利上げ「定期的な間隔で」  物価上振れ懸念広がる 日銀会合意見で

2025.09.30 12:21
金融政策 債券市場 金利
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日本銀行は9月30日、政策金利を維持した前回(9月18、19日開催)の金融政策決定会合における「主な意見」を公表し、日銀の見通し通りに経済が進展する局面を念頭に「定期的な利上げ」を主張する委員がいたことを明らかにした。物価の「上振れリスク」も複数の委員が訴え、「0.75%」への追加利上げに前向きな発言が並んだ。


今回の「主な意見」では、追加利上げを求めるタカ派色が一段と濃くなった。ある委員は、経済・物価が展望レポート(経済・物価情勢の展望)で示す予測に対し、「オントラック(想定通り)であり、大きく軌道を外れなければ、ある程度定期的な間隔で政策金利の水準を調整していくべき」との考えを強調した。


別の意見では、米関税政策に関する不確実性の低下などを受け、「再び利上げスタンスに回帰し、海外対比で低水準の実質賃金の調整を行いうる状況」との認識を示した。前回(1月)の追加利上げから「半年以上が経過」する政策金利の据え置き期間を受け、「そろそろ再度の利上げを考えてもいい時期」との姿勢を表す委員の意見もあった。


物価の上振れリスクに対する警戒感も強まる。委員のなかには、インフレ期待が引き上がるなか、「物価上昇の二次的影響が生じやすく、物価の上振れリスクが併存する」「物価の基調は(物価安定目標の)2%定着に向けて、着実に歩みを続ける公算が大きく、今後の財政政策の影響を含め、上振れリスクも大きい」といった主張が並んだ。


同会合で決めた保有上場投資信託(ETF)・不動産投資信託(J-REIT)の処分については、7月に終えた「金融機関から買い入れた株式」の処分から、「あまり間を置かずにETFやJ-REITの売却を開始することが適当」との意見や、短期(政策)金利の正常化との兼ね合いで「ETFなどの処分にも踏み出すタイミングが来ている」と、正常化プロセスの全体感を踏まえて主張する委員の声がみられた。

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