地銀、TNFD開示そろり しずおか、九州FG先行
2024.10.18 04:40
地方銀行が、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言に沿った情報開示に動き出した。しずおかフィナンシャルグループ(FG)と九州FGが森林、土壌、水、動植物など「自然資本」に関する自社事業の依存や影響度を分析し、2024年版の有価証券報告書や統合報告書に掲載した。次年度からを予定する地銀もあり、開示の動きは徐々に広がる見通し。ただ、ノウハウや人員不足を理由に「TNFDまで手が回らない」(地銀関係者)との声も聞かれる。
しずおかFGは、統合報告書にTNFD開示フレームワークに沿った情報を盛り込んだ。静岡銀行の融資先を24のセクターに分けて、自然資本への依存や影響度を分析する。融資ポートフォリオ全体で「生物生息地」や「水」への依存度が高く、影響度は「生物生息地」「生物種」「水」に対して高いとの結果を公表した。
九州FGは11セクターに分類して分析した。グループの事業は、地下水や地表水など主に「水」に関連した項目に依存し、影響度が大きいことがわかった。両社は今後、分析の高度化や開示内容の充実を図る方針だ。
地銀では、こうした「TNFDアダプター(採用者)」が2社以外にもあり、山陰合同銀行、滋賀銀行、千葉興業銀行、第四北越FGが25年度に情報開示する準備を進めている。ある経営トップは「(生物多様性の保全などに)コミットするという意思表示が最も大切だ。有識者とのネットワーク構築も期待できる。義務化されてからでは遅い」と意義を強調する。
一方で、様子見の銀行では「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)対応の高度化が優先課題」との声が多い。
銀行の情報開示に詳しいアビームコンサルティングの浜田陽二シニアエキスパートは「地域経済と自然環境の関係を解きほぐすことから入るべきだ。地元大学など外部の知見を借りることも一案」と助言する。
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