銀行界、会話生む仕掛け続々 執務スペースに卓球台も
2024.11.17 04:50
銀行界が、オフィス内で気軽に人が集まれる「マグネットスペース」に再注目している。出社回帰が加速するなか、部署の垣根を超えた社員同士の偶発的な会話を生み、新たなアイデア創出につなげたい考え。
GMOあおぞらネット銀行は、本社執務フロアにクッションソファで仕事・打ち合わせが可能なリフレッシュコーナーに加え、息抜きに利用できる卓球台も配置。みずほフィナンシャルグループは、社員が2人そろうと飲料代が無料になる自動販売機を3台導入したほか、地方銀行でもテラスや社内カフェなどを設置する動きが出ている。
GMOあおぞらネット銀は、本社12階にある社員の執務スペースの一角に社長・会長の部屋を設置するなどフラットな空間を演出。フロア中央には卓球台やソファ席などを配置し、社員が自然と会話したくなる雰囲気を作る。週2日はリモートワークを認めているが「フル出社する社員も少なくない」(同行)。
北国フィナンシャルホールディングスは2025年7月に完成する新ビルの4階以上の各オフィスフロアに、執務可能なテラスを設ける。各テラスを階段で行き来できるようにし、社員らの偶発的な会話を後押したい考え。常陽銀行は24年4月、これまで本部・営業間の文書の仕分け作業などを行う「発送ルーム」を約30席のカフェ・交流スペースに改装。Wi‐Fiや電源を配備し、打ち合わせやリフレッシュなどの場として活用されている。
帰属意識や生産性向上を目的にオフィス回帰の流れが出ているが、対面コミュニケーションの「質」をいかに高めるかが課題。センスクリエイト総合研究所の藤原裕之代表は「五感をフルに活用できるリアルの場には非言語情報があり、普段発見できないアイデアが降ってくることがある」としたうえで、「雑談のなかでも頭の片隅に仕事を意識させられるかが重要」と話す。