債券市場の機能度、2期ぶり改善も〝米関税前〟に距離
2025.09.01 20:30.webp)
日本銀行は9月1日、債券市場の取引環境などを市場参加者から聞き取るサーベイ(8月調査)結果を公表し、市場機能の総合的な判断を示すDIが「マイナス34」と、前回(5月調査)から10ポイント上昇した。改善は2期ぶり。
4月初旬の米トランプ関税公表で市場が動揺し、サーベイ開始以来、最大の落ち込み幅を記録した前回調査から回復。ただ、改善は小幅にとどまり、関税公表前の前々回(2月調査)に比べると、21㌽低い水準となった。
取引価格などを項目別にみた「各論」では、全7項目中6項目で改善。取り引きの〝厚み〟に関するDIは、前回から14ポイント上がり「マイナス45」をつけた。一方、取引頻度や相手数を示すDIは横ばいだった。
日銀は、流動性の低下が目立った前回調査からの需給改善を認識しつつ、超長期債市場について「米関税政策の影響や国内外の金融政策をめぐる不確実性を背景に、引き続き流動性が低いとの声が多い」(金融市場局)とマーケットの見方を示した。
市場参加者の「金利見通し(平均値)」は上方シフト。2025年度末の長期金利(新発10年国債利回り)は、前回から12ベーシスポイント(1bp=0.01%)上昇の「1.65%」となり、金融政策の市場予測を反映する傾向にある2年国債も5bp上がって「0.97%」をつけた。