金融庁、SMBC日興証券に3カ月の一部業務停止命令 相場操縦
2022.10.07 18:53
金融庁は10月7日、相場操縦を行ったことが金融商品取引法に違反したとしてSMBC日興証券に3カ月の一部業務停止命令と内部管理態勢の強化を求める業務改善命令を出した。親会社の三井住友フィナンシャルグループ(FG)には、業務の適正化に向けた改善措置を命じた。
「ブロックオファー(BO)」と呼ばれる取引で、売買の動向を監視する審査や運営の態勢に不備があったとした。10月7日~23年1月6日まで同取引に関する業務の停止と経営責任の明確化、業務改善計画の策定を命じた。三井住友FGには経営管理体制強化に向けた計画の提出を求めた。
鈴木俊一・金融担当相は同日夕、金融庁内で記者団に対し「大手証券会社において不公正な取引やグループ内銀行との顧客情報の不適切な授受が行われていたことは大変遺憾。こうした事態が二度と発生することがないよう抜本的な改善対応に取り組んでいただきたい」とコメントした。

大手証券会社に対して、3カ月という長期の業務停止命令を出すのは異例だ。金融庁は「本来市場のゲートキーパーであるはずの企業で複数の役員が事案に関与していたことに加え、売買審査体制や経営管理に問題があったことから今回の処分に至った」と説明した。併せて発出した業務改善命令を通じて、再発防止にとどまらず、根本的な原因究明と不公正取引を発生させない体制構築を求めた。
三井住友FGとSMBC日興は同日、今回の処分を受け「この度の事態を厳粛に受け止め、引き続き全社をあげて改善・再発防止に取り組み、信頼回復に努める」とコメントを出した。
SMBC日興証券はBO取引を巡って、株価維持を目的に不正な取引の申し込みや売買を行ったとして、幹部ら6人と会社が金融商品取引法違反(相場操縦)で起訴されている。