第一生命、若手営業職の在籍率50%へ 安定給与と人材育成で定着化

2023.06.28 17:08
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若手人材の定着へ意気込みを語る隅野社長

第一生命保険は、若手営業職員の離職率低減に向けた人事改革が軌道に乗り始めている。2022年度から、営業職員の採用、給与、人材育成の仕組みを抜本的に変更。目玉となる給与は、営業成績に大きく左右されない体系に改めた。すでに入社1年目の離職率は20%から10%に低下しており、最終的には「〝6年目在籍率〟の50%達成」(隅野俊亮社長)を目指す。


隅野社長は、ニッキンとのインタビューで「(営業職員の大量離職は)業界が長年抱えてきた課題。今度こそ、若手人材を定着させる」と不退転の決意を示した。具体的には、生保業界で用いられる入社6年目の残存率を、従来の25%程度から50%に引き上げる。改革初年度(22年度)に入社した営業職員の27年度在籍者数で改革の成否を判断する。


現在は、「採用」「給与」「人材育成」の3点で改革を進めている。採用では22年度からSPI(総合適性検査)を導入し、営業資質をより細かく見極める方式に改めた。そのうえで、「毎年7000~8000人採用してきた営業職員を4000人に絞り込み」(隅野社長)、確度の高い人材確保を目指す。


また、入社後の大きな離職原因である給与体系も見直した。従来は入社3年目から成果報酬の割合が高まる仕組みだったが、安定給与を保証する期間を「5年間」に延長。さらに1年目は契約ノルマを課さず、保険成約に応じて上乗せ支給する方式に改めた。


これと併せて営業職員の教育体系も刷新し、保険知識や販売スキルを重点的に学べる機会を増やしている。「キャリアカレッジ」と称する新体系では、新人営業職員の教育期間を従来の4ヵ月から1年に拡充。eラーニングやロープレ研修を通じ、顧客対応力などを養う。


同社は一連の人事改革を通じ、営業体制におけるロールモデルの確立を目指す。隅野社長は「CX(顧客体験)向上の中核を担う営業職員が、やりがいと情熱を持って活動し続けられる会社にしたい」と語った。


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