金融庁、外貨保険に共通KPI 22年3月期から開示 投信と並列で比較
2021.10.29 04:25
金融庁は、外貨建て保険の運用損益や手数料を販売会社・商品別に可視化する共通KPI(評価指標)を設定する。2021年中にも詳細を詰め、銀行などに22年3月期からの情報開示を求める見通し。保障が付与されている点など、投資信託との違いについては考慮する。
投信と同じ基準での比較を可能にする。どの程度の運用益を確保している顧客が多いかや、預かり資産残高が大きい商品のコストとリターンの関係を一覧できるようにしたい考え。他方、保障性への言及も認め、指標だけが金融機関と商品を選ぶ基準ではないことを明記できるようにする方向だ。
損益の算出方法は、3月末時点で解約した場合の返戻金額と元本の比較を想定している。早期解約の手数料などを差し引いた額が基準になる。
すでに投信で商品別に開示を求めているリスク・リターンの指標については、同じ基準での設定は難しそうだ。外貨保険の場合はリスク算出に必要な過去のリターンに関するデータが蓄積されていないケースがあり、「現実的な対応策を探っている」(同庁)。
外貨保険は、保障よりも資産運用目的で購入する顧客が多い。このため、同庁は投信と比較できる指標の設定を数年前から検討してきた。銀行や保険会社は難色を示してきたが、投信・保険を問わず商品性を説明する「重要情報シート」の導入で機運が高まった。
外貨保険は顧客の苦情発生率が相対的に高く、同庁は金融機関の営業姿勢に強い問題意識を持っている。足元の販売・苦情件数はピークの19年に比べ落ち着いているが、今後は「米国の金利上昇を受け、再び営業を積極化する金融機関が増えることも考えられる」(同)として、注視を続けている。
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