日銀・植田総裁、食品価格上昇の基調物価影響「注意が必要」  国際会議挨拶で

2025.05.27 12:55
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基調的な物価上昇率の水準感について語る植田総裁(5月27日、日銀本店)
基調的な物価上昇率の水準感について語る植田総裁(5月27日、日銀本店)

日本銀行の植田和男総裁は5月27日、高騰する米などの食料品価格上昇が、政策対応を要する「基調的な物価上昇率」に与え得る影響に「注意する必要がある」との認識を示した。日銀が世界各国の経済学者や政策当局者を招き、28日まで開く国際会議の冒頭挨拶で語った。


植田総裁は、新型コロナ禍後の世界的なインフレ局面で起きたサプライ(供給)ショックについて、「当初想定されたよりも持続的な影響をもたらした」と、欧米の物価動向に与えた影響を考察。日本の物価上昇率についても、「やや遅れて高まった」としつつ、足元の水準に関しては「ユーロ圏や米国よりも高くなっている」と強調した。


また、(名目)政策金利と物価上昇率の差で試算される実質政策金利に対しても「深いマイナスの値にある」との現状認識を述べた。


一方、一時的な変動要因を除いて推計する基調的な物価上昇率については、「中長期のインフレ予想」を「注意深くモニターしている指標のひとつ」と持ち出し、「ゼロから引き上げることには成功したが、(物価安定目標水準の)2%にアンカーされているという状況には、まだ至っていない」と分析。緩和的な政策スタンスを続ける正当性を訴えた。


そのうえで、日銀の展望レポート(経済・物価情勢の展望)における物価予測で除く生鮮食品やエネルギーといった身の回り品を含めた「総合物価」と、「基調的物価上昇率」の乖離(かいり)拡大・長期化を問題視。その影響の計測や国民・市場関係者などに対するコミュニケーションの難しさに触れた。


(写真を追加しました。2025年5月27日16:50)

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