【預かり資産残高高水準】大和証券G本社、WMビジネスで成果 コンサルツール活用が奏功

2024.08.13 04:30
コンサル 資産形成 富裕層取引
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新宿支店の上野課長は「お客さまとともに二人三脚で資産を育てたい」と営業活動に取り組む(7月25日、新宿支店)
新宿支店の上野課長は「お客さまとともに二人三脚で資産を育てたい」と営業活動に取り組む(7月25日、新宿支店)

「【預かり資産残高高水準】大和証券G本社、WMビジネスで成果 コンサルツール活用が奏功」ニュースの要約

・大和証券グループ本社の富裕層向けウェルスマネジメント(WM)ビジネスが好調

・第1四半期で投資信託の買い付けや純増額が高水準を維持し、残高ベース収益は前年同期比24%増の272億円に拡大

・ラップ口座サービスの契約額が2611億円で過去最高を更新、純増額は前年同期比1.8倍の1732億円

・「資産運用プランニング」や「財産承継プランニング」などの総資産コンサルティングツールを活用し、顧客の資産運用・承継をサポート

・新宿支店では、顧客の他行取引や資金運用のヒアリングを強化し、資産価値最大化に向けた最適なポートフォリオを提案

大和証券グループ(G)本社は、富裕層向けのウェルスマネジメント(WM)ビジネスが着実に成果を上げている。最重要戦略として2024年度から新たに取り組んでおり、総資産コンサルティングツールを効果的に活用している。


WM本部として役割を担う大和証券の第1四半期実績は、投資信託の買い付け・純増額が高水準を維持し、残高ベース収益は前年同期比24%増の272億円まで拡大。ラップ口座サービスの契約額2611億円は過去最高を更新し、純増額は同1.8倍となる1732億円だった。


ラップ口座サービスや投信を中心にストック資産残高を積み上げるための総資産コンサルティングツールとして、顧客ごとに対応する「資産運用プランニング」「財産承継プランニング」の活用が奏功している。


「資産運用プランニング」は、プランニングサマリー、アセットアロケーション分析、リスク分析、商品別分析の4パートで構成。最大の特長は、「リスク分析のパートで個別銘柄ごとの各種データに基づき、詳細に分析できるのが強み」(植田隼人ウェルス・アドバイザリー部次長)という。


「財産承継プランニング」は、簡易相続税シミュレーション、保有財産の状況、財産承継プランニングの3ステップ。「現状を把握・分析し、問題点を見つけて最終的な解決策を見出す」(同)とする。


新宿支店を例にとると、顧客の資産価値最大化に向けて、他の金融機関との取引状況、運用予定資金など顧客へのヒアリング活動を強化し、最適なポートフォリオを提案。「運用に興味を持たない奥様からラップ口座サービスの契約を獲得」(上野百合子課長)している。


ニッキンオンライン編集デスクの目

ウェルスマネジメントビジネスは、証券業界における収益構造の転換を象徴する分野だ。証券ビジネスは株式売買手数料や債券販売手数料といったフローが収益の中心であった。しかし、近年の手数料自由化やネット証券台頭による競争激化を背景に、フィービジネスへの転換が進められている。


大和証券グループのWMビジネス強化は、この流れを踏まえながら新たな展開を見せた。注目すべきは、総資産コンサルティングツールを活用した科学的アプローチだ。営業員の経験や勘に依存するのではなく、データ分析に基づくリスク評価やAIを活用したポートフォリオ最適化などのテクノロジーと融合が進んでいる。これが預かり資産残高の増加に寄与していると言える。


ラップ口座サービスの拡大も重要な意味を持つ。ラップ口座は資産運用全般を金融機関に一任するサービスだ。米国では「セパレートリー・マネージド・アカウント(SMA)」とも呼ばれ、1970年代から普及していた。


日本では2004年4月の法改正によって、証券会社が実質的に兼務できるようになった。 大和証券の預かり資産残高急増は、顧客の投資に対する考え方が単品商品の売買から包括的な資産管理へと変化していることを示している。


また、新宿支店での取り組みに見られるように丁寧なヒアリングの重視は、デジタル化が進む中で対面営業の価値を再定義するものだ。現代のWMビジネスでは、顧客の人生設計に寄り添うコンサルティング能力が求められている。


 


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