日銀短観 海外経済減速で「先行き」悪化 製造・非製造業とも
2022.12.14 11:32.jpg)
海外経済減速による企業景況感の先行き悪化懸念が強まっている。日本銀行が12月14日に公表した12月短観(全国企業短期経済観測調査)では、全規模全産業の足元の業況判断DIが前回調査(9月)から3ポイント改善(プラス6)した一方、3カ月後の状況を見通す「先行き」は同5ポイント悪化(プラス1)した。
大企業ベースでは、「製造業」の足元の業況判断DIが前回調査に比べ1ポイント悪化(プラス7)したが、「非製造業」は同5ポイント改善(プラス19)。原材料コスト高の影響などが製造業の一部業種の業況を悪化させた一方、供給制約の緩和や自動車生産の回復、為替円安が景況感の改善につながる姿もみられた。
価格転嫁も進む。販売価格判断DIは製造業(プラス41)、非製造業(プラス28)ともに前回から5ポイント上昇。変化幅(上昇幅)は仕入価格判断DIを上回り、仕入コスト増を販売価格に転嫁する企業行動が産業全体で強まっている。
一方、「先行き」は全規模全産業ベースで製造・非製造業ともに悪化。金融引き締めを急ぐ米欧など海外経済への不透明感を背景に、大企業製造業は前回から1ポイント悪化(プラス6)、同非製造業では同8ポイント悪化(プラス11)した。
金融機関の業況判断DIは銀行業が横ばいの「プラス23」、協同組織金融業が同4ポイント悪化の「プラス7」となった。
第一生命経済研究所の熊野英生氏は「価格転嫁の進展や円安効果で足元の収益環境は底堅いものの、先行きはDIのブレが小さい傾向にある非製造業で大幅な悪化を示し、コロナ禍に対する政府の政策効果が長続きしないと企業はみている」と分析する。
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