損保ジャパン、白川社長が引責辞任 ビッグモーター問題で会見
2023.09.08 17:15
SOMPOホールディングス(HD)と損害保険ジャパンは9月8日、中古車販売大手のビッグモーター(東京・港区)による保険金不正請求問題に関して記者会見を開いた。会見には、SOMPOHDの櫻田謙悟会長兼グループ最高経営責任者(CEO)、損保ジャパンの白川儀一社長らが出席。白川氏の辞任を発表した。辞任時期と後任は今後検討する。
「取引再開はミス」と認める
会見は損保ジャパン本社ビルで15時30分から始まった。会見場には100人超の報道陣が詰めかけた。冒頭、櫻田会長が「お客さま、株主、各種関係者、代理店の皆さまにご迷惑をおかけして、大変申し訳ございませんでした」と発言し、頭を下げた。
白川氏の辞任は、本人の申し出によるもの。辞任時期は、調査委員会による調査への協力や、後任者への引き継ぎが完了した段階とする。次期社長は指名委員会で検討する。9月8日付で、SOMPOHDの石川耕治執行役常務が、損保ジャパンの代表取締役副社長執行役員に就任したことも発表した。

白川氏は、ビッグモーターとの取引再開が経営判断のミスだったと認めたうえで、「入庫を再開して(自社の)売り上げを増やそうとは思っていなかった。ただし、同業他社の動向次第では(自社の)取引シェアが減るという危惧はあった」と語った。親会社であるSOMPOHDへの報告が遅れた理由については、「当初は(ビッグモーターの不正が)局所的、限定的に発生しているものと捉えてリスク認識を誤ったため、報告をしなかった」と話した。
櫻田会長の進退を問う質問に対しては、本人が「私自身が判断すべきことではないと思っている」と回答。調査委員会の調査結果を待って、指名委員会の判断をあおぐ考えを示した。

「立ち入り検査」直前の辞任表明
SOMPOHDは7月、ビッグモーター問題を巡って社外弁護士らで構成する調査委員会を設置。自動車保険金の不正請求に対する損保ジャパンの対応や事実関係などについて現在も調査を進めている。今回の会見の発言は調査委員会による調査内容を踏まえたものではなく、社内調査によるもの。
損保ジャパンはビッグモーターに出向者を多数送り込んでいた経緯があり、不正発覚後の2022年7月には大手損保3社の中で唯一、ビッグモーターに事故車両の修理をあっせんする取引を再開した。不正の可能性を認識しながら取引を再開した疑いがあり、金融庁が調査に乗り出している。
同社は8月末、不正に関する報告書を金融庁に提出。それを踏まえ、金融庁は9月中にも、保険業法に基づいて同社への立ち入り検査に入る見通し。今回の辞任は、検査開始を目前に控えたタイミングでの表明となった。
櫻田、白川両氏以外の会見出席者は、SOMPOHDの濵田昌宏執行役専務、石川耕治執行役常務(9月8日付で損保ジャパン代表取締役副社長執行役員に就任)、損保ジャパンの山本謙介取締役常務執行役員(経営企画部門担当)、槙絵美子取締役常務執行役員(コンプライアンス部門担当)の4人。
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