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2023/4/3  全銀協会長会見 規制制度とシリコンバレーバンク問題の関連について

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2023.04.04 18:30

Q.規制制度が不十分ではないか。また、シリコンバレーバンクの件のようなことが日本でも起こり得るのか。


 


ご認識の通りですね、グローバルのシステム上重要な銀行であるG-SIBsというのは、その規模であるとか、クロスボーダー取引等の複雑性等の客観的な評価基準をもとに選定されております。加えまして金融システムにおける重要性に鑑み、破綻の可能性やその影響を極小化すべく追加の資本負荷であるとか、TLAC規制などの各種規制の遵守が求められております。


ただ今回のクレディスイスの案件、あるいは米国での地銀破綻による金融機関の経営リスクへの警戒が高まった中で各銀行の業績不振や内部統制の問題が市場で指摘されたことがきっかけであると認識をしております。


従いまして、クレディスイスに対する信用懸念というのは個別性が高く、必ずしも規制制度の十分性や適切性が直接問われるものではないと、認識をしております。もちろん、金融システムの安定は極めて重要であります。


一方、過度な規制というのは銀行の与信活動の消極化であるとか、保有資産の圧縮を招く懸念というのもある。規制強化による金融システムの安定化等、円滑な信用供与のバランス、これが重要であるというふうに考えております。


続きまして2点目の方に移らせていただきます。今度はシリコンバレーの件でございますがSNSが発端であると、日本で同様なことが起きるか、この点についてございますが、あくまで報道ベースでございますので個人の見解ということでお許しいただければというふうに思います。


ご指摘の通り、シリコンバレーバンクに対する取り付け騒ぎというのは預金の層の割合がスタートアップ企業の預金であったことで、その間、非常にコミュニケーションが良いということで同一コミュニティーの中でSNSを含めたコミュニケーションを通じて、信用懸念が加速度的に広がった面というのはあったと認識しております。


金融不安が広がる状況というのはSNSを含め、噂や誤った情報が、かなり速いスピードで広がるリスクというのは高いと認識しております。そういう意味でいうと、安心して継続的に使っていただけるように、やはりこういう環境の中においては、日頃からのお客様を含めたステークホルダーにしっかりと正しい情報を発信してコミュニケーションを取ることが重要だと、認識をしております。


ただ、今回の件についてのご質問ということでいうと、邦銀というのはシリコンバレーバンクと異なって、日本銀行による長期の量的質的緩和によりまして潤沢な資金を保有しておりますし、預金もその企業や個人などに分散されております。そういう意味でいうと預金の粘着性が高く、従いまして同様の事象が起こる可能性は低いと考えております。

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2023/4/3  全銀協会長会見 政府や他団体への要望と運営上の心構え

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2023.04.04 18:28

Q.政府や他の業界団体に対する要望と、2021年のみずほ銀行のシステム障害を経て協会を運営する上での心構えなど。


 


冒頭、本年度の方針活動につきまして、繰り返しになりますが、「社会経済の持続的な発展を支え、明るい未来につなげる1年」と申し上げました。そして三つの柱と重要課題のご説明をさせていただきました。第1の柱、こちらはですね、企業や家計の支援等に関する課題であります。


これらの課題への対応が企業や社会の持続的な成長に繋がるものと考えておりまして、まさに銀行の本業として課題を設定させていただいております。一方で、第2、第3の柱、これは社会的課題の解決に向けて、ただいまご指摘をいただいたように政府や他業態、あるいはその国民の皆様との共通理解のもとに進めていくべき課題が多く含まれておりまして、そういう意味でいうとご質問については第2、第3の柱を改めてご説明させていただければというふうに思います。第2の柱、こちらは金融インフラのデジタル化、電子化に関する課題であります。


ご承知の通り、我が国では人手不足が深刻化しております。こちらは会計企業、財政、共通の課題でございます。例えば手形小切手あるいはその税・公金、こちらはその金融機関のみならず、個人、企業、地方公共団体等の幅広い関係者の間で紙が流通しており、現物がありますので現物がある以上、その物流に応じて人手が必要になります。電子化はフィジカルなリソースを一気に削減してくれる人手不足経済には不可欠なツールであります。また、同時に輸送にかかる時間を削減する、いわゆる利便性ももたらしてくれます。デジタル化に関しては、現状からの変化を牽引される方もあるというふうに承知しておりますが、我が国の人手不足解消や社会全体のコスト削減に繋がる非常に意義のある取り組みです。


ぜひともステークホルダーの皆様とゴールを共有しながら、社会全体で進めてまいりたいと思います。産業界、地方公共団体、関係省庁におかれては、ぜひ一層のご協力をお願いしたいというふうに思っています。


次に第3の柱ですが、金融システムの健全性、強靭性向上に関わる課題です。例えば、犯罪、マネロン、テロ資金供与の防止、既に国際的なコンセンサスであります。我が国はFATFの第4次総合審査で重点フォローアップ国に指定をされ、国を挙げて改善に取り組んでいるところです。体制整備ができなければ、我が国の外国送金決済業務に支障が出ないとも限りません。こうした対応の一つとして、一定の頻度でお客様に情報のご提出をお願いする、継続的顧客管理にご協力をお願いしていく必要があります。その他の各規制対応等においてもお客様にご負担をおかけするケースもありますが、これらは国際社会の信頼を得て、健全な経済活動を維持する観点からも必要な対応であることをご理解いただくとともに、引き続きご協力をお願いしたいというふうに考えております。


続きまして2点目の方に移らせていただきたいと思います。2点目のご質問は今回、会長行をさせていただくというところの心構えということと認識をさせていただいてます。


まさに個別行のことになりますけども、システム障害においては、お客様をはじめ、社会全体、そして銀行界にも大変ご迷惑、ご心配をおかけしたということであります。その思い、そういったご迷惑をかけた分ですね、しっかりと業界のために貢献してまいりたいと私自身も思っておりますし、今回、みずほの中で本活動に関係する者たち全員の思いであります。


またご質問というのがですね、システム障害というようなことに対応ということでございますので、システム障害自身はですね、個別行の問題であり、全銀協活動とは切り離しておりますが、その経験がですね、協会活動に生かせる教訓、学びという点で2点申し上げます。


1点目は平時の準備の重要性です。全銀協では2021年3月、銀行システムの安定稼働と障害発生時のお客様対応に関わる申し合わせを実施しています。例えば、システムへの負荷、関連システムの波及への点検や障害発生時の復旧対応、顧客対応に全力を尽くす等の内容を申し合わせています。いずれも基本的なことであり、会員行においては、申し合わせ等も踏まえながらそれぞれ対応されているものと理解しています。ただ、私の経験や学びという観点で一言申し上げるとすれば、これらのことが本当に有事に実効的に機能するのか。


そのために平時からいかに緊張感を持って準備、点検、確認できているか、これが重要ではないかと思います。全銀協としても会員行と行うBCP訓練等でしっかりと体制整備を進めていきます。


次に、現場の実態把握についてです。みずほでは、システム障害を通じて企業風土の変革という課題に取り組んでいます。会員行の多くも様々な経営課題に取り組む面があると承知しております。これも私の教訓や学びという観点で申し上げるとすれば、経営レベルで理屈やロジックを判断するのみならず、経営自らが現場との対話を通じて現場の声や実態を把握した上で判断することが何より重要だということを実感しています。


今年度、全銀協会長を務めるにあたっても会員行の声、銀行界のお客様の声をしっかりと聞いた上で、銀行、全銀協の活動に生かしてまいりたいと思います。

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2023/4/3  全国銀行協会、新会長就任会見

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2023.04.03 19:20

皆様、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。みずほ銀行の加藤でございます。この度、半沢前会長から引き継ぎ、全国銀行協会の会長を務めることになりました。皆様のご支援を賜りながらこの大役を全うすべく進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。就任にあたっての抱負を申し上げる前にこの場をお借りして、半沢前会長に一言御礼を申し上げたいと思います。


振り返ると昨年度は、ロシアによるウクライナ侵攻に起因する供給制限、エネルギー、食料等の価格の高騰、労働需給の逼迫等を背景に、世界的にインフレ圧力が高まりました。こうした背景から各国で大幅な金融引き締めが実施され、これを受けた日米金利差拡大を背景として歴史的な円安も記録しました。こうした中、半沢前会長は持ち前のリーダーシップを発揮して銀行界をけん引いただき、多岐にわたる課題の解決に取り組んでこられました。そのご功労に心から敬意を表するとともに、厚く御礼を申し上げます。


さて、改めて我が国銀行界を取り巻く環境を概括します。まずは三つのメガトレンドについて申し上げます。1点目は、人口構造の変化です。昨年、世界人口が80億人を超えた一方で、日本は出生数が初めて80万人を割るなど、少子高齢化が一層進行しており、労働人口の減少、人手不足が深刻化しております。2点目に、サステナ意識の加速です。気候変動リスクの高まりやコロナ禍が環境・社会課題をより身近なものにし、人々の価値観を変容させ、競争意識の醸成も加速しております。3点目に、デジタル技術の進展です。デジタルの利便性は新たな価値観、ニーズを生み、コロナ禍の新しい働き方や行動様式への変化も下支えした一方で、社会全体としてデジタルへの依存度は高まっております。


こうした中で、ロシア・ウクライナ問題、米中対立をはじめとする地政学リスクの高まり、対立構造の先鋭化は、サプライヤーチェーンの分断やフレンドシェアリング等の動きを生んでおります。他方で、ビジネス、デジタルの世界では、国境を越えて情報や価値の流通、人的な交流が加速する等、グローバル社会は複雑化しています。そして、これらメガトレンドの進行とグローバル社会の変容は、経済社会にエネルギー供給懸念や原材料価格、そして賃金高騰など、世界的なインフレ圧力をもたらし、各国に金融緩和からの政策の転換を突きつけました。主要地域の足元状況を見渡しますと、米国では政策金利引き上げに伴い、金利感応度の高い住宅投資が減少しているほか、IT投資を中心に設備投資が弱含む等、金融引き締めの影響は徐々に顕在化し始めております。欧州でもエネルギー問題は想定内に収まったものの、依然、高水準のインフレにより消費は低迷、賃金インフレの懸念から金融引き締めが維持されています。


そして足元、ご案内の通り、米地銀の破綻やクレディスイスに対する経営不安など、一層金融引き締めの影響とも見える事象も発生しています。中国はゼロコロナ政策の解除により、サービス消費中心の回復が期待されていますが、不動産市場の低迷は依然続いています。翻って我が国の状況ですが、日本は経済・災害のタイミングや半導体不足等の影響で、欧米に比べ、コロナ禍からの回復が遅れていた分、回復余地があり、穏やかな成長が見込まれます。その反面、先ほど述べた欧米の政策金利引き上げによる景気減速や中国不動産市況低迷等は日本経済にとっても懸念事項であり、今後の賃上げの動向や金融政策の効果・影響等も含め、先行きが不透明な状態は続いています。


こうした人口構造の変化、気候変動や地政学リスクの高まり、それから派生する諸問題等により先行きが不透明な状態において、将来不安を払拭すべく、政府も新しい資本主義を抱え、総合経済対策をはじめ、様々な施策を打ち出しています。こうした動きにアラインし、我が国が抱える諸問題の解決に向けて金融面、非金融面からしっかり支えていくことが我々銀行界の責務と考えています。今述べたような環境を踏まえ、私は本年度、「社会・経済の持続的な発展を支え、明るい未来につなげる1年」と位置付け、活動していきたいと考えております。
具体的には、次に掲げる三つの柱に基づき取り組んでまいります。第1の柱は、経済の持続的成長と社会的課題解決への貢献です。具体的には、まずアフターコロナや物価高騰等を踏まえた中小企業支援に引き続き全力で取り組みます。政策金融機関とも連携した資金繰り支援や事業承継、事業再生支援、地域活性化等に金融仲介機能、金融コンサルティング機能を発揮し貢献してまいります。また、日本経済のダイナミズムと成長を促す鍵となる、スタートアップ企業等へのリスクマネーの供給や、事業力や将来性を踏まえた支援のあり方の検討、経営者保証に依存しない融資慣行の一層の推進に取り組んでまいります。加えて、家計の安定的な資産形成を図るための資金の好循環の実現に向け、若年層等への金融経済教育、NISA制度の恒久化・拡充を踏まえた推進強化、フィデューシャリー・デューティーの徹底等にも注目してまいります。最後に、サステナブルな社会の構築のため、サステナブル・ファイナンス等の取り組みを通じ、お客様の脱炭素、カーボンニュートラルに向けた構造転換を支援してまいります。


続いて第2の柱はデジタル技術進展を踏まえた安心・安全で利便性の高い金融インフラの構築です。人手不足問題の深刻化や、コロナ禍で加速した価値観、行動様式の変化に対応すべく、デジタル技術を積極的に活用し、より安心・安全で利便性の高い金融インフラの構築を目指してまいります。具体的には、手形・小切手機能の全面的な電子化による企業等の業務効率化、税、公金の収納の効率化を通じた納付者の利便性向上、地方公共団体等の事務負担軽減の他、Web3.0の推進、中央銀行デジタル通貨等に関する議論にも積極的に参画してまいります。また一方で、社会全体のデジタル技術への依存度の高まりを踏まえ、各種リスクへの備えも重要です。不正送金や暗号資産等の新たな技術を利用した金融犯罪被害の防止や、近年、脅威・被害が拡大しているサイバー攻撃への対策等の取り組みを通じ、利用者の安心・安全の確保に努めてまいります。


最後に第3の柱は、金融システムの健全性、強靭性向上です。地政学リスクの高まりやそれに伴う新しい経済圏・供給網構築の加速とグローバル社会の変容等を踏まえ、金融システムのさらなる健全性、強靭性向上を目指してまいります。具体的には、昨年度設立したマネロン対策共同機構の活用等、業界全体としてのマネロン対策の対応力強化、経済安全保障推進法に関わる対応を通じた基幹インフラ役務の安定的な供給の確保等の取り組みを進めてまいります。その他、国際金融規制に関わる諸課題への対応や、金利指標改革への対応を通じ、今後再び訪れるかもしれない金融危機への備えにも予断を許さず取り組んでまいります。また、人的資本等の非財務情報の開示強化への対応を通じて会員各行の企業価値向上を図ってまいります。


以上が今年度の取り組み課題ですが、最後に改めて今年度の基本方針に込めた思いをお伝えさせていただきます。基本方針は、「社会・経済の持続的な発展を支え、明るい未来につなげる1年」と申し上げました。今年は我が国最初の銀行である第一国立銀行の開業から150年の節目の年です。これまで銀行は、長年にわたり日本の成長に貢献してまいりました。足元を見ると、人口構造の変化、気候変動や地政学リスクの高まり、それらから派生する諸問題等により先行きが不透明な状態が続いています。


今後も銀行が社会、経済の持続的な発展を支える存在であり続けるために、諸問題に向き合い、一つでも多くの解決の道筋をつけ、将来不安を払拭して、明るい未来につなげたい。そういった思いを込めた基本方針です。私自身、全銀協会長として、銀行界の先頭に立ち、この責務を全うして参りますので、ご支援とご協力のほど何卒よろしくお願いいたします。