フィンテック経営者に聞く④ ネットプロテクションズ・柴田社長 

2022.05.15 04:50
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国内で初めて後払い決済(BNPL)サービスを始めたネットプロテクションズ(2000年設立)。BtoC通販向け決済「NP後払い」や、BtoB向け決済「NP掛け払い」を主軸に急拡大するマーケットで国内シェア4割強を占める。21年2月に約60億円、6月に約10億円、9月に約10億円を資金調達。21年12月には東証1部(現在はプライム市場)に上場し、さらなる成長が見込まれる。柴田紳代表取締役社長(46)に将来の展望などについて聞いた。


当初から順調だったのでしょうか


「当社は設立後すぐにIT系の投資会社に買収された。私はその投資会社で買収に携わり、とにかく現場で勤務することを望んで、01年に26歳で出向した。買収時は後払い決済サービスが構築されているとの話だったが、出向後、何も事業をしてないことが判明。反発する20人のプロパー社員と、親会社である投資会社との板挟みになりながら1人で02年に『NP後払い』をつくり上げ、04年に代表取締役に就任した。出向してから5年間は非常に苦しかったためか、あまり記憶がない。11年に『NP掛け払い』をリリースし、現在は台湾とベトナムにも進出している。


取扱高が伸びています


「EC(電子商取引)向けBtoCを中心に、21年度の取扱高は3423億円(前年度比16%増加)となった。EC市場の拡大に合わせて成長している。商品到着後やサービス終了後に利用者の自宅に請求書を郵送し、金融機関やコンビニなどで代金を支払ってもらう仕組みだ。加盟店からは4~5%の手数料をいただき、利用者には購入金額0.5%のポイントが付与される。利用者は、女性が7割。服や美容品、健康食品などの購入が多く、1回当たりの平均購入金額は6000円となっている。同業他社は若年層がメインターゲットだが、当社は40 ~60代が半分を占め、8~9割がリピートするのも特徴だ」 


貴社の強みは


「20年近く培ってきた歴史と独自の与信システム、そして企業風土だ。当社は後払いサービスの草分けで、加盟店はユニクロをはじめとして6万9000店舗と広範なネットワークを構築している。3億件以上の独自取引データとAI(人工知能)を活用し、与信通過率は97%と高いが、未払い率は0.53%と低い。1回の取引上限額を5万円に抑えることもリスクの分散につながっている。マネージャー職がなく、社員の自立性を最大限に引き出す『ティール組織』ということも強みだ。直近10年の新サービスは全てボトムアップで生まれている」


地域金融機関との提携も始まっています


「今年4月に伊予銀行、今月には多摩信用金庫と業務提携した。今後も連携を増やし、国内全エリアにネットワークを作りたい。地方金融機関の顧客である地方事業者は、対面による現金集金などが主流でDX(デジタルトランスフォーメーション)が遅れている。当社のBtoB向け決済『NP掛け払い』を活用すれば、請求書の発行から未払いリスクまでカバーできる。多数ある業界・業種ごとの商習慣に合わせたサービスを展開する予定だ」

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