日銀、22年度物価予測3%迫る 総裁「利上げの状況でない」

2022.10.28 19:45
金融政策 日本銀行
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会見する黒田総裁(10月28日、日銀)

日本銀行は10月27~28日に開いた金融政策決定会合で、大規模な金融緩和政策の維持を決めた。


28日に公表した経済・物価情勢の展望(展望レポート)では、2022年度の消費者物価コア指数(生鮮食品を除いた指数)の予測を2.9%(中央値)と、前回(7月)から0.6%ポイント引き上げ、日銀の掲げる物価安定目標の「2%」を大きく上回る見通しを示した。また、物価の基調を見るうえで日銀が重要視するコアコア(除く生鮮食品・エネルギー)指数についても、1.8%と前回から0.5%ポイント上方修正し、「2%」に迫る水準に。価格転嫁の波が広がっている姿を示す物価見通しとなり、23、24年度の同見通しも1.6%と、小幅ながら上振れた。


国内景気については、新型コロナウイルス感染症の影響が和らぐもとで、「持ち直している」と判断。先行きも感染症や供給制約の影響緩和で「回復していく」とみた。


ただ、22年度の実質GDP(国内総生産)成長率は、海外経済の減速や供給制約の強まりを反映し、2%と前回から0.4%ポイント下方修正。〝海外要因〟による短期的な鈍化を示した。


黒田東彦総裁は28日の会見で、足元の円安(米ドル高)進行について「急速かつ一方的なもの」との見方を示し、日本経済にとって「マイナスであり、望ましくない」との認識を示した。上昇圧力の強まる消費者物価について、国際商品市況や為替円安による輸入品価格の高まりを主な要因にあげ、23年度以降はそうした押し上げ寄与が減衰し「2%を下回る数字になる」と分析。「利上げする状況ではない」と当面の間、現行の金融緩和策を継続する姿勢を改めて強調した。


明治安田総合研究所の小玉祐一氏は、「23、24年度の物価見通しを上方修正させ、日銀として2%目標達成への自信を深めた一方、マーケットに対しては、早期の金融引き締めを織り込まないでほしいとの思いが総裁発言の節々からにじみ出ていた」とみる。

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