かんぽ生命、新契約の7割が一時払い 郵便局チャネルが原動力
2024.08.21 04:20
かんぽ生命保険が2024年4~6月に新規に契約した個人保険の約7割が、1月に発売した一時払い終身保険(円貨のみ)だったことが分かった。約29万件の新契約件数のうち、一時払い終身保険が約20万5000件を占めた。発売開始から半年間の累計(6月末時点)は、37万181件。郵便局経由の販売が実績を押し上げているが、生保業界は神経をとがらせている。
全体の新契約件数は、前年同期比133%の増加。新契約年換算保険料も前年同期比で176%増の638億円となった。好調な販売の原動力となっているのは、郵便局チャネルのようだ。新契約年換算保険料(個人保険)ベースで、23年4~6月は郵便局による販売が全体の3割だった。24年4~6月は全体の5割(315億円)を占めた。
かんぽ生命は、遺族保障や資産承継などのニーズに応え、商品開発を実施。死亡時の葬儀費用や遺族生活費に充当してほしいとの考えから、「資産形成目的のみで、この商品を売ることは一切していない」(担当者)という。
その一方で、長年、かんぽ生命に対して民業圧迫を指摘してきた生保業界では懸念が高まっている。かんぽ生命は、23年10月に一時払い終身保険商品の商品化の届け出を、監督省庁である金融庁と総務省に提出。その翌日に生命保険協会が懸念を示す声明を出した経緯がある。
昨今、生保各社で外貨・円貨ともに一時払い終身保険商品の引き合いは強い。多くが予定利率の高さなどを前面に押し出した資産形成目的の「ミドルリスク・ミドルリターン」の商品として販売されている。
かんぽ生命は一時払い終身保険を販売する際、予定利率(0.95%)などを過度に顧客に訴求していないとするものの、今後の利率や販売動向によっては生保業界との緊張が高まる可能性もある。
おすすめ
アクセスランキング(過去1週間)
- 北陸銀と北海道銀、営業支援システム導入 年18万時間の作業削減
- 金融界、「隠れリース」特定に本腰 27年の新基準適用迫り
- 群馬銀、ストラクチャードファイナンス3年5.7倍 RORA向上に寄与
- 金融庁、決算書入手方法を調査 地域金融の実態把握へ
- 広島銀、請求書業務のDX後押し 新システムで決済口座確保
- 京都中央信金、理事長に植村専務が昇格 白波瀬氏は代表権ある会長へ
- 固定型住宅ローン、金利〝決め方〟見直し機運 参照指標「再検討」も
- 地銀、外貨保険販売が36%減 24年度下期、10万件割れ
- 信金、店舗減少が小幅にとどまる 職員数推移との格差鮮明
- 地域銀・信金、NISA口座伸び悩む 3カ月の増加率1%