マイナス金利解除決定、「金利ある世界へ大きな変化」 金融界コメント相次ぐ

2024.03.19 17:20
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3月19日、日本銀行がマイナス金利政策の解除を決めた政策決定会合を受けて、金融界から「金利ある世界」について歓迎のコメントが相次いだ。


◆みずほフィナンシャルグループ・木原正裕社長


①2016年1月に始まった「マイナス金利付き量的・質的金融緩和政策」の修正であり、②利上げ自体は2007年2月以来17年ぶり、という点で、「金利ある世界」への大きな変化の節目、「ゲームチェンジ」という認識。当社ビジネスにおいては、「運用と調達の利ざやの改善=金利収益の改善」の点で、ポジティブに評価している。ビジネスの原資として、預金を持つことの重要性が一層増すことから、普通預金、定期預金金利について引き上げを行う予定。「金利のある世界」においても、お客さまに選ばれる金融機関を目指し、お客さまの課題に寄り添い、バランスシートを活用しながら様々なソリューションを提供する当社のビジネスモデルは不変。経済の好循環に向けて、個人のお客さまの資産形成・資産運用の後押し、法人のお客さまの企業価値向上に向けた成長支援や構造改革のサポートを引き続き行っていきたい。


◆三菱UFJ銀行・半沢淳一頭取


金利正常化に向けた動きを歓迎したい。日本経済が「失われた 30 年」といわれる長期停滞から脱 し、持続的な成長軌道に回帰する大きな好機と認識している。「金利のある世界」における変化を先取りし、お客さまの課題に寄り添い共に解決を図ることで、お客さまや経済の発展に貢献していきたい。


三井住友銀行・福留朗裕頭取


8年振りのマイナス金利政策解除であり、日銀の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せることとなる等、日本経済が新たな成長の軌道に入っていく大きな転換点になると期待しております。SMBCグループでは、この金融政策の修正が市場に与える影響を注視し、経済環境の変化に対応し、お客さまの持続的な成長の支援に資する取り組みの更なる強化に努めてまいる所存です。


◆ひろぎんホールディングス・部谷俊雄社長


マイナス金利解除は、日本銀行が「2%の物価目標の持続的・安定的な達成が見通せる状況になった」と判断した証で、四半世紀にわたるデフレ経済からの脱却に向けた前向きな動きだ。これまではデフレとの闘いでコスト削減が優先だったが、地元経済では企業の賃上げ、投資などに対する意欲が高まっている。このような変化を踏まえた地域の持続的発展に向け、ひろぎんHDも地域総合サービスグループとしてソリューションの提供に努め、お客さまの成長に貢献したい。また、「金利のある世界」は、経験の無いお客さまも多く、特に銀行を中心に、正確な情報提供に努めていくことが使命と考える。


北海道銀行・兼間祐二頭取


当行では、これまでも様々な環境変化に対応できるように経営計画を立案しています。今般の政策修正によるプラス・マイナスという両面の影響を想定したうえで、プラス面を成果に結びつけられるよう取り組んでまいります。こうした中、当行における預金・貸出金の金利引き上げに関しましては、金利情勢及び地元経済の情勢なども十分注視したうえで検討を重ねてまいります。


七十七銀行・小林英文頭取


物価と賃金の上昇という好循環が確認され、経済も回復するなど、デフレ経済から適切なインフレ経済へ本格的に変わりつつあるなか、ようやく金融政策も正常化に踏み出したということをポジティブに捉えている。今回の政策金利の引上げも小幅であり、当面は緩和的な金融政策が続く見通しであることから、実体経済への影響は限定的なものと考えている。地域金融機関として、金融仲介機能とコンサルティング機能を発揮し、引き続き、企業、個人、地域経済全体の発展を支えていきたい。


常陽銀行・秋野哲也頭取


金融政策は日本銀行の専管事項であり、我々がコメントを申し上げる立場にはないが、政策変更を受けた金融市場の動向を踏まえ、地域経済において円滑な金融仲介機能を発揮していくことに変わりはない。金融引き締め方向での政策変更は17年振りとなり、国内経済の転機となる可能性もあることから、預金や貸出金のほか、資産運用や事業者様の本業支援といったコンサルティング機能を発揮し、地域経済を金融面を中心にサポートしていく。


◆千葉銀行・米本努頭取


今後の金利上昇幅や、地域経済に与える影響をよく見極めるなか、地域金融機関としてお客さまにしっかりと向き合い、引き続き資金繰り支援にとどまらず、DXによる生産性向上やGXによる脱炭素化の支援などといったお客さまの経営課題の解決に向けた提案力を高めていくことが重要と考えている。お客さまの事業の高付加価値化に向けてしっかりと支援をしていきたい。


◆静岡銀行・八木稔頭取


マイナス金利政策は、デフレ経済下における異例の金融政策であり、それが解除され、本来あるべき正常な金融システムに回帰することは、時宜を得た決定であると受け止めている。長きにわたり低成長が続いた国内経済の情勢は着実に好転し、昨年を上回る賃上げ、物価目標の実現の確度が高まっていることが本日の決定の背景にあると認識しているが、原燃料価格の高止まりや、人手不足の顕在化など、地域経済の持続的な成長に向けては解決すべき課題も山積しており、まだ楽観視できる状況とは言い難い。マイナス金利解除に伴う市場の変動やお客さまの課題・ニーズの変化を見極めながら、引き続き地域経済の発展に貢献するための取組みを推進していく。


◆城南信用金庫・川本恭治理事長


8年ぶりにマイナス金利政策が解除されたことから、お客様や市場にどのような影響が出るかを慎重に見極めて、預金・融資金利の引き上げを検討する。経営への影響は収益面での改善を期待している。景気が緩やかに回復しているとはいえ、当金庫のお客様向けアンケート結果を見ても、取引先中小企業にとっては、それほど実感があるとは思えず(賃上げできるお客様は36%にとどまる)、今後の融資金利の上昇は、取引先中小企業にとって、新たな負担になることも予想されるところから、当金庫としては、そうした取引先への金融支援、経営支援に、これまで以上に力を注いでいきたい。


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