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2023.04.10 17:14
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Q.大規模緩和を維持する上での副作用への目配りについて。
<植田総裁>
これは、ここまでもう既に今日ご議論になりましたYCCの市場機能に与えるマイナスの影響、あるいはマイナス金利政策が金融機関の収益に与える影響などを今後も重視していくということかなと思います。もう一つここまで今日それほど出てこなかった点といたしましては、急に持続的・安定的に2%になるということに気付いて急に政策を正常化するということになると、非常に大きな調整をしないといけないですし、それに応じて市場経済の大きな調整を迫られるということがあるかと思いますので、なるべくそういうことがないように、前もって的確な判断ができるようにしていかないといけないということかなと思います。
2023.04.10 17:13
Q.過去の論文などをどう捉え、理解すべきか。
私が書いたものをどういうふうに使っていただけたら良いのかというご質問が難しいですけれども、学者が書くものと政策担当者の判断の違いということについてはお話できるかなと思います。仮に同じ人がやるとしても、学者の場合はやはり学者として面白いこと、学者として正しいことを書かないといけないということですね。どうしても起こってることの一部分に焦点を当てて、その部分についてよく考えてみたらこういう結論になるっていう展開になりがちかなと思います。
これに対して政策担当者としては、現在起こっていることの政策を変えようとか考える場合には、関係する全てのことを、大事なことは全て考えないといけない。それを考慮してまとめると、結論は金利を上げるのか下げるのか分からないというようなケースも論理的には非常に多いということだと思います。学者としてこういう場合には金利を上げるという論文を書いていたとしても、同じ人が似たような状況で政策判断を迫られたときに学者として前提条件に入っていなかったようなことも考えつつ、判断を下さないといけないということですから、結論は全く違った方向になるという可能性もありますし、上げるのが良いのか下げるのが良いのか完全には分からない中で、時間に迫られて決断しないといけないということも多々あるかと思います。その上で、学者との違いは出した結論に対して責任を取る、というところが違うんだと思いますが、そのような両者の違いであるかなというふうに考えております。
2023.04.10 17:12
Q.市場との対話で一番重要なことや、日本銀行の中で変えていきたいことについて。
いろいろ難しいことを色々な面でやっている、というのが現在の政策だと思いますので、必然的に分かりにくいところはあるかと思います。どこをどう変えたらというのは難しいですけれども、一つ一つ、いっぺんに全部というわけにはいかないかもしれませんが、解きほぐすように分かりやすい説明を心がけていけたらなというふうに思っております。
2023.04.10 17:11
Q.大規模緩和を実施した10年の評価と課題認識について。
やはりひょっとしたら私が黒田総裁が就任された時期に、仮に総裁だったら決断できなかったかもしれないような思い切ったことをされた、決断されて実行されたというふうに評価しております。それはその時期、10年前の総裁として一つの判断だったと思います。その結果は、これはもう今日話がいくつか出ましたように、一方で残念ながらいくつかの外的なマイナスのショックがあったりしたこと、あるいはそこに至るまでの過程でのデフレやゼロインフレが足を引っ張ったことなどありまして、完全に2%の目標を達成する、しかも当初の2年でということは無理で、10年たっても、という結果ではあるわけですが、それでもデフレでない状況を作り出して、私どもにバトンタッチしていただいたっていうことは、非常にありがたいことだというふうに思っております。
したがいまして、そのバトンを受け取って、どなたかのご質問にありましたように、この5年間にできれば目標に到達するっていうようなことに全力を挙げたいと思いますし、その際に思い切ったことをやったことに伴う副作用についても配慮しながら、政策措置をとっていきたいと考えてございます。
2023.04.10 17:10
Q.総仕上げについて、5年間で仕上げられる状態に今の日本の経済はあるのか、目標達成に向けた緩和継続に関する見極めや判断への自信について。
2点関連してるとは思いますけれども、前半マイナスの外的ショックがなければ、今の状態が続いていて物価安定の目標は5年以内に達成されると思ってるのか、あるいは可能性が高いと思ってるというご質問だと思いますけれども、国会の審議で申し上げましたように、物価に関して良い動き良い芽が出てきてるっていうことは確かかなと思います。別の表現で言えば、基調的なインフレ率が少し上がってきているという動きが出ている。さらにそれについて、先ほどのご質問にもありましたように、賃金周りでさらに少し良い動きが出ているということですので、これが持続して、より高い基調的インフレ率2%の安定的持続的なインフレの達成ということに繋がる可能性は十分あるというふうに思っております。
後半のそういうことに関する判断を、お前はきちんとできるという自信があるのかどうかというご質問だと思いますが、こういうことに長年、研究者あるいは日本銀行の政策審議委員として携わってきたという経験があって、それは力になるとは思いますが、いろんな中央銀行が将来の物価見通しでは、過去にあるいは近い過去でも失敗していることもありますし、とんでもない人たちがやってきたわけではなくて、かなりの場合に非常に優秀な人が経済を見た結果、そうであるという面もあると思いますので難しいことであるということは十分認識しております。全力を挙げて頑張りたいと思います。
2023.04.10 17:09
Q.総裁打診の経緯と先進国の経済成長力鈍化を踏まえた国内金融政策の出口戦略について。
前半のご質問ですけれども、この総裁人事の経緯について詳しいことは残念ながらお話できないということで申し訳ありません。ただ私自身、よく考えてお引き受けすることを決めたということは申し上げられると思います。
それから、2番目でございます。世界各国について、まだ私見ておりませんけれども、IMFの近い将来出てくる見通しが下方修正であるということだったかと思います。それがその通りになるかどうかは別としまして、世界経済がややスローダウンの方向に入っている、さらに下振れのリスクもあるということは十分に認識しておりますので、日本経済の今後の情勢の判断においてその点は十分考慮して毎回の政策決定に当たってまいりたいと考えております。
2023.04.10 17:08
Q.現状の物価や春闘の動きについての見方とフォワードガイダンスについて。
1番目の春闘でございますけれども、先ほど来申し上げてますように、基調的なインフレ率がまだもう少し上がってほしいという中では、今年の春闘の、結果はまだ完全には出ておりませんが、ここまでは喜ばしい動きになってるというふうに判断しております。ただ、これが今後も続いて定着するかどうかというのを見極める必要があるのではないかと持続的、安定的な2%の達成という目標からは考えてございます。
それからフォワードガイダンスについて色々ありますが、もう少し整理する余地はないのか、あると考えているのかどうかというご質問だったと思いますが、そういうことを含めて、全てのオプションについて毎回の決定会合で今後議論していくということになると思いますので、その点については毎回の決定会合の結果をお待ちいただきたい。また、変えた場合はきちんと説明させていただくということになるかと思います。
2023.04.10 17:07
Q.欧米の信用不安が残るなかでの金融政策の判断の考え方と長期化するマイナス金利政策について。
前半は、金融システムの様々な問題、金利その他の操作の金融政策を考える際に、どの程度考慮すべきかというご質問でしょうか?これは非常に昔からある難しい問題であると思っております。とりあえず現状では、現在の日本ではということになりますが、金利を大幅に上げるというような状況ではありませんので、一方で金融システムは、一応先ほどもお話しましたように落ち着いているということですので、ここから多少、金融政策の修正とかを考えていく際にも、それほどの大きなイシューではとりあえずはないかなというふうに私は思っています。
<氷見野副総裁>
仮に出口を迎えられる状態になったときに、金融システムへの影響をどう考えるかというご趣旨かと思いますが、そのときの状況も様々、考えられますので、一概には言えないわけでありますけれども、基本的には低金利がずっと続いていくということは、金融機関にとっては、その利ざやを守ることが難しくなるという面があります。
他方金利が上がっていく局面では、債券ポートフォリオにその含み損が出るといったようなことも考えられるわけですけれども、ではその両方でプラスとマイナスがあった上で最終的には出口を迎えられるっていうことは、経済にとっても国民にとっても金融機関にとっても、相対的にはプラスだというふうに思いますけれども、移行過程をどうマネージするかということになると思います。
そこにつきましては、金融機関、地銀含め一定の頑健性を有しておりますし、また日銀の側でも、例えば金融政策決定会合では、金融機構局が金融システムの状態をきちんと報告することにしておりますし、また金融庁とも連携してリスク管理の向上については促してきておるわけでありますので、十分金融システムの健全性と両立する形で適切な出口をたどっていくということは可能だというふうに考えております。
<内田副総裁>
金融政策の枠組みのことから申し上げると2006年だったと思いますが、二つの柱による点検というのを行う。これは今の展望レポートの一番最後の章にそのように書いてあるわけで、その中身というのは、メインシナリオと、それからリスクシナリオ両方見ていく、そのリスクシナリオの中で、金融面の不均衡も含めて判断していくという枠組みになってます。ちょっと2006年正しいかどうか自分で調べていただければと思いますけれども、そういう中で氷見野副総裁からもありましたように今では年4回展望レポートを議論するときには、MPM(金融政策決定会合)に金融機構局から報告をさせるということも始めたわけです。その点も含めて、金融政策は判断していくという枠組みになっております。
その上でYCCについて先ほど申し上げた通りで、これは金融仲介機能にも配慮しながら、持続的に緩和をやっていくために導入した仕組みですので、そういう意味ではここで議論されているということですし、毎回議論されてることですし、金融仲介機能はしっかりと発揮されていて、この間の貸し出しは2、3%でずっと伸びてきているわけです。そういったことも考えながら政策は行われているということですし、今後もですね、こういうことを考えながら、先ほども一番冒頭で申し上げましたが金融市場で不連続なことが起きないように、政策は考えていく必要があるというふうに感じています。
マイナス金利についてのご質問だったと思います。マイナス金利政策ですけれども一つには現在の金融緩和のベースになっている政策であるかと思います。一方で副作用もあるわけですが、金融機関への影響というところが大きいと思います。ただ、金融機関が総体としては充実した資本基盤を備えているということで金融仲介機能は十分に発揮されているかなと思いますし、収益のマイナスの影響も小さくするような工夫がこの政策の中ではなされているというふうに思います。従いまして現在の基調的なインフレ率がまだ2%に達していないという判断のもとでは継続するのが適当というふうに考えてございます。
2023.04.10 17:06
Q.日本経済の成長に関する展望と、長期金利操作やETFの借入が適切だったかについて。
金融政策だけで経済の中長期的な成長を持続的に上げていくというのはなかなか難しいかと思います。教科書的な話になりますが、金融政策は経済の需要サイドに働きかけるものですから、需要サイドが落ち込んでいるときに、それを下支えしたり、供給にあったところまで引き上げていくところに力を発揮するわけですが、そこまでいってしましますと経済の成長率は、供給サイドの方の要因によって主に規定されるということですので、ここに働きかける手段、金融政策は通常あまり持っていないという答えにならざるを得ないかと思います。そこまでの期間で需要サイドを中心に働きかけて、その間の成長率を高めるという効果はもちろん持つかと思います。
それから後半ですけれども、金利操作、ETFの購入ですか。これについておっしゃるように、副作用があると考えております。その上で、そういう作用もあるような政策をそもそも導入したことは良かったのかどうか、というご質問だったと思います。その点については恐らく、それぞれ導入した時点で私はボードメンバーなかったのですけれども、効果と副作用について十分考慮し、議論された上で導入されたのだと思います。
ですので、たまたま副作用が目立っているからというだけで導入がまずかったという結論にはならないのかなと思います。やはりネットで経済にどういう効果があったのか。それから副作用のコストが仮に測れたとして引き算しておつりが残るかどうかというのが評価の基準になるかなと思います。インフレ率という面で言えば、時間はかかったけれども、デフレの状態から若干プラスのインフレ率、足元、ヘッドラインは非常に高いわけですが、できたという、そういうプラスはやはりあったかなというふうに考えております。
その上で副作用をどう考えるのかというのは重い問題でありますが、繰り返しですが、だから直ちにまずい判断だったということにはならないかなと思っています。
2023.04.10 17:05
Q.2%の物価目標を10年で達成できなかった要因について、達成する上での最大のハードルについて。
10年で達成できなかった理由でございますけれども、それについては一つ前のご質問に対する答えで、二つくらい申し上げたかと思いますけれども、達成を難しくするような外的なショックの存在というのが大きかったというのが一つでございます。詳しく申し上げれば、90年代の不良債権問題から始まって、それは10年の話より、前の話になってしまいますが、足を引っ張るような外的ショックで大きなものがいくつかあったということが一つでございます。それから通常であれば金利の引き下げ余地がかなりあるというはずなのにゼロに近いところから始めたっていうことで、引き下げがあまりない中での金融緩和政策であった。この二つが大きかったと思います。
それから、これは黒田前総裁もよく言われていたことですが、デフレあるいはゼロインフレに近い状況が長く続く中で、物価や賃金が上がらないということを前提にした物価や賃金の設定行動、あるいは企業行動が広まってしまって、それ自体が物価や賃金を上がりにくくするという結果に残念ながらなってしまったということも大きかったかなと思っております。ただ、金融政策は全然効かないというわけではないわけでして、実際に過去10年でデフレではない状況にたどり着いているということもあるかと思います。
その上でもう少し金融緩和が効くような、外の要因として何か指摘できることがあるかというのが後半のご質問だったと思います。私ども学者の世界では自然利子率とかよく言ったりしておりますが、例えば政府からの政策で生産性を引き上げるような、何かインセンティブが付与されるというような中で設備投資等が活発になり、生産性も上がっていくというようなことがございますと、均衡利子率が上昇する。単純には設備投資意欲が向上する、そういう中では金融緩和の効果が強まるというような話はいくつかあるかなと思っております。
2023.04.10 17:04
Q.大規模緩和路線を維持について、2%目標の達成への取り組みについて。
<植田総裁>前半のところについては、前体制からの大規模緩和を現状では継続するというお答えになるかと思います。それから2%の目標についてどういうふうに対応するのかということですが、現状は共同声明にもありますように、できるだけ早く持続的安定的な2%の達成を目指すということですので、これはそういうふうに考えております。
ただし、どんな状況でもすぐに短い時間で2%を達成されるかというと、過去の経験を見ても、そうではない。それに対してアゲインストの外的ショックがあった場合にはなかなか難しくなると思いますし、そもそも金融緩和の効果というのが大まかには金利のゼロ制約というのでかなり制限されているという中では、そう簡単な目標ではないということは認識しております。
したがって何らかの有限の時間内にこれを達成するという強い見通しは現時点で申し上げられないかなと思っております。
2023.04.10 17:03
Q.異次元緩和を支えている長短金利操作、YCCについて。
それではまず私から。長短金利操作についてということだと思いますが、市場機能への影響という意味では、日本銀行は昨年来、国債の補完供給の制度を柔軟に運用しているということ。あるいは、昨年12月に長期金利の変動幅を拡大したような措置、さらに、ここ1ヶ月ぐらいですかね、先ほどお話に出ましたような金融システムに対するストレスの問題の結果もあって海外金利が低下したという中で、イールドカーブの形状は総じて前よりもスムーズになってきているという認識でおります。これまでの措置の効果とか市場の動向については今後も見極めていく必要があるというふうに考えています。ただその上で、YCCは市場機能に配慮しつつ、現状では経済にとって最も適切と考えられるYCCの形成を実現するための仕組みでございます。現状の経済・物価・金融情勢を鑑みると、現状のYCCを継続するということが適当であるというふうに考えております。
私からは特に付け加える点はございません。
2016年にYCCを導入したのですがそのときの議論を思い出していただくと、YCC というのは金融緩和によって経済・物価を刺激する効果と、一方で金融仲介機能への影響、この両者のバランスを取って最も適切な金利水準にしていく。そこにコントロールしていくという趣旨で導入したものです。このことが良好な金融環境を通じて経済・物価を押し上げる効果があったというふうに思っています。一方でデメリットとしては当然ですが、コントロールをしているわけですから、そのことに伴って市場機能が低下をするということがあるわけであり、これが特に目立ったのが昨年後半からであったということだろうと思います。特に副作用につきましては、SLF(国債補完供給)等々これまで何度か対応してきましたし、12月に対応したところですので、今はその状況を見極めていくというフェーズにあるというふうに思っておりますし、YCCという仕組みはですね、今申し上げたような趣旨で導入したものですので、総裁からも申し上げた通り現状においてはこの枠組みの中で緩和を続けていくことが適切なのではないかと思っています。
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