苦情に学べ 顧客にカスハラ行為の周知を

2024.11.02 04:10
苦情に学べ
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苦情に学べ

先月に引き続き「カスタマーハラスメント(カスハラ)」について取り上げる。


先日、カスハラに係るアンケートが公表された。内容は「カスハラの線引きはどこ?」といったものである。具体的には、どういった行為や言動を受けた場合、カスハラと感じるかといったものだ。


苦情に学べ 顧客にカスハラ行為の周知を カスハラの線引きはどこ?


をご覧いただきたい。1~10位のうち7位の「『誠意を見せろ』などと解決法のない要求をする」と9位の「使用済みの商品を『無料で交換しろ』と言う」以外の内容は皆さん見覚えがあるのではないか。まさに「パワーハラスメント(パワハラ)」の典型的な内容である。そう考えれば、カスハラへの対応の基本はパワハラへの対応と同じと言ってもいいのではないか。


では、こうしたハラスメントへの対応で大事な点は何か。いくつかあるが、重要なポイントは「あなたの行っている行為・言動はハラスメントに該当しますよ」ということを認識してもらうことである。


よく言われることだが、パワハラを行っている人は自分がパワハラだという認識がなく、その行為を行っていることも多い。従って、顧客に対してどういった行為・言動が自金融機関におけるカスハラに該当するか周知し、認識してもらわないとパワハラ同様にハラスメント行為が発生する蓋然(がいぜん)性が高くなると思われる。


そのときに重要なのがカスハラに係る基本方針である。


顧客から「自分のどの行為・言動がカスハラなのか」「どこに該当すると書いてある」と言われた場合に、「当金融機関の基本方針に明確に書いてあります」と言えたり、示したりできれば行職員にとっても強い説得材料にもなるし、行職員が安心して対応できるのではないか。


マネーロンダリングの顧客対応と同様に、顧客もカスハラという言葉は聞いたことがあっても実際にどうなのかを知らないケースが多いと思われる。


金融機関としては、基本方針を打ち出すとともにその態勢構築に際して、いかに顧客やステークホルダーにカスハラを周知していくかといった施策についても真剣かつ具体的に考えなければならないと考える。


金融監査コンプライアンス研究所代表取締役 宇佐美 豊


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