環境省、「自然共生サイト」122カ所認定 金融界は三井住友海上本店
2023.10.22 04:35
環境省は、「自然共生サイト」の認定先を初めて公表した。民間の取り組みなどで生物多様性の保全が図られている企業の森や里山、都市の緑地などの区域を自然共生サイトとして認定する仕組み。2023年度前期分は、35都道府県の122カ所。金融界では三井住友海上火災保険の本店が認定された。関係者は「従来はCSR(企業の社会的責任)的な位置づけだったが、今後は必須の取り組みになる」との見方を示す。
今回認定された122カ所のうち、全体の6割程度を大企業が持つ森林や工場緑地などが占めた。環境省は「大企業は気候変動問題への対応が標準となるなか、生物多様性の保全に積極的な関与をすることで差別化を図る狙いがあるのだろう」(関係者)とみている。地方公共団体やNPOが管理する緑地や池、水田なども認定を受けた。
三井住友海上は、東京都千代田区の本店が認定された。1984年の竣工(しゅんこう)時に設営した屋上庭園が理由。0.71ヘクタールの面積に、野鳥やチョウのエサとなる木の実や花などがあり、都の絶滅危惧種「ヒメアマツバメ」などの営巣が確認されている。同社は「(認定は)長年取り組んできた成果で、30by30(サーティ・バイ・サーティ)に貢献できるのは素晴らしい。これまで培ったノウハウをコンサルティングサービスなどで他の企業へ提供したい」とコメントした。
こうした取り組みの背景には国際的な潮流がある。22年12月、30年までの世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択。23の具体的目標があり、その一つ「30by30」は、30年までに陸域と海域の各30%以上を健全な生態系として保全する内容。
日本では、国立公園など加えても陸域が20.5%、海域が13.3%に過ぎない。そこで、企業などが所有する土地を専門家が評価したうえで、自然共生サイトとして国が認定する仕組みを始めた。国際的なデータベースに登録され、30by30目標達成に貢献できるため、当該企業は社会的価値の向上が見込まれる。
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