銀行界、統合報告書 「見せ方」工夫 「多過ぎ」でMUFG刷新

2024.09.11 04:45
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レイアウトを変更し、ページ数を減らしたMUFGの統合報告書
レイアウトを変更し、ページ数を減らしたMUFGの統合報告書

銀行界で統合報告書の「見せ方」を工夫する動きが広がりそうだ。開示情報の充実と並行して、その厚みが年々増しており、5年以上統合報告書の発行実績がある32の銀行・グループ(G)の2024年3月期の平均ページ数(本編)は約100ページ(9月9日時点)。4年前と比べ約30ページ増えている。一方、投資家からは「多過ぎる」との声もあり、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)はレイアウトや掲載内容を刷新した。


MUFGが7月にデジタルで発刊した統合報告書では読みやすさを改善するため、一部項目を削除し、A4縦型からA4横型に変更。レイアウトを見直したため、単純比較はできないが、ページ数は23年3月期の144ページから82ページに減った。MUFGは「構想段階からボリュームを削減し、誰にでも読みやすい統合報告書をめざす一方、統合報告書でしか読めない内容を記載した」という。


コンコルディア・フィナンシャルグループは、投資家からの評価が高い「企業価値向上へのロジックツリー」に基づいた章立てに変更した。自己資本利益率(ROE)向上と株主資本コスト抑制に向けて必要なアプローチを図解したもの。ロジックツリーの解説に統合報告書本編全体(138ページ)の半分のページを割いた。


年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が委託運用機関を対象に行った調査によると、「網羅的な開示ではなく、メリハリ・こだわりのある記載となっているか」といった見せ方も統合報告書に必要な視点となっている。金融機関を含む上場企業の投資家向け広報(IR)支援を手がけるプロネクサスの大佐田裕一郎常務執行役員は銀行界の動向について「他行とは異なるクオリティーのものを出せるかの競争」と指摘する。


一方、非財務情報の充実に加え、日英同時開示や有価証券報告書の株主総会前の開示など、今後も情報開示の負担は増していく。現場の〝開示疲れ〟を指摘する声もあり、銀行間で開示の量・質に差が広がりそうだ。


※この記事は2024/10/15にfree記事に変更しました。


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