金融庁、良質アドバイザーにお墨付き 資産形成支援で認定制度

2022.12.07 04:45
金融庁 資産形成
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金融庁は、個人顧客の利益を優先して独立した立場で資産形成相談に応じるアドバイザーに対し、中立的な組織がお墨付きを付与する仕組みを創設する方針だ。顧客それぞれの資産状況などを踏まえたポートフォリオ提案の重要性は高まっているものの、現状は手数料の高い金融商品を推奨するなど「自分本位」な業者が少なからず存在する。信頼できるアドバイザーを可視化することで、個人が良質なサポートを気軽に受けられるようにする。


金融審タスクフォースで中間報告案了承


金融審議会の顧客本位タスクフォースが12月6日に了承した中間報告案に盛り込んだ。12月12日の金融審市場制度ワーキング・グループで正式に取りまとめた後、同庁が具体的な制度整備に着手する。新しい資本主義実現会議が11月28日に決定した「資産所得倍増プラン」にも方向性が明記されていた。


新たなアドバイザーは、政府・日本銀行や各金融団体が協力して2024年中に設立予定の金融経済教育推進機構(仮称)が認定・リスト化する。同機構の事務局は金融庁が務める。中間報告案は認定基準として、①金融商品販売を兼業しておらず、幅広いアドバイスが可能、②販売会社から手数料を受け取っていない――などが考えられるとした。


低報酬、ビジネスとして成り立つか


認定アドバイザーには投資助言業の登録の有無は問わない方向だが、一定の金融商品への投資判断に関わる場合は助言業登録が必要になる。個人のアドバイザーにとっては業登録のハードルが高いと指摘されており、対象商品をつみたてNISAやiDeCoに限定した要件緩和型の助言業を新たに設けることも検討する。


中間報告案は認定アドバイザーの担い手候補として、CFPや1級フィナンシャル・プランニング技能士といった資格保有者や実務経験者を挙げた。国内のCFP認定者は10月時点で2万5172人。一般的に顧客のライフプランに応じた貯蓄や投資、保険契約などについて、顧客から報酬を得て助言を行っている。


タスクフォースでは多くの委員が認定アドバイザーに期待を寄せた。そのうえで、今後の制度運営を見据えて「どうなると認定が取り消されるのかあらかじめ基準を作っておくことが必要」「不誠実な人々に利用されないよう入り口で排除するとともに、認定後も継続的にモニタリングをしてほしい」などの意見が出た。


他方で課題も指摘されている。その一つが、アドバイザーが顧客から得るアドバイス料は少額と想定され、「持続可能なビジネスとして成立させていくことは困難が伴う」(ある委員)と見られる点だ。金融庁はサービスを根付かせるため、補助金による支援策も検討する。

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