銀行界の不正送金件数、ピーク時の1/3に減 複合的な対策 重要に
2024.10.20 04:45
銀行界で不正送金件数が一服し、減少傾向に入ってきた。全国銀行協会のアンケート結果によると、4~6月のインターネットバンキングによる預金などの不正払い戻し件数(個人顧客)は605件。ピークだった2023年4~6月の1649件から63.3%減少した。ただ過去の年度ベースの被害件数を4~6月期単体で超えている水準であり、警戒が必要なレベルが続く。
フィッシングなどで詐取したアカウント情報を悪用して、不正送金が行われている。金額ベースでは4~6月の個人の被害金額は17億7200万円。ピーク(23年7~9月の25億8400万円)から31.4%減少したが、24年1~3月比では増加に転じた。
被害が多発している暗号資産交換業者への不正送金対策強化の動きが広がっており、ピークアウトに寄与している。金融庁と警察庁は2月に暗号資産交換業者の金融機関口座に対して、送金元口座の口座名義人名と異なる依頼人名で行う送金の停止などを要請した。対策が不十分だった銀行はホームページで顧客向けに対策を公表している。
大手行幹部は「対策を厳しくすれば顧客の利便性は失われるが、そうも言ってられなくなっている。警戒のステージが一段上がった」との認識だ。23年度のネットバンキングによる不正送金件数は22年度比3.1倍の4974件、金額は同3.8倍の82億3200万円で過去最多となった。
金融ISACの不正送金対策ワーキンググループの岩本俊二座長(PayPay銀行IT本部副本部長)は「PCサポート詐欺や副業詐欺など特殊詐欺と不正送金との境界が曖昧になってきている」と指摘し、複合的な対策が重要と強調する。