【推薦図書】『ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも行き詰まりを感じているなら、不便をとり入れてみてはどうですか? ~不便益という発想』(川上浩司著)

2023.04.14 04:45
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ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも行き詰まりを感じているなら、不便をとり入れてみてはどうですか? ~不便益という発想(川上浩司著)

【推薦者】みずほフィナンシャルグループ取締役・平間久顕氏
 不便も時には役に立つ


チャットGPTの衝撃。人口知能(AI)を開発する米国の新興企業オープンAIが公開した対話型アプリに世界的な注目が集まっている。専門家は「インターネットの登場を超えるインパクトがある」と評し、AIが的確に資料作成をアシストしてくれるので、仕事の生産性が劇的に向上する可能性がある。こうした飽くなき便利さの追求にテクノロジーの活用を競っている世の中で、本書は、不便であるからこそ得られる効用について論じたものである。
 漢字変換機能は便利だが、手で書いてみた方が記憶に残る。完全なバリアフリーよりも、適度な段差があった方が認知症になりにくい。予めアレンジされたツアーではなく、秘湯は行きづらいから行きたくなる。お湯を入れるだけのインスタントよりも手作りの豚汁が美味しい。不便は手間がかかるし、頭を使う。しかし、不便な方が心豊かでいられる事例はたくさんある。
 これは単なる懐古趣味ではない。計算はもとより画像認識や多言語翻訳ではもはや人間はAIにかなわない。人間に求められるのは、的確な問題をAIに与え、AIが出した結果を正しく解釈する能力である。AIと上手に協働するためには、不便の経験が役に立つのではないか。


(インプレス、税込み1650円)

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