3メガ銀G、23年4~9月純利益7割増 中間最高益相次ぐ
2023.11.14 19:143メガバンクグループの2023年4~9月期決算が11月14日までに出そろった。3社合計の連結純利益は前年同期比71.4%増の1兆8695億円になった。最近10年で最も高い水準だ。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と三井住友FGが中間期として過去最高益になるなど3社とも増益を確保。欧米の金利上昇で海外融資の利ざやが拡大し、手数料収益も好調だった。日本銀行によるイールドカーブ・コントロール(YCC)の再修正を受け、長期金利が上昇しており、今後も収益の追い風になる。
MUFGは連結純利益が9272億円と1年前のおよそ4倍になった。顧客部門の収益力を引き上げ、前期に計上していたMUFGユニオンバンク(MUB)売却に伴う影響がなくなり、純利益を押し上げた。持分法適用会社の米モルガン・スタンレーの決算期の影響が加わる特殊要因も寄与した。三井住友FGは事業部門が堅調で他部門をカバーし、純利益は5264億円と微増。みずほFGは24.4%増の4158億円だった。
連結業務純益は3社とも好調に推移した。MUFJFGは21.3%増の1兆857億円と過去最高を更新した。三井住友FGは6.8%増の7709億円、みずほFGは21.6%増の5361億円。欧米の金利上昇が追い風になった。MUFGの海外貸出金利ざやは1.33%と1年前から0.33ポイント上昇するなど本業の収益を押し上げた。
与信関係費用の急増を抑えられたのも業績を支えた。みずほFGが将来リスクを織り込んだフォワードルッキングな引当金を積み増し、三井住友FGも国内リテール子会社を中心に増えた。MUFGは貸倒引当金繰り入れを増やしたが、MUBの評価損の反動で前年同期比25.7%減少だった。
通期の純利益予想・目標は、堅調な本業収益と円安による増益効果を踏まえ、MUFGを除き上方修正した。みずほFGは23年3月期比15.2%増の6400億円(期初予想6100億円)に、三井住友FGは同14.2%増の9200億円(同8200億円)に引き上げた。一方、MUFGは外債含み損を抱えており、今後のポジション整理を見据えているほか、円安影響が縮小することも踏まえて業績目標を据え置いた。
株主還元相次ぐ
株主還元の強化も相次いだ。みずほFGは配当性向の目安とする40%を踏まえ、中間と期末をそれぞれ2円50銭引き上げ、年間配当金予想を100円に増額した。三井住友FGも中間期の1株当たり配当を20円増配し、135円に増やした。
自社株買いにも踏み切る。MUFGは発行済み株式総数の3.31%(4億株)・4000億円、三井住友FGは1.9%(2600万株)・1500億円を上限に取得する。ともに過去最大規模となる。
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