被爆80年、平和へ祈り ピアノ演奏など追悼企画もー広島市内金融機関
2025.08.06 14:02
核兵器のない世界に――。広島市は8月6日、米国による原爆の投下から80年の節目を迎えた。市内の地方銀行や信用金庫などは「原爆の日」に合わせ、平和を願い、黙とうをささげた。6日までに「被爆ピアノ」の演奏会など原爆犠牲者を追悼する企画も行われた。
原爆の悲惨さを後世に

ひろぎんホールディングス(HD)は池田晃治会長、部谷俊雄社長、清宗一男専務ら役員6人が物故者慰霊碑を参拝。原爆投下時刻の8時15分に黙とうし、献花した。部谷社長は「原爆による悲惨さと(被災下でも)金融インフラを維持した歴史を後世に伝えていくことが我々の使命。被爆80年で、その思いを一層強くした」と話した。
7月28日には、爆心地から約1.8キロの民家にあった「被爆ピアノ」を使った慰霊演奏会を開いた。広島銀行古市支店に勤務する川村菜々子さん(26)がバッハやショパンの曲を弾いた。「被爆の瞬間を想像し、明るく平和な未来になるように願いを込めた」と振り返った。
広島銀では8月1日から、矢野支店と海田支店で「被爆建物絵画展」を実施。同行OBで元竹原支店長の藤登弘郎氏が描いた原爆ドームなど水彩画14点をロビーに展示している。
本部行員500人が一斉に黙とう

もみじ銀行は8時30分、本部行員およそ500人がそれぞれの職場で一斉に黙とうした。館内放送では「原爆投下から80年。当時勤務していた行員19人の尊い命が失われた。原爆で命を落としたすべての人に対して追悼の意を表する」との内容が流れた。
迫田寛和経営管理部長は「被爆地である広島の金融機関として、原爆の日に亡くなった人たちへ追悼の意を示すのは大切なこと」と話した。
原点に思いはせる

広島信用金庫は、本店屋上の慰霊碑の前に焼香台を設けて、川上武理事長ら役職員約15人が参拝した。信金中央金庫中国支店の安田洋央支店長も参列。相互交流するあぶくま信用金庫(福島県)からは花が贈られ、武田龍雄会長と川上理事長が代表して献花した。
同信金前身の広島市信用組合は、1945年5月に九つの組合がそれぞれ解散した後、営業資産を持ち寄って設立された。ゼロからスタートした約3カ月後に被災し、当時の組合長を含む役員6人と職員42人が犠牲になった。2025年度に設立80周年を迎えた広島信金の再生の歴史は、広島の街の復興と重なる。
川上理事長は「今年は我々の原点に思いをはせる節目の年にしたい」と語った。
特別見学会を開催

日本銀行広島支店は、支店開設120周年と被爆80年に合わせた特別見学会を開催した。支店開設から被爆、復興までの歴史をまとめたパネルを職員が新たに製作。当時の被害状況や広島銀行の前身にあたる藝備銀行など市中金融機関が、原爆投下から2日後に日銀広島支店の一角で営業を始めた歴史を紹介した。原爆投下によって、日銀広島支店で37人、藝備銀行で144人の行職員が犠牲になった。
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