2%目標「着実に近づく」 追加利上げの必要性強調 日銀・野口委員
2025.09.29 19:44
日本銀行の野口旭審議委員は9月29日、2%物価安定目標の達成に関し、「着実に近づいている」との認識を語り、米関税の動向を見守りつつ、「適切なタイミング」で政策金利を引き上げる必要性を訴えた。法個人の段階的なインフレ予想の上昇などを踏まえた物価観の転換も強調し、物価の上振れリスクを指摘した。札幌市内での講演で語った。
野口委員は、国内経済について、〝物価や賃金は上がらない〟といったゼロノルムから2%ノルムへ「移行の最中」と分析。2%超インフレの長期化で、インフレ予想に関する指標が「2%に徐々に接近し、企業や家計が次第にインフレを織り込みつつある」ことなどを背景に挙げ、「明らかにゼロインフレには戻らないと考えて行動している」と法個人の行動変容を説いた。
そのうえで、「物価や経済の安定という観点からは、現状の金融緩和度合いを適切なタイミングで調整していくことがより重要になる」と追加利上げを示唆。完全雇用に近い足元の労働市場などを受け、「(物価の)上方リスクにも配慮する必要がある」との認識を示した。
半面、世界経済を巡っては、米トランプ関税の影響によって「大きな下方リスクに直面している」と警戒感もにじませ、「物価の基調を可能な限り慎重に見極める」スタンスを表した。