フィンテック経営者に聞く㉔ ビー・インフォマティカ 稲田代表

2022.10.16 04:56
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フィンテック経営者に聞く

小規模事業者を対象に、心理統計テスト審査(サイコメトリックテスト)を用いた融資プラットフォームをマレーシアで展開するBeeInformatica(ビー・インフォマティカ)。2021年5月の貸し付け開始から1年で貸付残高は日本円で約1500万円(41件)を超えた。22年8月には日本でもサービスを試行的に始めている。日本銀行や外資系コンサルタント会社などの勤務経験もある稲田史子代表取締役社長兼CEO(43)に創業の経緯や将来の展望について聞いた。(22年7月に資金調達済み)



創業の経緯は


「国際貢献とマイクロファイナンス(貧困層・低所得層の貧困脱却を支援する小規模金融)に興味があった。バングラデシュを訪れて実際の現場を見学した際、融資だけではなくその後の伴走支援も手掛ける姿に感動し、新興国で事業を手掛ける人の夢を後押したいと考えるようになった。その後、サイコメトリックテストを知り、この手法なら金融にアクセスしたことのない人にも与信スコアを付与することができると感じた。19年8月、市場規模がありデジタルの親和性も高いマレーシアで法人を立ち上げ、20年10月に現地で貸金業ライセンスを取得、20年11月には日本法人を設立した」



心理統計テスト審査はどんな仕組みですか


「借り手はウェブサイトで銀行口座や属性データなどを記入し、起業家精神・金融リテラシー・法令順守の3要素からなる性格診断テスト35問に答える。その後オンライン面談し経営状態などの聞き取り、創業者や個人のポテンシャル、返済意思、思考回路をスコア化する。オンライン面談まで含めて30分程で終了する。審査の際には、AI(人工知能)が抽出したデフォルトする人の特徴を踏まえ、それに関連するスコアの高い人を除外することで、デフォルト率を抑えている。日本は金融インフラが発達しているため、融資の際はクレジットカードの与信や、銀行口座の出入りをみるのが確実。一方、マレーシアは個人がクレジットカードを持つことが難しいため、与信スコアがなく融資の審査すら受けられない。このため心理統計テスト審査が大きな役割を果たしている」



利用者の属性などは


「小売・飲食・被服・Eコマース(電子商取引)を手掛けるスモールビジネスの事業者が多い。男女比は半々となっている。銀行から業務用資金の借り入れを断られた人で、一口30万円の借り入れが多い。金利は19.8%で、キッチンキャパシティーの拡大、モールのイベントや新しいブース設置の敷金に使用されている。顧客の60%はスモールビジネスとつながりがあるイベント会社経由で流入している」



日本の金融機関との取り組みは


「日本でも、今年8月から心理統計テスト審査を生かしたプラットフォームを試行している。社会が多様化し、在日外国人を中心に与信スコアが取得しづらくなっているため、ニーズがある。金融機関が当社のサービスを使うことで、従来では融資しづらかった、若者や外国人などの新たな顧客層を開拓できるソリューションになると考えている」


 


※本シリーズは随時配信しています。過去の記事は下記からご覧いただけます。


①Siiibo証券・小村代表取締役 


②Crezit・矢部代表取締役社長


③ビットバンク・廣末代表取締役社長


④ネットプロテクションズ・柴田社長


⑤400F・中村代表取締役CEO


⑥Opn・長谷川CEO


⑦JPYC 岡部代表取締役


⑧トリニティ・テクノロジー磨代表取締役CEO


⑨ KAERU・岡田代表取締役


⑩ Fintertech・武田社長


⑪ クラウドローン・村田代表取締役


⑫AGE technologies・塩原CEO


⑬ Lecto・小山社長


⑭ IB・井藤CEO


⑮ ペイトナー・阪井社長


⑯ スマートプラス・小林代表


⑰ GIG-A・アリキヴィCEO


⑱ベター・プレイス 森本社長


⑲イークラウド・波多江代表


⑳シンプルフォーム・田代代表


㉑Kyash・鷹取社長


㉒Kiva・野尻代表


㉓シャトル・見原代表取締役

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