金融プラス1戦略で成果 西川・愛媛銀頭取
2023.05.11 04:50
デジタル戦略やサステナブルファイナンスで存在価値を高める愛媛銀行。なかでも子会社設立などによる「金融プラス1戦略」を軸とした改革の成果は大きい。西川義教頭取(60)に進捗(しんちょく)と展望を聞いた。
――地域商社の成果は。
「2022年2月に営業を開始した地域商社『フレンドシップえひめ』は当初計画を上回る成果。連携先の南海放送やセキの尽力もあり、1年で十分な基礎ができた。EC(電子商取引)サイト『22_Ehime』は会員数4000人を突破。松山市や今治市、伊予市との連携も生まれている。さらに広げていきたい」
――海事産業に関する子会社は。
「山口フィナンシャルグループとの協定に基づき、2021年7月に当行が設立した『西瀬戸マリンパートナーズ』は、両者のシップファイナンス人材育成に寄与している。2022年11月には初の海事産業交流会を開催し、盛会裏に終わった。船主、海事産業全般、大手オペレーターの課題解決につながる仕組みを充実させ、これからも、地場産業である海事産業の発展を第一に行動していく」
――デジタル戦略は。
「『ひめぎんアプリ』は好調で、ダウンロード数は3月末に14万人を超えた。2022年度はアプリ口座開設機能を追加した。さらにバージョンアップしていく予定。2022年10月には事業者向け『ひめぎんビジネスポータル』も開設し、お客さまのためになる機能を充実していく」
――サステナブルファイナンスの実績は。
「サステナブルファイナンスは地域の持続性につなげることが大事。地元企業や地元の案件を取り扱うことが本来の姿。当行も健康経営高度化に関するサステナビリティ・リンクローンやグリーンローンを実行してきたが、引き続き地道に取り組む。SDGs経営立ち上げ支援サービスも順調。3月末までに累計600件の実績。西条支店の建て替えに際し、『ZEB認証』を銀行店舗として四国で初めて取得した」
――人財戦略は。
「採用面では、会社説明会で新たな取り組みを始めた。仮想空間『メタバース』で、説明会を開催した。また、待遇の話も具体的な内容に変えた。これから銀行はこう変わっていくという全体像の話も行った。そうしたところ、多くの学生から質問をいただき、距離感が近づいた。反響が大きく今後も続けたい」
――2024年度開始の新中計の考え方は。
「世の中の変化は激しく、足もとの構想は、半年後には違った構想になっていることも十分あり得る時代。新たな技術が可能性を広げる。一方で、金融市場の混乱、人的資本、環境規制などグローバルな要請も見据えなければならない。変わらないものは、地域のためという考え方。地元の持続可能性を強く意識した計画でなければならない」