金融庁、ゼロゼロ先の放置懸念 継続的な実態把握求める
2024.09.19 04:50
金融庁は地域金融機関に対して、実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資実行先の実態把握を継続して行うよう求める。4月に監督指針を改正。取引先の業況変化の兆候を適時適切に把握し、早めの対応を促しているが、「本当に実態を把握しなければいけないところが放置されている可能性がある」(金融庁幹部)と懸念を示す。
危惧されるのが100%保証のため、金融機関に経営改善・再生支援に乗り出すインセンティブが働きにくい点。中小企業庁は、積極的に関与する動機が薄くなり、リスケを繰り返す傾向があるとみている。中小企業活性化協議会も金融機関の姿勢として、「保全が図られていれば再生支援には消極的」という。
民間のゼロゼロ融資の返済開始時期は、2024年4月までに最後のピークを迎え、資金繰り支援から経営改善・事業再生の局面へ移行した。ゼロゼロ融資を予防的に利用した事業者がある一方、コロナ禍前から経営に課題を抱えて利用した事業者で返済に行き詰まるケースが増加。全国の信用保証協会の代位弁済件数は4月以降も前年同月を上回って推移する。
こうした背景から、金融庁は、24事務年度(24年7月~25年6月)の金融行政方針にも、「取引先の実態把握の状況を含む信用リスクの管理態勢を検証する」と明記。「(債権が)保全されているから『大丈夫』と、思考停止するのではなく、ちゃんと見てほしい」(前出の幹部)と強調。支援が遅れると、「コロナ禍前から何か本質的な問題があったとすれば、結局また元に戻る可能性がある」(同)と警戒する。
足元では、粉飾決算による倒産や税金・社会保険料の滞納倒産が急増。同庁は「今後の信用リスク管理は本当に大事な局面に入る」として、警戒レベルを高めている。
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※この記事は2024/10/11にfree記事に変更しました。