空知信金長沼支店、移住者らの創業を支援 町の活性化へ雇用創出
2023.09.25 04:40
空知信用金庫長沼支店(中川健介支店長=職員5人うち渉外2人。派遣1人)は、北海道長沼町内金融機関で唯一のフルバンク店として、町全体の活性化も視野に新たな事業者と雇用の創出に力を入れる。札幌市や新千歳空港への交通の便が良いにもかかわらず、のどかな田園風景が広がる土地柄から移住者が増加。同町が取り組む住みやすい街づくりを後押しする。
町内の空き倉庫を改修し2022年11月に開店したのは和洋菓子店「暁パティスリーフルタ」。札幌のスイーツコンテストで二度グランプリに輝き、有名焼肉店のスイーツ開発担当だったパティシエの古田浩真さんが、町の雰囲気や自然を気に入り独立開業。イチゴの形をしたケーキなど個性的で彩り豊かなスイーツが人気を呼ぶ。
中川支店長は同店開業前の22年夏、税理士の紹介で古田氏と面談。「小さい町なので創業による経済波及効果は大きい」と伴走支援を始めた。地産の材料を探していると聞き、菓子作りに不可欠な卵やイチゴ、大豆などの生産者を紹介。地元作物の販路拡大につなげるとともに、自ら農家に出向き取引数量や価格の調整役を担い、同店の早期開業を支援した。
開店後、古田氏の知名度を生かす集客などで売り上げは計画を上回り、同店は開業資金のほか追加の設備資金も供給。事業拡大で人手不足に陥った際は、製菓コースがある北海道三笠高校に地域支援部を通じて掛け合い、将来の採用に向け職場実習生の受け入れも決定。地元の雇用拡大にもつなげた。古田氏は「融資以外の相談でもこんなに親切に対応してくれるのか」と驚く。
他にも、名古屋市から移住した夫婦のカフェ開業資金など、21年6月の中川支店長着任後に8件、約1億5000万円の創業融資を実行し、現在も2件の相談に対応中。中川支店長は「町に新たな商流を作る創業支援の面白さを若手職員にも広めたい」と話す。
23年8月末業況=預金122億7000万円、貸出金27億7100万円。