アラームボックス、口コミ情報でマネロン防ぐ AI与信ツールを応用
2024.04.19 04:25
アラームボックス(東京都)の人工知能(AI)与信管理クラウドツールを採用する金融機関で利用場面が広がっている。インターネットの口コミなど公開情報から投融資先企業の与信判断に活用するのが主体だが、マネーロンダリング対策や取引先のESG(環境・社会・ガバナンス)調査に応用する動きもある。住信SBIネット銀行は継続的顧客管理で利用を始めた。
同社の与信管理ツールは、企業や自治体のホームページ、SNS、口コミサイトなどの公開情報を集約する。AIで集まった情報の絞り込みや結果の明らかな情報は判定も行う。投融資先の与信判断情報を3段階に分け、最短一日で回答する。銀行界で利用が多く、伊予銀行や南都銀行のベンチャーキャピタル「南都キャピタルパートナーズ」など15金融機関で導入している。
住信SBIネット銀は法人口座の取引モニタリングで利用を開始した。取引先企業が「詐欺」といった犯罪性を想起するキーワード検索にヒットするかや、口座悪用に関する風評で閉業したかなどの営業実態を検出する。「新しい情報があれば通知するため、受動的に高精度な情報を受け取ることができる」(武田浩和・アラームボックスCEO)。同行は口座凍結の判断材料に活用する。
一部銀行ではESGの観点で活用意向もある。企業がロシアに取引先を有しているかを調査し、投融資が望ましいかを判断する。また人権問題への対応で、製造業など取引先の事業活動において、不当労働の疑いを口コミなどから表面化できないかを検討する動きもある。
同社のツールは、ベンチャーやスタートアップなど創業間もない企業向け与信などでも活用が進む。膨大な情報量への接続を可能にし、金融界に求められるESG投融資やマネロン対策の高度化を後押ししそうだ。武田CEOは「年内に導入先を5行積み上げたい」と話す。
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