金融庁、黒字化「3年超」も許容 子会社戦略を後押し
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金融庁は、銀行や信用金庫が子会社を設立する際、事業の特性に応じて収支計画を柔軟に立てられるよう監督指針を改正する。これまで金融機関側には「3年以内の黒字化が必要」との認識が広がっていたが、期間に制限がない点を明確化する。規制緩和を活用して新たな事業展開を模索する金融機関の子会社戦略を後押しする狙いだ。
子会社設立に関する金融庁認可の審査項目には、黒字化時期についての具体的な基準はない。ただ、3年以内の黒字化が必要と受け止める金融機関も存在するなど、実務上あいまいな部分があった。同庁には質問も寄せられていたため、7月にも監督指針を改正して考え方を規定する。
具体的には、「収支予想期間については、3年以上とすることは差し支えない」と記載する方向。新規事業では数年単位でコストが先行することも想定されるため、金融機関が無理に黒字化を急ぐことなく、腰を据えて事業基盤を構築できるようにする。ただ、健全性確保の観点から「認可後に収支が良好に推移すること」は引き続き求める。
監督指針改正の背景にあるのは、規制緩和を活用した子会社設立の動きだ。地域銀行では、事業承継支援目的などで事業会社の株式を5%以上取得できる投資子会社や、金融以外の「他業」を営むことが可能な銀行業高度化等会社の立ち上げが相次ぐ。ただ、これらは新たな事業領域だけに、収益化までに時間がかかる場合もあり得る。
金融庁は今後、金融機関が子会社を設立する際に相談窓口となる財務局、財務事務所とも目線の共有を図っていく考え。
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