日銀政策委員、財政への配慮「全くない」 国債購入減額幅縮小で
2025.06.25 11:26
日本銀行は6月25日、前回の金融政策決定会合(6月16、17日開催)で出た政策委員の「主な意見」を公表し、同会合で決めた国債購入減額幅縮小について、「『財政への配慮ということでは全くない』という点をしっかり説明していく」必要性を訴える意見があったことを明らかにした。今後の利上げ姿勢に関しては、委員間でスタンスが割れていることもわかった。
ある委員は、2026年4月以降の国債購入減額幅を毎四半期4000億円から同2000億円に縮小することを決めた背景に対し、「金利形成を基本的に市場に委ねつつ、急激な金利変動によって経済・物価に悪影響を及ぼすことを避けるための措置」として、政府の財政運営に日銀が配慮したと対外的に受け取られないよう説明する必要性を強調した。
半面、会合前に目立った超長期金利の上昇については、「(国債)イールドカーブ全体に(金利上昇の影響が)波及し、意図せざる引き締め効果が市場全体に及ぶ可能性がある」と経済・物価への影響度合いが大きい短・中期金利の上昇リスクを懸念し、「(金融)当局間で十分に意見交換し、市場の安定に努めていく必要がある」との主張もあった。
別の意見でも、「今後の(減額)ペースが速すぎると、市場の安定に不測の影響を及ぼす可能性」「購入額を一旦、大きく減らしてそれをまた増やす形では、途中で市場の混乱を招く可能性を不必要に高めかねない」と、マーケットの不安定化回避へ慎重な対応を求める委員の声が並んだ。
足元の物価動向に関しては、「米価格は前年比2倍に上昇し、消費者物価を相応に押し上げているほか、関連品目の価格にも波及している」「賃金情勢は堅調」などとして「上振れ(気味)」との見方が複数あった。
今後の利上げスタンスは、意見が分かれた。米関税政策の行方や、緊張感が増していた中東情勢を念頭に「先行きの不確実性が非常に高く、経済情勢などを見極める必要があり、政策金利は当面現状維持が適当」とする委員がいた一方、「たとえ不確実性が高い状況にあっても、金融緩和度合いの調整を果断に進めるべき局面もあり得る」と指摘する意見もみられた。
また、次の利上げ判断で、経済・物価統計などハードデータとともに重要視する「企業ヒアリング」についても、米関税の影響をみるうえで「判断材料に乏しく方向性を見出すことが難しい状況」とする声がある一方、「賃金を引き続き上げていく」など積極的な企業マインドの継続を確認する委員もいた。
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