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2023/4/10 植田・日銀新総裁会見② 物価安定・達成のミッション総仕上げに一番大事なことなど

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Q.物価安定・達成のミッションの総仕上げに一番大事なこと、大規模金融緩和の包括的な点検・検証について、リーマンショック以降に強化されてきた国際金融規制や監督などの評価について。


 


<植田総裁>


物価安定実現のための総仕上げを行うために大事なことは何かというご質問ですが、現在の金融緩和が非常に強力なものであるということは間違いないと思いますので、経済・物価・金融情勢を丹念にそして的確に把握し、これまでもそうだったように今後も一段と努力して把握し、基調的なインフレ率が本当に安定的・持続的に2%に達する情勢かどうかというのを見極めて適切なタイミングで正常化に行くのであれば行かないといけないですし、それはなかなか難しいということであれば、副作用に配慮しつつ、より持続的な金融緩和の枠組みが何かということを探っていく。その辺の判断をきちんと行うということだと考えております。


それも含めまして、点検のような作業についてどのように考えているのかというのが後半のご質問だったと思いますけれども、点検はある意味では毎回の決定会合と決定会合の間で行った上で、決定会合での判断が下されるということでありますけれども、もう少し力の入った、あるいは長い目で見た点検を行うべきかどうかという論点はあるかと思います。そういうことが必要という場合には、あるいは行うという場合には、少し長い目で見て、私も先ほど申し上げましたように、強力な緩和はある意味では27年続いておりますので、それ全体を総合的に評価して今後どういうふうに歩むべきかというような観点からの点検や検証があってもいいのかなと思っておりますが、この点は政策委員会と議論して決めていきたいというふうに考えております。


 


<氷見野副総裁>


最近、アメリカやヨーロッパで起きていることに鑑み、リーマン以降の規制改革が十分だったかというご質問だったと思います。最近起きたことについてはいろいろ報道されてはおるわけですが、現在それぞれの国の当局において、内部情報も含めた検証、何が起きて、何が課題だったかということを今やっておられるところだと思います。


米国については、5月1日までにその結果を出すということですので、あまり現時点でその結論に飛びつくというよりは、まず起きたこと、何が問題だったかをよく見ていくことが大事ではないかと思っております。その上で、今まだ予断を持っているわけではありませんけれども、基準実施部会議長としては、国際的に大変な規制改革を合意したわけですけれども、それがそもそもちゃんと実施されていたのかどうかといった点も見てみないと、改革の問題なのか実施の問題なのかが分からないんじゃないかということと、日本当局がずっと言ってまいりましたのは、規制は監督の代わりにはならないということでありまして、規制さえどんどん厳しくしていけばそれで問題は全部起こらなくなるということではない、ということをずっと主張してまいりました。そのことと今回起きていることがどう関係するかということについても、予断を持つわけではありませんけれども、そうした視点も大事にして議論に参加していきたいと、そういうふうに考えております。

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2023/4/10 植田・日銀新総裁会見① 就任の抱負や欧米での金融不安について

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Q.就任にあたっての抱負と欧米での金融不安の日本経済への影響、とるべき対応について。


 


<植田総裁>


国会での所信でも申し上げましたが、日本銀行にとって、また私自身にとっても1998年の新日本銀行法の施行以来、25年間、物価の安定の達成は積年の課題です。これまで日本銀行は、私が過去に審議員として在籍した時期を含めて、ゼロ金利政策、時間軸政策、量的緩和政策、そして現在の量的・質的金融緩和政策に至るまで、世界に先駆けて様々な非伝統的金融政策を実施してきました。


私自身、長年金融政策を研究対象にしてきましたし、各審議委員として政策運営や地方銀行実務にも携わりました。こうした経験を生かして、物価の安定の達成というミッションの総仕上げに向けて、理論・実務の両面で尽力してまいりたいと思っております。


また、金融システムの安定についても、日本銀行の重要な責務です。人口や企業数の減少など、金融機関および金融システムを巡る状況は厳しさを増している中にあって、金融仲介機能が円滑に発揮されることは我が国経済にとって極めて重要です。


さらに日本銀行は銀行券の発行と流通、日銀ネットという基幹的な決済システムの運営、国庫金に関する業務など、我が国の重要な社会インフラを運営しています。このような国民経済にとって必要不可欠な重要な役割を果たしていくために、日本銀行の役職員それぞれが、それぞれの能力を発揮して、しっかりと貢献できるようにすることも、総裁としても重要な役割です。組織の先頭に立って、仕事に当たってまいりたいと考えています。


 


<氷見野副総裁>


副総裁を拝命いたしました氷見野です。私はこれまで金融行政や国際関係の仕事が長かったので、そうした経験を生かしていければというふうに思っております。


金融政策につきましては、賃金上昇を伴う形で物価安定の目標を持続的・安定的に実現すること。金融緩和が政府や経済界の取り組みとも相まって、経済の好循環に繋がっていくこと。そうしたことを目指したいと考えております。


金融市場や金融システムは、金融政策の波及経路でもありますので、金融行政の経験も生かして政策運営に貢献していければと考えております。また、金融システムの安定につきましては、現在の我が国の金融システムは全体として安定しておりますし、ショックに対する一定の頑健性も有していると思いますが、海外では隠れていた脆弱性が思いがけない形で表に出る事例が続きました。


金融機関との対話・モニタリングに努めるとともに、海外当局との連携にも努めていきたいと思っております。また先日、金融安定理事会の常設委員会(基準の実施)の議長にも就任いたしましたので、国際的な議論にも貢献していければと思っております。さらに、国民経済に不可欠な発券業務、銀行の銀行としての業務、国庫業務につきましても職員とともに的確な遂行に努めてまいりたいと思います。今後5年間、内田副総裁とともに全力で植田総裁をお支えし、日銀の使命の達成に努めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。


 


<内田副総裁>


内田でございます。氷見野副総裁とともに植田総裁をお支えし、日本銀行の使命の達成に全力を尽くしてまいります。どうぞよろしくお願いします。私はこれまで様々な立場で金融政策の立案に携わってまいりましたが、今、日本銀行が直面している課題は、いかに工夫を凝らして効果的に金融緩和を継続していくかということだと思います。


この点でよく、金融緩和の枠組みが複雑化していると言われることがありますが、技術的な部分については、これまで日本銀行が蓄積してきた経験と知識によって、十分対応できると考えています。より大事なことは正確な情勢判断を行い、それに応じて慎重にタイミングを選びながら、的確な政策を行っていくことだと思っています。


今後、経済・物価・金融面の状況変化に応じて、最もふさわしい政策を考え、実施できるよう、スタッフの力を結集し、他のボードメンバーの方々と議論を尽くしてまいりたいというふうに思います。そして、5年間の任期の中で、2%の物価安定の目標を実現したいと思います。


また、それに至る過程において、金融市場で不連続な変化が生じることがないよう、常に市場の安定ということを意識していきたいと考えています。併せて、金融システムの安定維持、銀行券の発行や各種の業務など、日本銀行の役割を1日も欠かすことなく全うできるよう運営していくことも私の重要な任務であると思っています。


日本銀行の役割を一言で言えば、国民の皆様に安心して日本銀行券というお金を使っていただけるようにすることだと、様々な場面で説明してきました。この点でも将来を見据えますと、経済・社会のデジタル化に合わせて中央銀行サービスは変化していかなければならないと思っております。5000人の職員と力を合わせて、日本銀行に付託された役割をしっかりと果たしていきたいと思います。これから5年間、どうぞよろしくお願いします。


 


<植田総裁>


続きまして、私から2番目のご質問にお答えしたいと思いますが、欧米の金融不安の日本経済への影響についてのご質問だったと思います。これについては3月中旬以降ですか、アメリカ、ヨーロッパで一部の金融機関の経営問題を背景に不安感が広がる動きが見られたわけですけれども、各国当局が迅速な対応をしたこと、それもあって個別先の問題であるという認識が広がったということで、市場は落ち着きを取り戻しつつあるというふうに見ております。


日本の経済、日本の金融システムへの影響ですけれども、日本の金融環境は依然として非常に緩和的な状態が続いているということ。それから、日本の金融機関が充実した資本、十分な流動性を備えているということを考えますと、金融仲介機能は今後も円滑に発揮されていくというふうに評価しております。


従って現時点でこの問題が、我が国経済に大きな影響を与えるというふうには見ておりません。この間、日本銀行と米欧の中銀が協調して米ドルの資金供給オペの実施頻度を引き上げるような対応も行っております。ただ、市場における不透明感、不安感が完全に払拭されたという状態ではないと考えておりますので、今後の状況についてしっかりと注意してまいりたいというふうに思っております。

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