個人の物価観、5年後「かなり上がる」5割迫る 日銀調査

2025.10.10 18:55
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家計が抱く中長期の物価観が明確に変わりつつある。日本銀行が10月10日に公表した定例の世論調査(生活意識に関するアンケート)によると、5年後の物価が「かなり上がる」と答えた人の割合が48.6%に達し、前回(6月調査)の43.3%から5ポイント超の上昇となった。日銀が政策判断で重視する中長期のインフレ予想が、家計でも高まっている姿が浮き彫りになった。


調査では、「5年後」の物価について、「(かなり・少し)上がる」と回答した人は84.8%と前回から1.7ポイント上昇。同期間の物価上昇率(平均値)の見通しも年10.0%(前回9.9%)と水準が切り上がった。


「1年後」の物価については、「上がる」との回答が88.0%と、前回の85.1%から上昇。そのうち、「かなり上がる」との回答は32.1%と、前回から1.3ポイント下がり、物価上昇率(平均値)の見通しも11.9%と前回(12.8%)から低下した。


足元の物価は、1年前から「かなり上がった」との回答が69.4%と、前回(75.3%)より下がった。実感している物価上昇率(平均)も16.9%と、前回(19.5%)から鈍化した。


日銀は、追加利上げの判断でインフレ予想の上昇度合いを重視。「物価が上がらないノルムが転換し、インフレ期待も引き上がる中で、物価上昇の二次的影響が生じやすく、上振れリスクがある」といった政策委員の意見もみられる。


日銀の公式見解を示す直近(7月)の展望レポート(経済・物価情勢の展望)でも、賃金・価格設定行動の積極化を踏まえ、食料品など身の回り品の価格上昇が長引くことを念頭に、政策判断で重視する基調的な物価上昇率に「二次的な影響を及ぼしうる」ことに触れている。

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