日銀、長期金利の変動幅0.5%維持 グリーンオペを信組や農協にも
2023.01.18 18:45.jpg)
日本銀行は1月17、18日に開いた金融政策決定会合で大規模金融緩和策の維持を決めた。前回の2022年12月会合で拡大した、長期金利の許容変動幅(プラスマイナス0.5%)は据え置いた。
一方、国債などを担保に日銀が資金を貸し付ける「共通担保資金供給オペ」は適用金利を柔軟化。イールドカーブ(利回り曲線)に応じた金利をオファーのつど、決定する枠組みに修正し、低下の著しい市場機能の改善を図る。
また、気候変動対応オペ(グリーンオペ)は、系統金融機関を通じて信用組合や農業協同組合にも対象先を拡大。金融機関を通じた中小・零細企業などの環境対応促進をより後押しする。
18日に公表した経済・物価情勢の展望(展望レポート)では、2022年度の消費者物価コア指数(生鮮食品を除く総合指数)を前回(22年10月)から0.1ポイント引き上げて3.0%に。日銀が物価の基調を見るうえで重要視するコアコア指数(生鮮食品とエネルギーを除く総合指数)でも、2.1%(前回1.8%)と「2%目標」を上回ると予測。ただ、24年度はコアが1.8%、コアコアが1.6%と「2%」を下回る水準に落ち込むと見通した。
黒田東彦総裁は同日の会見で「イールドカーブ・コントロールの運用見直しから、さほど時間が経っていないので、政策修正の措置が市場機能に及ぼす影響を評価するには時間を要する」とし、許容変動幅の再拡大を否定した。
東短リサーチの加藤出氏は「市場に攻め込まれたら政策を修正・変更するといった認識をマーケットに与えないように(政策を)維持しつつ、展望レポートの見通し数字などを通じ、現時点で出口を議論する状況ではないことをアピールした」と分析する。

日銀の金融政策修正・変更観測が強まるなかでの「現状維持」で、マーケットは急変動。1㌦=128円半ばで推移していた米ドル円相場は、会合結果公表直後から円安急進。節目の1㌦=130円を突破し一時、3円超の円安となった。また、東京株式市場の日経平均株価も、為替円安による企業業績押し上げといった思惑から急騰。前日比652円44銭高で取引を終えた。
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