日銀、政策金利据え置き 円安は物価に「大きな影響ない」
2024.04.27 06:00
日本銀行は4月25、26日に開いた金融政策決定会合で、無担保コールレート翌日物(短期金利)を「0~0.1%程度」に誘導する現行の政策を維持した。
マイナス金利政策解除を決め、17年ぶりに利上げした前回の3月会合で、中小企業の賃上げ余力が高まる蓋然(がいぜん)性の確認や、賃金と物価の好循環の強まりを見極める必要性を訴えて反対票を投じていた中村豊明委員と野口旭委員は今回、賛成に回り、「全員一致」での政策据え置きとなった。
同会合後に公表した「展望レポート(経済・物価情勢の展望)」では、生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)の前年度比上昇率(中央値)について、2024年度が2.8%と前回(1月)から0.4ポイント上方修正。25年度も1.8%から1.9%に引き上げ、今回初めて予測した26年度は1.9%とした。
植田和男総裁は会見で、円安基調の強まる為替市場に関して「金融政策は為替レートを直接、コントロールの対象とするものではない」と言及を避ける姿勢を見せつつ、「基調的な物価上昇率に無視しえない影響が発生するということであれば、金融政策上の考慮・判断材料になる」と付け加えた。足元の相場動向については「大きな影響はない」と政策委員の共通認識を語り、緩和的な金融環境を当面続ける考えを訴えた。
追加利上げについては、コアCPIで「2%」付近の予測が並ぶ展望レポートを踏まえながら「基調的な物価上昇率が見通しに沿って(物価安定目標の)2%に向けて上昇していけば、政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していく」スタンスを強調。先々の政策金利の水準感に対しても、日銀の見通し通りに経済が進展することを前提に、同レポートの予測期間(24~26年度)後半で「ほぼ中立金利の近辺にある」と触れた。一方、中立金利の算出については「かなりの不確定性がある」とし、知見や分析を深めていく姿勢を示した。

日銀の金融政策維持を受け、26日の外国為替市場では1ドル=155円台半ばから156円台まで円が下落した。
その後、同日のニューヨーク外国為替市場では1ドル=158円台前半に急落し、1990年5月以来、34年ぶりの円安水準となった。
(展望レポートの詳細やマーケットの動きを追加しました。2024年4月26日12:38)
(植田総裁の会見内容を追加しました。2024年4月26日19:45)
(ドル円相場の動きを追加しました。2024年4月27日06:00)