第四北越FGと群馬銀、27年4月経営統合へ 地銀有数の金融グループに

2025.04.24 18:52
経営統合・合併
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記者の質問に答える殖栗社長(左)と深井頭取(4月24日、オークラ東京)
記者の質問に答える殖栗社長(左)と深井頭取(4月24日、オークラ東京)

第四北越フィナンシャルグループ(FG)と群馬銀行は4月24日、2027年4月1日をめどとする経営統合に向けて基本合意した。同日に開いたそれぞれの取締役会で決議した。統合後の総資産は21兆円超となり、地方銀行有数のグループが誕生する。



第四北越FGを新しい金融グループの統合持ち株会社として活用。群馬銀と統合持ち株会社との間で株式交換し、経営統合する予定。持ち株会社の本店は両者で協議し、決定する。


第四北越FGと群馬銀は21年12月に「群馬・第四北越アライアンス」を発足。地域創生や法・個人ソリューションなどの分野で連携を深め、当初目標の「5年間累計でシナジー効果額80億円」を3年間で前倒しで達成した。



一方でこの間、人口減少の加速や「金利ある世界」の到来による競争激化など経営環境が変化。「地域のトップバンクグループである群馬銀と第四北越FGが強みを持ち寄り協働することが全てのステークホルダーの期待に応えられる」(深井彰彦・群馬銀頭取)と判断。24年11月に深井頭取が殖栗道郎・第四北越FG社長に統合を打診し、検討を開始した。


統合によるシナジー効果として、取引先向けのリスクテイク力増強などに加え、「財務基盤が強固になることで長期の先行投資がしやすくなる」(殖栗社長)ことを挙げる。



会見で笑顔を見せる殖栗社長(左)と深井頭取(4月24日、オークラ東京)
会見で笑顔を見せる殖栗社長(左)と深井頭取(4月24日、オークラ東京)

また、群馬銀は29年1月以降に予定する基幹系システム更改時に、第四北越銀を含む地域銀5行が利用するTSUBASA基幹系システムに移行する方向で検討。両社グループで事務手続きの共通化・集約化を進め、コストシナジーを高める。


強者連合、再編に拍車か


東洋大学の野崎浩成教授は「隣接した地域にフランチャイズを有するトップバンク同士の再編は経済圏拡大という点でシナジーを実現しやすい」と評価する。関東地区地方銀行では今回の統合は「強者連合だが、再編に拍車がかかるきっかけになるかも知れない」と見通す。


新潟県内の協同組織金融機関の役員は「稼げる地区や分野に経営資源を集中する形がはっきりしてくる。いわゆる『新潟県の地方銀行』とはくくれない形に変化していくのだろう」と話す。


群馬県内の信用金庫関係者は「営業エリアが重複しない経営統合で、我々の顧客への影響はすぐにはないだろう。ただ経営や業務の効率化などさまざまな分野で強みが生まれると思う。引き続きしっかりとお客さまと向き合っていきたい」と気を引き締める。


地銀界では経営統合や合併が相次ぐ。足元で25年1月に青森みちのく銀行が発足し、26年には1月に八十二長野銀行が、5月には福井銀行が福邦銀行を吸収合併する予定。さらに、27年には荘内銀行と北都銀行が合併を計画している。このほか、千葉銀行が25年3月に千葉興業銀行の発行済み株式の約20%を取得するなど合従連衡の動きが加速している。


金融庁は2024事務年度(2024年7月~25年6月)から、地域銀行首脳との間で持続可能なビジネスモデルに関する対話を開始した。今後避けられない人口減少により地域経済が縮小すれば、地域銀の経営基盤が揺らぎかねないからだ。同庁は、現在の規模やビジネスモデルでは10年後、20年後の存続が難しいと判断する地域銀に対しては、「合併・経営統合」を含めた経営判断を促していく構え。


(情報を追加しました。2025年4月24日12時33分)


(写真を更新しました。2025年4月24日16時20分)


(情報を追加しました。2025年4月24日18時52分)


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