険会社が留意すべき点のガイドラインへの追加等、協会における不正請求対策の点検・総括を行っていきます。また、保険料調整行為については、既に9月8日に開催された会員各社のコンプライアンス統括部門等が出席した勉強会において、改めてコンプライアンスの徹底について私が自ら直接訴えかけたとともに、再発防止に向けた各種施策を打ち出したところです。加えて、本日開催された当協会理事会において、全ての会員各社代表者に対し、これらの取組みについて改めて説明を行い、全社で共有しました。更に、私の方から、「お客さま本位の業務運営」の改めての徹底、「保険金不正請求の撲滅に向けたさらなる取組み」の強化、「法令遵守」の再確認の3点について呼びかけを行い、一致団結して取り組むことを確認しました。就任時に申し上げたとおり、各重点取組みの大前提は、お客さま・お取引先との信頼関係や損害保険会社としての規律ある活動です。当業界に対する信頼回復に向け、ビッグモーター社による保険金不正請求および保険料調整行為について、被害を受けられた方を中心としたお客さまへの対応を最重要事項と位置付け、対応を進めてまいります。また、私自身、協会長としてこれらの問題の重大性を真摯に受け止め、当業界の先頭に立ち、お客さまに向いて業務をできていなかった点を反省した上で、正すべき点を正し、信頼回復に向けた取組みをリードしていく決意であります。引き続き、皆様のご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。
2023.09.15 18:39
まず、先日発生いたしました台風13号等の被害によりましてお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表したいと思います。また、被害を受けられた方々に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。生命保険会社各社では、この度の被害により災害救助法が適用された地域のご契約につきましては、保険料払込猶予期間の延長や、必要書類を一部省略するなどの簡易迅速なお支払いなどの特別措置を実施しております。また、生命保険協会では生命保険契約照会制度を運営しておりまして、生命保険契約の有無に関するご照会に対して、災害救助法が適用された地域においては、家屋等の流出等により、生命保険契約に関する手がかりを失い、保険金の請求を行うことが困難な場合等においては、生命保険契約の有無のご照会を無料で当協会にて受け付けております。昨今、記録的な大雨等の被害が続いております。状況に応じ、こうした制度の利用についてもご検討いただきたいと考えております。次に協会としての取り組みについて3点ご報告をいたします。1点目は、先に公表した営業職員チャネルのコンプライアンス、リスク管理体制の更なる高度化に係る着眼点。いわゆる着眼点を踏まえた取り組みについてであります。9月の1日に会員各社の役員クラスを委員とする、お客様本位推進会議を開催いたしました。この中で、各社が公表している着眼点を踏まえた取り組み、直近の不適正事案、その再発防止策等について意見交換を行いました。また、全国消費生活相談員協会の方にも参加をいただき、情報提供やアドバイスを頂戴したところでございます。2点目はIAIS年次総会サイドイベントに向けた代表者の意見交換会についてです。11月のIAIS東京年次総会に際し、金融庁が主催し、生命保険協会と日本損害保険協会が関与するサイドイベントである金融庁ハイレベルダイアログのイベント開催が予定されております。同サイドイベントでの生保協会からの発信内容を検討すべく、本日、会員各社の代表者による意見交換会を実施いたしました。経営者の目線で幅広く議論するとともに、対談テーマでありますレジリエントな社会の形成に向けた保険の役割に関連する会員各社の取り組み状況を協議いたしました。3点目は、7月の協会長就任の際にご報告した所信に関する協会の取り組みについてであります。本日の理事会で2点決議をいたしましたので、ご説明いたします。1つ目は、新型コロナウイルス感染症を巡る生命保険業界の取り組みおよび次のパンデミックに向けた課題と対応に関する報告書の作成です。パンデミックに対する経験として今後に生かすべく、コロナ禍における生命保険業界の取り組みを振り返り、報告書として取りまとめてまいります。2つ目は、日本損害保険協会、生命保険文化センターとの保険教育包括連携協定の締結に向けた検討です。国民の金融リテラシー向上に向けて、政府と金融企業が一体となった取り組みを進めるにあたり、保険教育の分野における連携、協力体制の強化を図るべく日本損害保険協会と生命保険文化センターにおける機関決定を前提に、生命保険協会として、日本損害保険協会、生命保険文化センターとの保険教育に関する包括連携協定の締結を予定しております。また併せて、所信に関する業界の取り組みとして、以下の4点にも取り組んで参ります。1つ目は、子育て支援等にかかる報告書、情報提供ツールの作成です。少子化という喫緊の課題に対し、社会全体の子育て支援の機運向上に貢献すべく、少子化社会に対応した協会、会員各社の取り組みを取りまとめ、生命保険業界が果たす役割を改めてお示ししてまいります。加えて、子育て支援や子供の権利法等に関する内容をまとめた研修教材等を作成し、業界の内外に発信してまいります。2つ目は、地方貢献活動に係る広報の強化についてです。協会、会員各社は以前より地域社会に根ざした社会貢献活動に積極的に取り組んでおります。これらの取り組みの一元的な見える化を図るべく、協会ホームページやSR報告書の一部見直しを実施してまいります。3つ目は先端デジタル技術に関する報告書の作成です。会員各社のデジタル化の取り組みを一層後押しすべく、先端デジタル技術に関する調査報告書を作成するとともに、有識者による勉強会を開催いたします。4つ目です。持続可能な社会の実現に向けた地球環境等ハンドブックの作成です。会員各社の取り組みを後押しすべく、気候変動や生物多様性など、各テーマの最新の動向等を反映したハンドブックの作成や勉強会の実施等を行ってまいります。各取り組みについて着実に進めてまいりますので、引き続きご支援、ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
2023.07.21 19:26
Q.改めて協会長の抱負を。
抱負ですけれども、3点申し上げました。顧客本位の業務運営の推進、地域社会における課題解決に資する取り組み。そして地球環境の課題解決に資する取り組みです。その中で最も中心に据えているのは、1点目の顧客本位の業務運営の推進であります。4年前の2019年度にも協会長を務めました。その時の中心に据えましたのも、顧客本位の業務運営でありました。その点は今回も不変に据えております。顧客本位の業務運営の徹底に向けては、業界全体で各社ごとに毎年取り組み、それから改善向上が進んでいるものの、この顧客本位の業務運営に完成形は永遠に来ないと思っておりますので、毎年毎年継続的に取り組むべき最重要課題だと考えております。
協会としてもこうした各社の動きを後押しすべく、そして業界全体として顧客本意の業務運営のレベルを上げるべく今年度の中心に据えて取り組みを進めてまいりたいと思ってございます。また4年前と比較した時に少子化や人口減少下での地域社会、地球環境と社会課題の課題性が一層増大しているとも感じております。これらの社会課題の解決に向けて、生命保険業界として取り組む意義、役割、責任、これまでより大きくなっていると認識をしておりますので、これらへの対応として、二つ目、三つ目の軸である。地域社会、そして地球環境の課題解決に資する取り組みを併せてしっかりと進めてまいりたいと思っております。
Q.2024年度税制改正要望について、昨年度からの変更点は。
税制改正要望ですけれども、従来から重点要望として、生命保険料控除拡充の要望を掲げております。今回、昨年度からの変更点としては、要望内容のうち、生命保険料控除に関しては一般と介護と年金の三つの枠を設けておりますけれども、うち一般の生命保険料控除の枠については、今回、扶養している子供がいる場合にはこの控除額を2万円引き上げて6万円に、扶養している子供がいない場合には増額は要望せずに現行の4万円のまま、ということで変更を行っております。
また、介護、年金の保険料控除に関しては、現在の4万円から従来の要望通りに5万円への拡充を要望しているということでございます。考え方の背景は、政府がこどもまんなか社会を掲げておりまして、1人親への支援、子供の貧困防止、高等教育機会の確保など課題解決の必要性が示されておりますので、生命保険による遺族保障が大変重要な役割を果たすと考えておりますので、一般の生命保険料控除枠に対して子供への対応ということから、従来の要望とは異なることを扶養する子供がおられるかおられないかによって、控除の枠を変える。おられる場合には引き上げる、そういうふうな今回改正要望を出したということであります。
2023.07.21 18:33
先ほど開催した理事会で、第61代生命保険協会長に就任しました清水でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
最初に最近の大雨等によりましてお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害を受けられた方々に心よりお見舞いを申し上げます。生命保険会社各社では、この度の被害により災害救助法が適用された地域のご契約につきまして、保険料払込猶予期間の延長や必要書類を一部省略するなどの簡易迅速なお支払い等の特別措置を実施しております。
また生命保険協会では、生命保険契約照会制度を運営しており、生命保険契約の有無に関するご照会に応じております。災害救助法が適用された地域において、家屋等の流失・焼失等により、生命保険契約に関する手がかりを失い、保険金の請求を行うことが困難な場合などにおいては、生命保険契約の有無のご紹介を無料で協会の方で受け付けておりますのでご利用いただきたいと存じます。
それでは今日会長就任に当たっての所信を申し、お手元の参考資料をご覧ください。生命保険業界として、今後もお客様からの信頼の維持に一層努めるとともに様々な社会課題の解決に貢献することで、社会に役立つ業界であり続けたいと思います。
今年度は次の3点を軸に取り組みを進めてまいりたいと思います。1点目は、顧客本位の業務運営の一層の推進です。今後も、生命保険業界がお客様に変わらぬ安心をお届けし、社会の役に立ち続けていくためには、お客様の最善の利益を追求するという顧客本位の業務運営を推進していくことが何よりも重要だと考えています。その観点から先に公表しました、営業職員チャネルのコンプライアンス、リスク管理体制の更なる高度化にかかる着眼点を踏まえ、引き続き会員各社の取り組みを強力に後押ししてまいります。
また、パンデミックに対する経験を今後に生かすべく、コロナ禍における生命保険業界の取り組みを振り返り、報告書として取りまとめたいと考えております。さらに若年層の金融リテラシー向上を一層効果的に図るべく、業界の垣根を越え、他業態との連携・協力体制の強化を目指してまいります。
2点目は、地域社会における課題解決に資する取り組みです。少子化の進行は、人口減少、高齢化とも相まって、社会や経済に多大な影響をもたらします。そこで、少子化という喫緊の課題に対しての、生命保険協会や会員各社の取り組みを取りまとめ、生命保険業界の果たす役割を改めて示すことで、社会全体の子育て支援の機運高揚に貢献したいと考えております。併せて、子育て支援や子供の権利法等に関する内容をまとめた研修教材等を作成し、業界内外に発信する等、地域における子育てを支える取り組みに注力してまいります。
さらに、生命保険協会と会員各社は以前より、地域社会に根ざした社会貢献活動に積極的に取り組んでおります。これらの取り組みの丁寧な情報発信を行ってまいります。また、会員各社のデジタル取り組みを一層後押しすべく、分散型デジタル社会に関する調査や勉強会を通じ、情報提供を行ってまいります。
3点目は、地球環境の課題解決に資する取り組みです。持続可能な社会の実現に向けた具体行動の重要性がますます高まっている。生命保険業界も一層貢献していく必要があると認識しております。引き続き、PSG投融資や、スチュワードシップ活動を通じた投融資先企業の企業価値の向上や、持続可能な経済成長に貢献する取り組みを進めてまいります。
また、気候変動や生物多様性等の最新の動向等を反映したハンドブックの作成や勉強会を行い、会員各社の取り組みも後押ししてまいります。あわせて、会員各社との対話を通じて、持続可能社会の実現に資する取り組みを共有するとともに国際会議の機会を捉え、業界全体の取り組みについて主体的に情報発信をしてまいります。
さらに、これら3点の取り組み軸に加え、税制改正要望や国内外の金融規制等への意見発信等、生命保険業界が健全に発生していくための基盤整備にも対応して取り組んでまいります。この1年間、生命保険事業の使命を果たすべく、全力で取り組んでまいります。皆様一層のご支援、ご協力を賜りますようどうかよろしくお願い申し上げます。
所信は以上でございます。
2023.06.12 16:54
任期中最後の定例記者会見での稲垣会長の発言まとめ
<冒頭あいさつ>・6月2日からの大雨、および台風2号の被災者への哀悼とお見舞いについて
・災害救助法が適用された被災地域における特別措置の実施と、生命保険契約の有無の照会を協会が無料で受け付ける「生命保険契約照会制度」の説明
<SR報告書2023を引用した1年間の振り返り>
・新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて確認されてから3年余りが経過。この期間における生命保険業界全体の新型コロナに関する保険金給付金の支払額は、2023年3月までの累計で1100万件、1兆2000億円を上回る規模に
・特に2022年夏からの第7波の感染拡大では、宿泊施設や自宅での療養を入院と同様に取り扱うみなし入院による入院給付金の請求が過去にないボリュームに増加した
・請求の増加に伴い、支払いまでに通常よりも時間がかかるケースも発生
・会員各社は顧客への丁寧な説明に努め、支払部門への応援や増員、請求手続きの簡素化などの体制強化で顧客の不安解消と円滑な支払いに努めてきた
・努力や創意工夫の積み重ねを通じて、顧客に安心を届けるという社会的使命を果たすために業界一丸となって取り組むことができた
・本事務年度の重点テーマとして取り組んできた顧客本位の業務運営の推進に向けた取り組みのうち、営業職員チャネルのコンプライアンス、リスク管理体制に関する着眼点の取りまとめについて。今年2月に着眼点を公表したが生命保険業界が変わらぬ安心を届けるためには、今後も業界としての不断の取り組みが求められるものと認識している
・会員各社が経営陣の強いリーダーシップのもとで体制強化に取り組み、生命保険協会としても着眼点を通じた継続的なフォローアップに取り組むことで後押ししていきたい
・未来のウェルビーイングの実現に向けた取り組みでは、前回4月の記者会見でデジタル社会の実現に向けた生命保険業界の将来と題した報告書・提言書の公表について報告した。生命保険協会としては引き続き、政府に対して必要な環境整備を促し、一人一人のニーズに合ったサービスを提供し続けることで将来にわたり顧客のウェルビーイングの実現に貢献していく
・2022年度は生命保険協会が運営する代理店業務品質評価運営の運営初年度。今年2月には生命保険協会による業務品質の調査を経て評価付けを獲得した42の認定代理店を公表し、認定証の授与式も開催した
・認定代理店が使用できるシンボルマークの名称を「生命保険乗合代理店業務品質認定マーク」とし、2年目の運営では新たに70の代理店が業務品質調査にエントリーしている
・7月末まで追加募集を行い、より多くの代理店に申し込みを検討してもらえるよう7月には代理店向けの説明会を開催する予定
・今後も消費者や関係者に本制度の周知・浸透を図ることで、生命保険乗合代理店の顧客本位の業務運営の一層の推進を後押ししていく
・この1年間で取り組みを前進させることができたのは、関係各方面の大きな支援・協力の賜物。残り1カ月余りの任期の最後まで、全力で取り組んでいきたい
<質疑応答>
Q.1年間の総括と顧客本位の業務運営の推進について。
はい、ありがとうございます。2点ご質問いただきました、まずこの1年間の総括でございます。経営環境の観点からは世界的な金利上昇によって保有する債券の含み益の減少や、また新型コロナにかかる入院給付金等のお支払いの増加などの影響が、各社決算にも表れている。難しい舵取りが求められた1年であったと受け止めております。
そうした中、生命保険業界としても様々な課題に対応してまいりましたが、特に目下の大きなテーマだと感じていたのは新型コロナへの対応と、先ほどご質問いただいた顧客本位の業務運営の推進、この2点だと受けとめております。繰り返しになりますが、新型コロナへの対応については約3年間の累計の保険金・給付金の支払い実績をご紹介しました。これを22年度の1年間の実績で見ますと、保険金・給付金を合わせて1000万件に上る規模となっております。また前年度2021年度の実績と比較して9倍以上の件数のご請求額に各社が対応した、そんな1年であったということでございます。
また、給付金等の金額で見ても、単年度で1兆円を超える規模のお支払いを行っている。その過程で給付金の受け取りについて、お客様に通常よりお時間を頂戴することとなりました各社が、医療機関等の負担軽減を踏まえつつ、迅速なお支払い、また簡素化した支払い体制の強化などデジタル手続きの利活用などを通じて総力を挙げて取り組んできたということで、繰り返しになりますが業界として社会的使命を果たすことができたのではないか、そんな1年であったと感じております。
2点目の顧客本位の業務運営の推進については先ほどの2点目のご質問にも関連するところがございますので、コンプライアンス管理体制の高度化にかかる着眼点の策定の対応なども含めて、ご回答させていただきます。
コロナによってですね、会員各社はお客様との関わり方が非対面でお手続きいただく仕組みの導入、また各種必要書類も電子化することに取り組んできた1年であったと振り返っております。そうした中、各社の営業員はお客様にとって、最も身近な存在として、デジタルの活用などの創意工夫をしながら、しっかりお客様に寄り添い、お客様にとってより利便性の高いサービス提供に努めてきた、そんな1年であったと考えております。アフターコロナにおいても、お客様の身近な存在として、人生に長く寄り添い、お客様一人一人のライフプランに応じた商品・サービスのご提案を行うことができるということ。営業職員チャネルの強みはコロナ後も変わらないと考えております。
一方で、営業職員チャネルがそうした強みを発揮して変わらぬ価値を提供していくためには、各社がその自社のビジネスモデルやチャネルの特性に応じたコンプライアンス・リスク管理体制の整備に不断に取り組むことが前提となります。そういった意味で現在各社においてですね、着眼点の内容を踏まえた体制強化に取り組まれているものだと考えております。協会としても、各社の新たな取り組みや、またその取り組みの中で生じた課題などを丁寧に拾い上げ、共有するなど、継続的なフォローアップを通じて各社の取り組みを後押ししていく必要があると考えております。
次期体制において清水博(日本生命保険社長)次期協会長の強いリーダーシップのもとで、引き続きお客様からの信頼を高め、生命保険事業の発展に繋がる取り組みを力強く推進いただけるものと私は考えております。以上、2点に対する回答を申し上げました。
Q.次のパンデミックへの備えと為替リスクへの対応について。
次のパンデミックにどういう備えを考えているのかということと、為替リスクなどの説明については、とても重要な点だと思います。将来のパンデミックについて予断を持った回答は差し控えさせていただきますけれども、新型ウイルスの感染力や危険度に加えて、医療提供体制の状況などその時々に応じて、政府において必要な措置が講じられると考えております。
生命保険業界として、今回は非常に迅速な対応が取れたと思っております。政府の対応や社会情勢を見極めながら協会としての対策本部の設置などの判断ですとか、会員各社の支払い体制の整備や、評価の手続きのデジタル化、こういったもの一部お客様に支払いをお待ちいただくケースがございましたけれども、総じてこの3年間、迅速に手を受けたのではないかなと思っています。それを通じてですね、協会として社会的責任を果たしていくことが引き続き重要だと思っておりますので、今回の経験を生かして次のパンデミックに備えることができると思っております。ただ、どのようなパンデミックが到来するかは、なかなか予想がつかないものですから、その都度政府の対応と歩調を合わせてお客様にしっかりと寄り添うということ、これが非常に重要かなと感じております。
続きまして為替リスクですね。この1年間大きな金利上昇と為替の変動がございました。外貨建ての生命保険はこの1年間、金利が上昇したので非常に販売が好調でした。また今後、為替の変動リスクなどがございますので、元本割れリスクや為替の変動リスクについてしっかりとした募集局面でのご説明と、アフターフォローの局面でもしっかりとお客様に情報提供し、現状についてご理解いただくことが重要だと考えております。
例えば当社第一生命のグループ会社で第一フロンティア生命がございますが、募集時に将来円高となった場合に円ベースの受け取り額がどうなるかというそういう試算値を実はご提供しておりまして、為替リスクについて定量的にご説明するなど、お客様に正しく理解いただいた上でご契約いただけるような取り組みを行っております。引き続き各社の創意工夫を通じてですね、為替リスクについての注意喚起、ご説明を充実すべきということが重要かなと思っております。以上でございます。
Q.適合性の準拠など銀行の販売に対するサポート体制について
私も今回2回目の協会長でございますが4年前の1回目の協会長の当時からですね、外貨建て保険の苦情が当時は増加している状態でございました。その時からですね、銀行業界とは、特に全銀協と定期的な意見交換を行うようになっております。なので苦情の状況の共有ですとか、ご質問のあったようなその適合性をどうやって準拠していくのか。そういったコミュニケーションは非常に定期的に取れておりまして、情報提供、例えばアフターフォローの段階での解約返還金の情報などの提供とかですね、そういった面からのサポートというのは充実してまいりました。これで十分ということはなかなかないエリアだとは思いますので、引き続き各社の創意工夫を通じて、銀行業界と連携してですね、しっかりとしたご説明をしていくことが重要だと受け止めております。
Q.デジタルの活用やSDGsへの取り組みに関する振り返りは。
今ご質問いただいた通りデジタルの活用については、非常に力を入れてまいりました。4月の会見の時も少しご説明させていただきましたが、マイナンバー制度の利活用については非常に業界として影響が大きいかなと思っています。4月にも提言書を公表させていただきましたが、デジタル庁とは作成の段階からですね、実は継続的に意見交換をさせていただいております。そうした対話を踏まえてですね、今般はそのデジタル庁のホームページで、マイナンバーカード普及利活用に関する情報が発信されているサイトがありまして、「マイナンバーカード・インフォ」というコーナーがあるんですが。そこで民間事業者向けのお役立ち情報の一つとして生命保険協会の報告書・提言書、4月に公表したものをご紹介いただける運びとなりました。
そうしますと、例えば住所変更された場合に自動的に我々が住所変更の情報が得られるようになるとか、あとちょっと先になりますけれど健康情報も、これはまだ制度ができておりませんけれども、お客様のご了解をもとに健康情報をマイナポータルに持ってくるということで我々の事業者のコストを下げることによって、結果的には利用者コストですね、お客様のコスト保険料の引き下げにも繋がるような、まさに利便性を向上するということで非常に良い提言がこの1年間でできたと思っております。なのでそれをしっかりと継続していくということかなと思います。
もう一つSDGsなどについてのこの1年の取り組みですけれども、今年は人権ハンドブックというものを作成いたしました。2月に公表したんですけれども、人権について、特にこの1年で言いますと日本政府の力も非常に心強かったかなと思っております。このタイミングで人権尊重という考え方、これを業界全体に執行するということ、そういう啓発の意味を込めてですね協会として取りまとめることができました。これはプロジェクトチームを作りまして最新情報収集・共有を行って、この協会としてですね果たせる役割が大きい分野だと思っておりますので、このSDGsに関する取り組みも継続的に協会としては取り組んでまいりたいと思っております。
Q.一連のマイナンバーカードのトラブルに関する受け止めは。
生命保険業界としては、このマイナンバーカードやマイナポータルの利活用を通じた生命保険会社による新しいサービスの提供を後押ししていきたいと思っていますので、安心してこのマイナンバー制度を活用したサービスをお客様が利用できる環境の整備がやはり不可欠だというふうに認識しております。国民の皆様が安心して、マイナンバー制度を通じたサービスを利用できる環境の整備、これをぜひ実現いただくようですね、政府には、このトラブルの防止策の確実な実行とですね国民への正しい情報発信や丁寧な説明、理解の促進をぜひ行っていただきたいと望んでおります。
Q.業界として個人情報の取り扱いに対して求める姿勢は。
生命保険業界も医的情報、お客様の給付金の請求などでですね、診断書の提出などをしていただくのでお客様の機微情報もお預かりする立場でございますので、個人情報に関しては、会員各社はより一段高いリスクレベル、リスク管理を図っていると認識しております。そういった意味で、マイナンバーも安心感が大前提になっていると思いますので、これはもう要望という形になりますが、利用者が安心して活用できるような、マイナンバー制度、マイナポータルの制度というのが大前提になりますので、しっかりとお願いしたいと思っております。
2023.04.24 19:11
Q.診断書の電子化に向けた提言は、医師会等との調整はできているか。
まだそこまでの議論はできておりません。ただPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)やEHR(電子健康記録)というその政府の方針もですね、健康診断情報ですとか医療情報をデジタルで繋げるという方針が出ておりますので、そういった全体像の中で、そういった課題についてはしっかりと対応されるものだというふうに認識しております。結果的にですね、事業者と利用者それぞれのベネフィットになるようなものを我々提言しているつもりでございまして、しっかりWin-Winになるような、そういう形に仕上げていくことがとても普及率上げるためにもですね、重要かなというふうに感じております。
Q.マイナンバーのデータ利活用における日本の生保業界の強みや弱みについて。
報告書の前半のところが諸外国の調査レポートになっております。日本のマイナンバーはやっぱりこのタイミングとしてはですね、諸外国今回我々がベンチマークしている国々に比べてちょっとスタートは遅いかなというふうには思っております。現在普及率がもう75%を超えてきておりますので、またデータの信頼性という意味ではしっかりとしたものを構築いただいてるというふうに思います。したがいまして、まだそのカバレッジや有効・利活用事例というのは諸外国に比べて、まだその件数は少ないとは思いますが、今後のポテンシャルというのは非常に高いポテンシャルがあると思っております。後半の方の提言書ではですね、9つの利活用の我々の思いを書いております。それが実際実現されるとですね、利用者によって非常に利便性の高い、また我々の事業者にとってもですね、コストを下げることができる、そういった有効な将来像を描いております。ぜひご覧いただければというふうに思います。非常に期待している。エリアでございます。
Q.営業職員のコンプライアンス・リスク管理の高度化について。
着眼点を2月に公表しまして、会員各社におきましては、この着眼点を踏まえた各種体制のチェックが現在行われているというふうに思います。個社としまして第一生命は先週ですね、リリースをさせていただきましたが、経営品質刷新プロジェクトの中で、この着眼点のフレームワークを重ね合わせる形で、我々の点検を行っているということ、これが会員各社で現在行われているというふうに思っております。その中で見えてくる課題、残課題というのは、会員各社それなりに出てくる可能性はあると思っていまして、それを着実に進めていただくということが、協会長としての期待でございます。
Q.マイナンバー制度を通じたデータの利活用の検討について。
本日公表したこの提言書、報告書に関してマイナンバー制度を通じたデータ利活用による生命保険のサービスとしてどのようなものがあるかという内容について、コメントさせていただきます。本提言書では、ご加入時、ご契約中、また給付金等のご請求時という生命保険の手続きの流れに沿って、9つのユースケースをお示ししております。せっかくですので一つ事例をここでご紹介させていただきたいと思います。この本冊子のですね63ページをご覧ください。図になっております。ご請求時の事例を示しています。現状が冗談ですけれども、現状では入院や手術をした場合お客様が、保険会社にご連絡いただいた上、病院から診断書をお客様が取得されて、それを保険会社に提出して、給付金を受け取るというのが現在の一般的な手続きの流れとなります。これに対して下段、将来像でございますが、マイナポータル経由でお客様の医療情報が保険会社に連携されるという前提でございますがどのような、どのように生活が便利になるかという将来像を示しております。具体的には、お客様の事前同意に基づいて、保険会社がマイナポータル経由で定期的に医療保険情報を確認いたします。この2とか3ということですね。そして入院等された事実が把握できた際には、保険会社側からですねお客様へプッシュで請求手続きをご案内する。この4、5をするというそういう将来像です。お客様にとっては、病院から診断書等を取得して、保険会社に郵送する手間が軽減されます。忘れずに最適なタイミングで給付金等を受け取ることができるようになるなどのメリットがあるというふうに思っております。保険会社にとっても、迅速確実なお支払いに繋がる効果があるというふうに期待しております。こうした給付金等の請求手続きのデジタル化に対するニーズは非常に高くて、消費者アンケートの調査結果においてもですね、7割近くの肯定回答を得ているという状況です。一方で現行制度においては、民間事業者は、手術等の医療情報をマイナポータル経由で確認できない点や、お客様の同意取得の面でも、その情報連携の都度、お客様の同意が必要となっている点など、本ユースケースの実現に向けては、医療情報等のタイムリーなデータ連携の面で課題があるということも併せて認識しております。このため、生命保険協会としては、提言書でお示しした9つのユースケースを踏まえ、政府に対して、マイナンバー制度を通じて得られるデータの拡充や機能面の向上などの環境整備を働きかけていきたいというふうに感じております。
2023.04.24 19:10
Q.みなし入院対応の総括について。
現時点では総括とまではいきませんが、みなし入院の特別取り扱いについては、病床の逼迫などの事情で、本来入院が必要な方が入院できないという課題に直面する中、協会会員各社が特例措置として、保険約款を柔軟に解釈したことに加え、支払い体制の増強や、お客様対応などの面でも創意工夫して、この3年間対応してきたものとなります。新型コロナによる入院給付金の支払いは、2023年2月時点で業界全体で1090万件1兆2000億円を超える規模となりました。これはお客様に安心をお届けするという生命保険会社の社会的使命を果たすべく、各社が努力を重ねた一つの結果ではないかというふうに私は考えています。先ほどご説明させていただいた通り足元では、政府における新型コロナの感染法上の位置づけの変更に伴い会員各社より、みなし入院に関わる給付金のお支払い方針等が公表されているものと承知しております。当然のことではありますが、給付金の支払い範囲の変更に際しては、各社において引き続き丁寧な、お客様向けのご説明が行われるよう努めていくことが非常に重要である。いうふうに認識しております。
2023.04.21 18:57
生命保険協会長の稲垣でございます。私の方からは3点ご報告をいたします。
まず1点目は新型コロナウイルス感染症における給付金の特別取り扱いの対象についてです。政府において、来月5月8日から新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置づけが5類感染症に変更され、この位置づけの変更により、感染症法上の入院措置勧告が適用されなくなる予定となっており、これまで会員各社においては、感染法上の入院措置勧告が適用される高齢者等の重症化リスクの高い方々を対象として、みなし入院の特別取り扱いが行われてきましたが、今般の政府方針を踏まえ、各社において、特別取り扱いの見直しの検討が必要となっております。
このため、会員各社において、みなし入院による入院給付金等の取り扱いの見直しに向けた検討や、見直しを行う場合の、お客様への丁寧なご案内が適切に行われるよう、先般、4月10日に生命保険協会として会員各社への周知を実施しております。これを受けて会員各社にて検討が進められ、医療保険など、入院給付金等を有する保険商品を販売している保険会社39社全社が、全てがホームページ等にて、みなし入院に関わる給付金等の取り扱いの方針等を掲載しているものと承知しております。
各社のリリース等にて公表の通り、高齢者等の重症化リスクの高い方々を対象としている現状のみなし入院の個別取り扱いについては、5月7日までに新型コロナウイルス感染症と診断された方がお支払いの対象となり、5月8日以降も請求いただけるものと承知しております。また新型コロナウイルス感染症と診断され、医療機関に実際に入院された場合には、各社の約款に応じて、5月8日以降、入院された場合は入院給付金等のお支払いの対象となるものと承知しております。詳細につきましては、各社のホームページ等にてご確認くださいますようよろしくお願い申し上げます。なおMy HER-SYSの療養証明書機能につきましては、9月末まで同機能の利用が可能であることが、厚生労働省より公表されております。
生命保険にご加入の皆様におかれましては、ご請求もお手続きに際しては医療機関や保健所の負担軽減のために、可能な限りMy HER-SYSの医療証明をご利用いただきますよう、ご理解とご協力をよろしくお願いします。1点目については以上でございます。
2点目は、本事務年度の重要テーマとして位置づけております持続可能な社会の実現に向けた生命保険業界としての役割発揮に向けた取り組みとして、デジタル社会における生命保険協会の将来報告書、提言書を取りまとめ、本日公表いたしました。
コロナ禍を経て、社会全体のデジタル化が加速し、生命保険業界においても、デジタル技術を活用した非接触でのサービスや手続きの効率化などが進展してまいりました。足元では政府において、マイナンバーカードやマイナポータルの活用による各種サービスの拡充、環境整備に向けた施策が展開されており、今後ますますマイナンバーカードの普及率や国民生活における利用機会は増加していくことが見込まれております。
マイナンバーカードが新しい社会基盤となるこれからのデジタル社会において、マイナンバー制度の利活用により、行政機関等が保有するデータの連携が可能となるということで、民間においても、一層のお客様の利便性の向上や、新たなサービス創出の可能性が広がっていくものと期待をしております。こうした状況を踏まえ、今般、生命保険協会として、諸外国におけるデジタル活用の事例を参考としつつ、マイナンバー制度を通じたデータ利活用による効率的、効果的な新たな生命保険関連サービス提供の可能性を検討し、民間の視点から生命保険にとどまらず、国民生活を豊かにする新たなサービスの創出に必要な環境整備を促す観点から、本報告書、提言書を取りまとめをいたしました。
「デジタル社会における生命保険業界の将来」報告書・提言書お手元にお配りしている冊子の表紙をおめくりいただき、ぜひ目次をご覧いただきたいと思います。本報告書、提言書は2部構成になっております。第1部は社会保障制度におけるデジタル対応と諸外国の取り組み事例の調査報告書となっております。ここでは特に諸外国で普及している日本のマイナンバーと類似の仕組みである個人識別番号の仕組みや、官民での利活用の状況などについて調査結果をまとめております。例えば、諸外国においては行政分野に限らず、生命保険などの民間分野においても、様々な場面で個人識別番号の仕組みが活用されており、こうした事例は、日本におけるデータ利活用の検討にあたっても参考になりうるものと認識しております。
第2部は、マイナンバー制度を通じたデータ利活用による生命保険の利便性向上に向けた提言書となっております。第1部の報告書も踏まえ、生命保険分野における具体的なユースケースを検討し、保険金支払いの効率化、自動化などを、お客様利便に資する対応の実現に向け、制度面等の課題について提言事項をまとめてございます。将来的に、生命保険会社がお客様のご本人の同意のもとで健康医療分野を含む幅広いデータを利活用できるようになれば、手続きの効率化にとどまらず、お客様の健康寿命の延伸やQOL向上に資する新たなサービスの実現に繋がりうるものと考えております。
この提言書に掲載したユースケースは実現のめどが立っているものや、今後の検討に期待するものなど状況は様々ではございますが、生命保険業界としても、新しい社会を見据え、お客様1人1人のニーズに合った最適なサービスを提供し続けることで、お客様の未来のウェルビーイングに貢献していきたいと考えております。2点目は以上でございます。
そして3点目は、生命保険会社の資産運用を通じた株式市場の活性化と持続可能な社会の実現に向けた取り組みでございます。生命保険協会では毎年企業価値向上に向けた取り組みに関して、幅広い視点から企業投資家の皆様へのアンケートを実施しております。
その分析結果をもとに、企業や投資家等に対する提言をとりまとめた報告書を本日公表いたしました。先月、東京証券取引所より、プライム市場およびスタンダード市場に上場する企業に向けて、いわゆるPBR1倍割れ企業に対するスタンスが示されておりますが、生命保険協会といたしましても、企業の持続的な価値向上というのは非常に重要なテーマであると考えております。
今回のアンケート結果について簡単にコメントさせていただきたいと思います。こちらの冊子の4ページをご覧ください。下段にですね、今回の提言項目をまとめております。5ページ以降にですね、それぞれの提言内容をお示ししております。
5ページの上段、株主還元拡大については、76%の投資家が現状の株主還元配当水準に十分満足しているとは言えないという結果でした。株主還元の考え方については、各企業の成長ステージに応じて柔軟に設定されるべきものだというふうに認識しておりますが、対話を通じて投資家の期待をしっかり把握し、中長期的な還元拡大に向けた取り組みを行っていくことが、大変重要だと考えております。また本冊子の6ページ上段にですね、資本コストを踏まえたROE目標の設定について、87%の投資家が8%以上のROE水準を期待している一方、上場企業の45%がROE8%未満にとどまっているということがわかります。
ここから、株主還元や資本効率について、投資家の期待値と実態との間に、依然としてキャップが存在しているということが言えるかと思います。このように、本報告書では、それぞれの項目について、継続的なアンケート調査に基づき企業と投資家それぞれの視点を示し、双方のギャップに着目することで、企業の持続的な価値向上ひいては株式市場全体の活性化に資するための提言を取りまとめております。
本日、この改定の後にですね、本報告書に関する説明会を行いますので、そちらもぜひお聞きいただければと思います。私からは以上でございます。