債券市場機能度が大幅悪化 米関税公表の急変動で 日銀調査

2025.05.19 17:32
金融政策 日本銀行 債券市場
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク

日本銀行は5月19日、債券市場の取引環境などをマーケット参加者から聞き取るサーベイ(5月調査)結果を公表し、市場機能の総合的な判断を示すDIが「マイナス44」と、前回(2月調査)から31ポイント悪化した。2015年2月のサーベイ開始以来、最大の落ち込み幅で、米トランプ関税公表による世界的な市場動揺が影響した。


イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)の撤廃や国債購入減額といった金融政策正常化などで、8四半期続けて改善していた同DIは23年5月(マイナス46)以来の低水準を示した。


取引の頻度や価格など項目別にみた「各論」も全7項目で悪化。買値と売値の開き(ビッド・アスク・スプレッド)に関するDIは、前回から25ポイント下がり「マイナス49」をつけた。


日銀は、マーケット関係者の声を踏まえ、「米関税政策公表を契機に、日本の債券市場でもボラティリティが大きく上昇し、超長期ゾーンを中心に流動性が大きく低下した」(金融市場局)と、大幅悪化の背景を説明した。


4月の市場急変を受け、日銀では「超長期金利の大幅上昇など国債市場で年限別の分断が生じた」との政策委員の認識があり、次回(6月16、17日開催)の金融政策決定会合で「中間評価」する国債購入減額計画について、年限別の需給動向などを「丁寧に確認することが重要」との意見が出ていた。

すべての記事は有料会員で!
無料会員に登録いただけますと1ヵ⽉間無料で有料会員向け記事がご覧いただけます。

有料会員の申し込み 無料会員でのご登録
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク

関連記事

4月の国内銀行・貸出約定平均金利、信金が唯一上昇 2%に迫る
日銀総裁、〝2%目標〟への芽「育ち続けている」 段階的利上げ姿勢継続
講演で物価情勢について語る植田総裁(6月3日、都内、代表撮影)
マネタリーベース、5月は前年同月比3.4%減
日銀、国債購入減額で市場会合「議事」公表 超長期の〝買い方〟工夫も

関連キーワード

金融政策 日本銀行 債券市場

おすすめ

アクセスランキング(過去1週間)