日銀、国債購入減額で市場会合「議事」公表 超長期の〝買い方〟工夫も
2025.06.02 19:56-1-1.webp)
日本銀行は6月2日、現行の国債購入減額計画に対する意見などを聞き取った「債券市場参加者会合(5月20、21日開催)」の議事要旨を公表し、金利上昇(債券価格下落)が目立つ超長期債の需給環境を意識した対応を求める声が幅広く出ていたことを明らかにした。
日銀は同会合開始直前、会合出席者の事前意見を羅列した「説明資料」を公表。今回の議事要旨では、会合で交わされた議論を踏まえ、要点を追記した格好で公開された。
議事要旨の〝追記意見〟などによると、残存年限が10年を超す「超長期ゾーン」の国債需給環境や市場機能に関して議論が集中。流動性の著しい低下を主張する意見が幅広くみられた。
金利急騰の背景として「財政政策を巡る投資家の思惑にも注意が必要」との指摘があったほか、「長期(10年以下)ゾーン」と「市場分断のような状況が発生している」との見方や、「長期国債先物を含め、『超長期ゾーン』のヘッジを効果的に行うことが難しくなった」と実態を示す声も複数出ていた。
日銀に求めるオペ(公開市場操作)などの対応としては、長期国債の買い方の〝工夫〟を訴える意見が並んだ。
具体的には、現行のオペで区分けされている「10年超25年以下」と「25年超」を統合すれば、「より需給環境に応じた買い入れがなされるようになり、超長期ゾーンの流動性改善に資する」と要望。半面、その時期については、保有国債のデュレーション(平均残存年限)の長期化を意識し、月間購入金額が少なくなる「将来時点のオプション」との声もみられた。
金利上昇抑制を狙った超長期国債の購入増額については、「市場の期待がコントロールできなくなり、先行きの減額に支障が生じるリスクがある」など否定的な意見が散見された。
同時に検討している「26年4月以降」の国債購入方針では、月間購入額を毎四半期「4000億円」とする今の減額幅を「2000億円程度に縮小させることが望ましい」とする意見の厚みが増した。
計画終期の月間購入額については、現行計画末(26年3月)の減額規模である「3兆円程度」から、「1兆円程度」「1.5~2兆円程度」への減額を求める声が目立った。
また、金利リスク規制を踏まえた金融機関の国債保有余力などを確認する必要性を強調する意見もみられた。
【関連記事=国債購入減額計画策定(24年7月)時の発信スタイル】
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