日銀短観、先行き全産業「悪化」 海外経済に不透明感
2022.10.03 12:26
海外経済の減速懸念などを背景に、企業景況感の先行きに不透明感が漂っている。日本銀行が10月3日に公表した9月短観(全国企業短期経済観測調査)では、全規模全産業の足元の業況判断DIが前回調査(6月)から1ポイント改善(プラス3)したものの、3カ月後の状況を見通す「先行き」は2ポイント悪化(プラス1)を示した。
大企業ベースでは、「製造業」の業況判断DIが前回調査に比べ1ポイント悪化の「プラス8」、「非製造業」は1ポイント改善の「プラス14」とほぼ横ばいに。長引く原材料コスト高が幅広い業種の業況に打撃を与えている一方、価格転嫁の進展や新型コロナウイルス感染症の影響緩和による挽回生産・需要回復が景況感の改善に寄与する姿もみられた。
一方、「先行き」は全規模全産業ベースで製造・非製造業ともに悪化を見込む。円安による収益増や価格転嫁の一段の進展、国内経済の本格回復に対する期待がある半面で大幅悪化(21ポイント)を示す石油・石炭製品では「市況下落によるマージンの悪化」を見通すなど、金融引き締めを急ぐ米欧など海外経済への不透明感が強まり始めている。
金融機関の同DIは銀行業が同2ポイント悪化の「プラス23」、協同組織金融業が同2ポイント改善の「プラス11」となった。
第一生命経済研究所の熊野英生氏は、仕入・販売価格判断DIが「製造業の素材業種」で低下した短観結果を踏まえ、「米住宅市場の冷え込みなどで海外需給は幅広く悪化している印象。海外の金融引き締めによる影響が、国内企業の景況感に対して想定より早く反映されている」と分析する。
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