三井住友FG、生成AIが接客 効率化から価値創造へ
2025.01.15 04:45
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は生成AI(人工知能)を活用したビジネスモデル改革に注力する。なかでも有力視されているのは「アバター」によるソリューション提案だ。将来的に人の担当者とともに接客を担うようになる。これまで業務効率化を進めてきた生成AIが、表情豊かな分身を纏って新たな価値を創ろうとしている。
三井住友FGは2026~28年度の次期中期経営計画期間までに生成AI分野へ500億円の戦略投資枠を設定。これまで銀行グループは生成AIを内部の生産性向上に活用してきたが、新たにアバターによる接客など営業現場に活用するための資源投入を行う。中島達社長は「法人の取引交渉や資産形成のコンサルティングなど、生成AIを銀行業務のど真ん中に使ってビジネスを変えていく」と語る。24年10月までに他の金融機関に先駆け、チャットGPT開発元のオープンAIとサービス提供に関する契約を締結するなど基盤を固める。
足元では有人によるアバター接客の実証実験が進む。遠隔地にいる担当者の表情や動作を、分身となるキャラクターのアニメーションに反映することで、ウェブ会議よりも臨場感のあるコミュニケーションが可能になる。アバターサービスを提供するAVITA(東京都)と協業し、これまでに三井住友銀行など傘下企業で個人の相談業務や法人コールセンター業務の一部に取り入れた。担当者が1人で複数の拠点・チャネルを担えるメリットのほか、海外在住の人材や障がい者の雇用といった働き方の多様化も期待されている。

AIアバターによる対面営業の試みでは、パーソナライズされたサービスを目指す。AVITAの西口昇吾副社長は「例えばコールセンターのように顧客情報のIDを振り分けることで、過去の相談内容をもとにパーソナライズされたサービスの提供は可能だ」と説明する。
AIアバターが顧客から課題を聞き出し、AIが提示した複数の選択肢から専門人材が顧客に最も合ったソリューションを提案するなど、AIと人が互いの得意分野を生かし伴走する。西口氏は「人とのハイブリッドで生産性を上げていく動きが今後広がるだろう」と展望する。
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