日銀・中村委員、25年度以降の物価「2%に届かない可能性」
2024.06.06 13:02日本銀行の中村豊明審議委員は6月6日、札幌市内の講演で、2025年度以降の消費者物価について「2%に届かない可能性がある」との見解を語った。節約志向の高まりなどによって個人消費が低迷し、値上げ鎮静化が進むリスクに触れた。
中村委員は講演で「現時点でのデータに基づくと、当面は現状の政策維持が妥当」とのスタンスを訴えた。少子高齢化や人口減少といった構造的問題による社会負担増などで、家計の可処分所得が賃上げ率ほどに伸びないケースを想定。「潜在成長率を下回る経済成長が続く可能性がある」との懸念を示し、25、26年度の消費者物価(除く生鮮食品)の〝2%割れ〟に言及した。
日銀が4月26日に公表した直近の展望レポートでは、政策委員(全9人)の物価見通しについて、24年度は2%台後半、25、26年度は「おおむね2%程度」での推移を予測している。
中村委員は、3月の金融政策決定会合でマイナス金利政策解除時、「業績回復が遅れている中小企業の賃上げ余力が高まる蓋然(がいぜん)性を確認するまで継続すべき」と慎重な見方を主張し、「解除」提案に反対票を投じていた。翌4月会合では、「(3月短観で)中小企業の業績が向上する見通しであることが示された」ことなどを受けて賛成に回っている。