日銀、政策金利据え置き 春闘「やや強め」 米関税影響は次会合議論
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日本銀行は3月18、19日に開いた金融政策決定会合で、政策金利である無担保コールレート翌日物を「0.5%程度」に誘導する方針の維持を全員一致で決めた。
再利上げを決めた前回の1月会合では、中村豊明審議委員が「次回(3月)の金融政策決定会合において法人企業統計などで企業の稼ぐ力が高まったことを確認したうえで、金融市場調節方針の変更を判断すべき」として反対票を投じていた。
物価上振れ「意見」明かす
植田和男総裁は会合後の会見で、国内の経済・物価動向は「おおむねオントラック(想定通り)」と評価。賃上げ動向については、2025年春季労使交渉(春闘)の連合1次集計(3月15日発表)が歴史的高水準の前年を上回ったことを踏まえ、「やや強め」との認識を語った。
消費者物価についても、日銀が掲げる2%物価安定目標を超える期間が長引いていることを受け、「国民生活へのマイナスの影響について、強く意識している」との所感を述べた。
高騰が続く米価格に対しては「(価格上昇率としては)下がっていく」との見通しを立てつつ、「一部の委員からは、物価の上振れリスクについても引き続き注意したいという発言があった」と会合内でみられた政策委員の意見を明かし、注視姿勢を表した。
また、日銀の見通しより上振れた場合は「金融緩和度合いの調整を早める方向に働く可能性がある」とのスタンスも語った。
一方、中立金利(経済を温めも冷ましもしない金利)に向けた段階的利上げを進めるうえで、重要視する基調的な物価上昇率に関しては、サービス価格の上がり方が「それほど強いものではない」といった状況を踏まえ、「2(%)をまだちょっと下回っている」との認識を繰り返した。
海外の不確実性「高まる」
海外経済については、先行きの不透明感の強まりを指摘。会合の声明文にリスク要因として具体的に明記した米トランプ新政権下の「通商(関税)政策」を念頭に「不確実性がここにきて急速に高まっている」と強調。「定量的にうまく把握できる段階ではない」との現状認識を示した。
そのうえで「4月の初めには、(通商政策に関して)ある程度のことが出てくるかもしれない」と影響の見極めに至る具体的な時期に触れ、次回会合(4月30日、5月1日開催)で議論する「展望レポート(経済・物価情勢の展望)」に反映していく意向を述べた。
段階的に進めている「国債買い入れ減額」の中間評価(25年6月会合実施)では、24年7月会合で策定した、26年度末までの減額計画を維持することを「基本線」としつつ、「必要があれば(減額幅を)修正したうえで、先に進みたい」との考えも表した。
上昇基調にある長期金利については「(金利は)市場で形成されるもの」との基本姿勢を語り、現時点での上昇ペースに関して、金利を抑え込む機動的なオペを必要とする状況ではないことを明言した。
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