フィンテック経営者に聞く㉗ スマートバンク・堀井CEO
2022.11.20 04:50家計簿プリペイドカード「B/43」(ビーヨンサン)を提供するスマートバンクは、家計管理機能を強化して、利用者の金銭使い過ぎ防止に注力する。「今いくら使える」かが一目で分かるよう、決済履歴をリアルタイムに反映。Visaのプリペイドカードと連携したスマホアプリでは、お金の利用目的別に「ポケット」を作成して残高を分けられる。堀井翔太代表CEO(37)にサービスの内容や、これからの事業展開について聞いた。(資金調達は、三井住友海上キャピタル・DBJキャピタルなどから総額20億円)
起業したきっかけは
「以前、日本初のフリマアプリ『FRIL(フリル)』を作り最終的に楽天に売却した。フリマアプリでは利用者からお金を預かる機会も多く、そのなかでキャッシュフローが回っていないユーザーがいることに気付いた。毎月の支出管理や家計管理に課題を抱える人が多いと感じ、家計簿アプリの市場調査などを経て2019年4月に当社を起業、21年4月に『B/43』、21年7月に『B/43ペアカード』を開始した。二つを合わせると、8カ月の時点で累計10万ダウンロード、累計決済件数は100万件超え、決済取扱高は月間数億円となっている(21年末時点)」
B/43ペアカードを詳しく
「20代~30代の共働き夫婦や同棲カップルをメインに、2人で使える家計管理プリカだ。2人で生活をすると、立て替え払いや送金など金銭に関する面倒ごとが発生するが、2人それぞれのアプリに共同口座を作ることで、送金や家計管理を簡単に行えるようにした。パートナーが決済した際にはスマートフォンに通知し、互いの利用状況もリアルタイムでわかる。利用者からの反響は大きく、3カ月利用した顧客は、ほぼ100%の継続率だ。継続するにつれて利用者の月額利用金額は上昇しており、利用開始翌月には約1.6倍、10カ月後には約2.8倍に増加している。世の中には多くのキャッシュレス決済サービスがあるが、ニッチな層に対象者を絞り込むことで、パートナーとの生活費支出のメインカードとして利用されるようになった。結婚していないカップルは家族カードが使えないので、その層を取り込んでいる部分もあるようだ」
これからの事業展開は
「親と子どもで家計管理ができるキャッシュレス決済を今冬リリースする予定だ。いずれ当社のサービスでユーザーが蓄えたお金を資産運用で増やすことまでつなげていきたい。当社の資金調達先には保険会社があるため、ユーザーに保険を提案するようなサービスも展開できたらと考えている。金融機関からは住宅ローンなどを当社のサービスで展開する話もいただいている」
※本シリーズは随時配信しています。過去の記事は下記からご覧いただけます。
おすすめ
アクセスランキング(過去1週間)
- 東海地区地域銀、住宅ローンで全国突出、愛知三河の競争過熱
- 琉球銀石嶺支店、長短戦略で業績伸長 20期ぶり優績店表彰
- 三井住友FG、マネーフォワードと事業連携 オープン戦略で「オリーブ」基盤拡大
- 都銀と地域銀、国債運用の姿勢に差 政策金利見通しで〝違い〟
- 信金中金としんきんAM投信、投信窓販の知見拡大へ 東名阪で信金向け新研修
- 地銀、割れるDC掛け金見直し 社員向け支援多様化
- 【M&A 地銀の選択】(4)譲渡の決断、寄り添う5年
- 盛岡信金本町支店、全員セールスで目標達成 働きやすい職場環境整備
- りそなHD、アプリ2000万DL目標 地銀へ提携働きかけもー南社長インタビュー
- 十六FG、DX支援3000件へ 合弁2年、提案力築く