金融庁、男女別給与の開示へ議論 厚労省と足並み
2022.02.08 04:45
金融庁は、上場企業による男女別給与の開示に向けた検討に着手する。投資家のニーズや、開示対象となる子会社の範囲が議論の焦点になる見通し。女性活躍推進を担う厚生労働省と足並みをそろえ、政府全体での整合性確保を目指す。
有価証券報告書での男女別給与の開示は、1月に岸田文雄首相が格差是正を促す観点から実現を目指す意向を表明した。これを受け、金融庁は今夏までに金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループ(WG)で議論し、一定の結論を出す計画を立てている。
議論の焦点になると見込まれるのが、開示対象となる子会社の範囲。現在の有報で基本となる連結基準の開示には、海外子会社の情報が含まれる。一方、政府は国内の男女格差是正を目指しているため、海外子会社の情報を除いた開示を求める流れになることが考えられる。
もう一つの課題は、厚生労働省との調整。開示の促進に向け、同省が女性活躍推進法の枠組みを見直す展開も想定されるため。両省庁で異なる基準を設定すれば混乱を招きかねないことから、歩調を合わせる方針。「金融庁による開示規制改革の判断基準は〝投資家が求めているかどうか〟のため、厚労省の意識とは若干の開きがある」(金融庁幹部)のが実態だ。
有報による男女別給与の開示は、連結開示に切り替わった2000年3月期から簡素化を目的に廃止された。近年は、ダイバーシティ確保の観点からも開示を必要視する向きが強まっており、「サステナビリティに関する情報の開示とも関連するテーマ」(同)だという。
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