地銀、税公金収納の電子化 進める 地公体との連携に力
2022.12.08 04:45
北都銀は預金照会業務で
地方銀行は税公金収納業務の電子化を進めている。新たなツールの導入にとどまらず、利用の促進にも力を入れる。指定金融機関として、地方公共団体に対して適正な手数料の支払いを求める交渉をしているが、財源の確保などを理由になかなか進展していないのが現状。電子化によって事務コストの引き下げを急ぐ。
北都銀行は、10月に地公体からの預金照会業務における電子化サービスを始めた。NTTデータが提供する「pipitLINQ(ピピットリンク)」でシステム処理をして、事務作業の負担軽減を図る。
同社によると、作業時間は金融機関で最大99%、地公体で最大55%の削減につながるという。これまでに金融機関61先、地公体485先で導入されており、さらに広がる見通し。
綜合警備保障(ALSOK)は、地公体向けに「税公金受付システム」を提供している。派出窓口での現金取り扱いや納付書の集計などを自動化できるもの。地銀では、こうしたサービスの周知に努めている。
1000以上の自治体がスマホ収納
並行して、地公体との連携も深めている。静岡銀行は10月に「静岡県税公金等電子納付推進研究会」を立ち上げた。県内の地公体と金融機関が協調して、税公金納付にかかわる社会的コストの削減や地域のデジタル化を推進する。同行が事務局を務め、3カ月に1回のペースで開催していく。
鹿児島銀行は10月、デジタル化の推進で鹿児島県と連携協定を結んだ。税公金事務の効率化やキャッシュレス決済の促進などで協力していく。
全国地方銀行協会の調査では、地銀が指定金を務める1108団体(2021年度)のうち、スマホ収納を導入しているのは761団体、ペイジー収納は128団体、電子マネー収納は87団体だった。地公体版法人インターネットバンキングの採用は332団体で、全体の3割にとどまっている。
地銀では、税公金収納業務の電子化を進めながら、「利用率も大切」(地銀協)として普及にも力を入れる。
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