日銀、マイナス金利政策解除 利上げ17年ぶり YCCも撤廃
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日本銀行は3月18~19日に開いた金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除を決めた。利上げは2007年2月以来、17年ぶり。日銀当座預金の大部分に0.1%を付利し、無担保コールレート翌日物を0~0.1%に誘導する「実質的なゼロ金利政策」を導入する。長期金利の誘導目標・変動上限を設けたイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)も撤廃し、上場投資信託(ETF)とJ―REIT(不動産投資信託)の新規購入も終了する。
植田和男総裁は会見で、賃金と物価の好循環を確認し、展望レポートの見通し期間(2023~25年度)終盤にかけて、2%物価安定目標が持続・安定的に実現できる状況に至ったと判断し、「大規模な金融緩和は役割を果たした」と語った。
日銀当預の付利は3月21日から適用する。長期国債の購入はYCC撤廃後も、これまでと同程度の金額(足元の月間買入額は約6兆円)で買い入れを続ける。また、金利急騰局面では、買い入れの増額や指値オペなどで対応する方針を示す。
コマーシャルペーパー(CP)や社債の購入は段階的に減額し、「1年後をめど」に買い入れを終了。日銀は、適切な金融政策手段の柱を「短期金利」の操作に改めたうえで、「当面、緩和的な金融環境が継続する」とのスタンスを示す。
マイナス金利解除とYCC撤廃は政策委員間で賛否が割れた。「マイナス金利」は、中村豊明委員と野口旭委員が反対票を投じた。中村委員は「 業績回復が遅れている中小企業の賃上げ余力が高まる蓋然性を確認するまで継続すべき」とし、野口委員は「賃金と物価の好循環の強まりを慎重に見極めるとともに、金融環境に不連続な変化をもたらすリスクを避ける観点から、長短金利操作とマイナス金利政策の同時撤廃は避けるべき」との意見を示した。
「YCC」は、中村委員が「マイナス金利」と同様の理由で反対した。
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